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「帽子なしで歩くのは、パンツはかないで歩くくらい恥ずかしい」私の自作帽子

2005年からずっと「イラストレーター」を名乗り続けているが、実は、2010年の一年間は、イラストの仕事を一個もしていない。では何をしていたかと言うと、ズバリ「帽子作家」を名乗って活動していたのだ。

#私のハンドメイドストーリー

帽子の学校で帽子作家を目指す日々

2008年の春、東池袋に住んでた私は、近所(新大塚)にある帽子の学校に通いはじめ、すっかり帽子づくりにはまってしまった。

記念すべき最初の帽子がコレ。

2008年4月。ベレー。レディス。
素材:コットン100%。
(制作年月・帽子の種類・男女別・素材)

帽子の学校の事を知ったのは、地域の新聞だったと思う。まさか自宅から徒歩10分もかからない場所に帽子の学校があったとは。(その後すぐに結婚して西葛西に引っ越してしまったが(笑))ていうか、帽子って作れるんだ!

学校はスダシャポーという名前で、キー局の街歩き番組にはほとんど登場している程(「ぶらり途中下車の旅」「もやもやさま~ず」「酒場放浪記」など)メディアにもよく登場している。しかも、先生は作品がNHK朝ドラ「半分。青い」で登場したり、すごい方なのだ。

もともとタイトル通り「帽子なしで歩くのは、パンツはかないで歩くくらい恥ずかしい」私。そんな私の「帽子愛」は先生にも伝わり、とてもかわいがっていただき、そのまま帽子作家として活動していくと、自分も周りも考えていた(と思う)。

引っ越しで絶たれた帽子作家の夢

その矢先、2011年夏に決まったのが名古屋への引っ越し。その頃には、買ったものも含めれば、100個以上の帽子を所持していた。

残念ながら、その帽子たちは、名古屋に引っ越すときにほとんど捨ててしまった。しかし、その後また増えて、恐らく現在の手持ちの帽子は50個ほど。そのほとんどは買ったものではあるが、驚異的な増え方である。恐るべし、帽子好き(自分のことだが。。。)。

そんなわけで、私の作った帽子のホンの一部をご紹介しようと思う。

ウェディングお帽子

最初は、一番思い出深い、自分の結婚式のために作った帽子。ビーズで刺繍した鳥さんが自慢。うっかり手を針で突くと、血でシミになってしまうので、息を詰めるようにして刺していたのが、懐かしく思い出される。

2008年10月。トーク。レディス。
素材=ポリエステル

身に着けたところはこんな感じ。お目汚し失礼致します。。。。
こういったいわゆる「皇室の方がかぶるような帽子」はトーク帽という。


お色直し用も制作。こちらは夏の麻の素材に造花でデコレーション。

この帽子は、夏の麦わら帽子のような雰囲気なので、結婚式のあとは普段から身につけたいなぁと。しかし、造花が付いたままだと派手すぎるので、黒いリボンをつけてアレンジ。それがこちら ↓ 。

2011年6月。ボンネット。レディス。
素材=夏帽体(シゾール=麻100%)。

帽子の学校の先生の素晴らしいところは「どんどん販売して下さい」というスタンスだったこと。とはいえ、マージンなど取らない。販売してプロ意識を持つことで、自分も成長し、帽子好きを少しでも増やしたい。そんな「帽子愛」にあふれた学校なのだ。

SOLD OUTの帽子

私が作家活動をしていたのは、2009~2011年のホンの2年程であるが、ありがたいことに、ご縁あってイベントなどで販売するとSold outになることが多かった。(当時は4コマ漫画のブログの読者さんがイベントに来て買って下さったりしたのだ。ありがたや)

実際に販売して売れてしまった帽子の一部をご紹介。

この帽子は、型紙からすべて自作の帽子。ナチュラルなコットン地にエレガントな花のモチーフをあしらったもの。刺繍しているときは完成を想像してワクワクと楽しかった。このときのイベントでは5点を出品して、これが最初に売れた。自分でも今でもとても気に入っている。

2011年4月。クロッシェ。レディス。
素材=コットン100%


この素材は羊毛フェルト。blogで知り合った帯広在住のFeltwork ZEBRAさんにオーダーしたフェルトで制作した作品で、すごく人気があった。この帽子も店頭に並んで30分で売れてしまったそう。バラモチーフのピンもパーツを購入して自作。

2011年2月。マリンハット。レディス。
素材=羊毛フェルト。


帽子は小さな生地があれば作れてしまうので、よくインテリアショップのワゴンで販売されているカーテン地の端切れなどで作ったりした。この帽子の素材もカーテン素材。ざっくりとした麻で夏らしい帽子に。とても上品な女性がお買い上げ下さった。

