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Essay

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音楽のことからニューヨークでの生活まで、分類していないごった煮のエッセイです。
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#ニューヨーク生活

もしも、生まれ変わっても

もしも、生まれ変わっても

コストコ、ああ故郷コストコ、こっちではコスコと呼ばれる。メンバーズカードを持っていないからアメリカに来てからまだ行ったことないが、わたしはある時コストコのうしろのバス停でバスを待っていた。コストコの換気扇からむわっと小麦の焼ける香ばしいにおいがしていて、コストコ特有のにおいがわたしを覆った。逆輸入というか、なんともおかしな話なのだがバスに並びながら日本にいたときのことを思い出していた。わたしにとっ

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紙袋のなか、ブロンディひとつ

紙袋のなか、ブロンディひとつ

小学生の頃、土日に退屈だった記憶がほとんどない。

わたしの両親は休日になると朝から出かけたがって、やれフリーマーケットだのやれ科学館だの、色々なところに連れて行ってもらった。だから休日は家にいるものではないと思っていたし、自分がこの年になってようやく、フルタイムで働きながら休日に朝から家族全員を連れて遊びに行っていた両親のパワフルさは異常なものなのだと知った。そうした幼少期を過ごしていたからなの

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僕は孤独に踊り続ける

僕は孤独に踊り続ける

一昨年はわりとよくクラブに行っていた。

当時付き合っていた彼がDJだったから連れられるままに、というのがクラブに行っていた主な理由だったのだが、彼と別れた後でも結構クラブのこと好きだな、となんとなく考えていた。
そして今ニューヨークにいて、ジャズの方のクラブに行くのに忙しくてこちらではまだいわゆるクラブに行ったことがないけれど、踊れるライブも好きだ。一体、集団の中で踊るときに何が起きているのだろ

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それゆけ大豆民族

それゆけ大豆民族

わたしにはすばらしい才能がある。ひとつ目はどこでも眠れる才能だ。眠れなくて悩むことがほとんどなく、飛行機でさえ10時間ほぼ通しで眠れるくらい場所を選ばず眠れる。場所が変わろうが、騒音がひどかろうが、本当によく眠れる。不眠という症状に悩まされたことがなく、おやすみから10秒で眠れるという特異体質でもある。

そしてふたつ目は、なんでも食べられるという才能である。花粉症由来で豆乳だけは飲むと口の中が痒

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