2010年9月。クロッシェ。レディス。
素材=麻100%


帽子を作る時に一番ワクワクするのは、異素材の生地を組み合わせて、どれが一番合うかを考えるとき。この帽子の二枚の布を合わせた時「これだ!」と思ってうれしかった。高校生のお嬢さんのいるママがお買い上げ。

2010年9月。キャスケット。レディス。
素材=コットン100%


この帽子はオーダー品。私に負けないくらいの帽子好きな方で、気に入ってもらえるよう腕を振るった。これもインテリアショップでの戦利品の布で。

2010年9月。キャスケット。オーダー品。レディス。
素材=混紡生地。

メンズの帽子

もともと帽子作りを始めた理由の一つが、オットも帽子好きで、いつか彼にも帽子を作ってあげたかったから。メンズの帽子も結構な数作っている。

布のシルクハット。シルクハットは、ムーミンのパパがかぶっているようなやつね。もともと当時私が描いた紙芝居の展示に合わせて制作したもの。TDRで「不思議の国のアリス」の「マッドハッタ―」のフリをして撮影。モデルはオットで写真家の宮田雄平。(2010年4月)

2009年8月。シルクハット。ユニセックス。
素材:コットン100%。


これはカンカン帽。実は意外と作るのが難しい。管理も難儀で、直線を保てなくて、シルエットが丸くなってきてしまうのが難点。引っ越す直前にバタバタと作った帽子のひとつ。

2011年5月。キャノチェ(カンカン帽)。メンズ。
素材:夏帽体(シゾール=麻100%)


これはオーダー品。冬のフェルト帽体で作った中折れ帽子。中折れ帽子は、頭のてっぺんがへこんだブリム(つば)のあるソフトハットのこと。日本ではボルサリーノと呼ばれることが多いが、ボルサリーノはイタリアの帽子ブランドの名前。同社の代表的な帽子が中折れ帽なのだ。

2010年11月。中折れ帽子。オーダー品。メンズ。
素材=冬帽体(ベロア=兎毛フェルト)。

私の帽子

何と言っても100個も帽子を持っていたので、ありとあらゆるタイプの帽子があった。持っていなかったのは、いわゆる「パーティーハット」。

2011年4月、東京時代最後に作ったのがこの帽子。帽子のイベントでかぶるために制作したハンチング。カジュアルな帽子の代表とされるハンチングだが、ブリム(つば)をつけないと、ハンチング・ベレーと呼ばれる。装飾次第では、このようなエレガントな雰囲気にも。(鳥のオブジェは添えてあるだけで、帽子の飾りではありませぬ)

2011年4月。ハンチング・ベレー。レディス。
素材=コットン100%その他レース、ビーズ等。


2011年に名古屋に引っ越してからは、帽子制作のスピードが落ち、2012年10月の従妹の結婚式のために作ってこの帽子を最後に、イラストの仕事が忙しくなって、まったく作れなくなってしまった。

2012年10月。トーク。レディス。
素材=ポリエステル

こんな感じで出席。ちなみにネックレスも自作。ちと大きすぎた(笑)


と思ったら、もう一個作っていたのを思い出した。
これが本当に最後に作った帽子。

2015年11月。ベレー。レディス。
素材=ポリエステル

東京の知人のデザイナーさん主宰の展示「つむぐ展」に出展した作品。自分のイラストで作ったオリジナルの布で小物を制作するというので、すぐに飛びついた。

これ実は、描いたイラストの色を反転させて作ったもの。元の絵はコチラ。

完成したものが下の写真。写真ではまったくわからないが、リバーシブルになっている。名古屋に来てからはすべて手縫いで制作しているのだが、その中でリバーシブルにすることを思いついて自分で編み出したのだ(というほどのことではない 笑)。

長々とお送りしてきたが、以上が私の帽子作家としての活動をざっくり並べたもの。

帽子とイラストの両立に悩んだ末に

2011年に東京を離れる時には、帽子の通信教育で先生の免許を取って名古屋で教室を開くことも考えていた。しかし、帽子を本気で極めるなら、帽子一本で頑張らないと厳しい。片手間ででできるほど帽子は甘くないからだ。

絵を描くと言うと手先が器用に見られがちだけど、私は本当に不器用で、絵を描く以外に手先を使うことがからっきしダメなのだ。それなのに、裁縫は大好きと来ている。好きなだけじゃ、ダメだよねぇ。

だんだんとイラストの仕事が忙しくなったことで、結局イラストを選んだ形になった。今はそのことを後悔はしてないけれど、また趣味で自分のための帽子をじっくり作れたらいいなーと思っている。

長々と読んでくださって、ありがとうございました。

(おしまい)


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