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森羅万象 短編小説3681文字
「お前をみてると吐き気がする」
では
見なければ?と
咄嗟に思ったが先輩に向かってそれは言えないので永遠は口をつぐんだ。
栄業永遠、トワの先輩である早水はそれだけ言うと通路隔てたデスクへと戻っていった。
スーパーのチラシに載っていそうな背広を着た背中はあっという間に辺鄙な場所にある配置のデスクへと溶け込んでいった。
この総合商社で総務部で事務を担当している永遠は月末にあたり各部門の勤怠管理表
【短編小説】眠らない男① 1,400文字
ぐうぐう 轟々といびきをたてて眠る男の口は大きく開いて、小ぶりな優子の握り拳ぐらいなら入りそうだった。
男は白目をむいて瞼をぴくぴくとさせ、コメディアンのような古典的なポーズをとってベッドの上に転がって胸板を上下させている。
ホテル備え付けの浴衣がはだけて汗の浮いた胸板がはだけているのが見えた。
時折、ガッと窒息しそうに喉で呼吸をとめるのだが眠りから覚める気配はない。
未明まで激しく抱き合ってい
短編小説 サンドイッチ 1753文字
恭一はきゅうりとハムとバターの挟まれたバゲットを一口齧ると空を仰いだ。
河の見える10階建てのマンションの自室のベランダで朝ごはんを食べているところだった。
バゲットはアルミホイルに包まれ、コンクリ製の床には缶コーヒーが置かれてある。
厚手の黒いベンチコートを羽織って三月の朝日と微風を浴びながら無心になる至福のひとときだ。
いつもと変わらない日々。
それでいい。
それがいい。
きっと。
筋雲
自由詩 expensive sandwich 291文字
ベランダでアルミホイルに包んだサンドイッチ
バターとハムときゅうりをサンドイッチ
河の見える部屋は朝日が眩しくて
思考がクリアになるね とても
缶コーヒーもコンクリ置きして少し深呼吸するの
チープなsandwich
人はちっぽけな存在だから悪さもずるさもするね
わかっていてもやるせなくなる
勝手にものごと優劣つけて
その答えを聞けますかなんて愚かな僕に
ー僕が手作りしたサンドイッチだけが
desty5 BL R15長編小説 3487文字
desty5長襦袢
甘楽呉服の新社長、甘楽将鬼を路田旅館に迎える日がやってきた。
部屋の修繕工事を終えた業者に佑磨は頭を下げて見送る。
路田旅館 一階と二階の半露天風呂の大浴場にまだ修理が終わっていない箇所があったため、
そこを修理業者に依頼していたのだ。
一階と二階の半露天風呂は一つの長方体の形をしたユニットのような作りのようになっており、本館からは細い渡り廊下を渡って入口まで進むように作
自由詩 チョコレート 362文字
灰色のコンクリートで組み上げられた巨大な街
僕たちはずっとこのまま二人きりだね
ずっと
カカオ分と糖度の絶妙なバランスチョコレート
舌の上で溶けてゆく
恋の媚薬なんて本当は必要ない
必要なのは加速するときめきとエネルギー
だからそっときみの ポケットに忍ばせるの
金色の包み紙 チョコレート
オフホワイトベースの分厚いタータンチェック
マフラーをして次の各停をわざと遅れて待つの
電光掲示板
短編小説 プレーンリンス 2845文字
お湯で丁寧に頭皮を洗うだけで頭皮汚れの七割は取れます。
予洗が大切なのです。
そのあと二回に分けてシャンプー剤を用いて毛先から泡立てて本洗してゆきます
泡立ては二分くらいは必要でしょうか
ゆすぎは慎重にしましょう。後頭部をカッピングしながらお客様に痒いところはないか尋ねながら慎重に行います。
侘田は何度も洗った。講習で同僚や先輩を用いて相モデルで練習した。
時には街ゆく人をモデルとして捕まえてシ
【短編小説】 愛と勇気と自閉症のテーマ 3871文字
じーへいじょうーだーけれどもー いーきていくー
らーんららららー
いってきまーす
たたたた
瑠璃はゲルネイルのエッジにカラーコンタクトを一枚上向きに乗せた。
長さだし部分1cmはあろうネイルなので手加減を誤ったら眼球に突き刺さるだろう。
まあこちとら何年もギャルを伊達にやっていないのでそんな凡ミスはしないが。
自らの黒目部分にアッシュグレーのそれが溶け込んでゆくと、瑠璃は確信した。
「今日は最高
創作大賞ありがとうございました&近況
ご無沙汰しております
最近ようやく秋らしい気候になってきましたね
お変わりなくお過ごしでしょうか
創作大賞2023、皆さんはいかがでしたか??
わたしはがんばったけどかすりもしなかったな・・・はははっw
受賞された方はおめでとうございます!拍手っ!
惜しくも受賞を逃した方は来年?次のチャンスに期待しましょう。
わたしもチャンスがあるかぎりがんばります。
いつもスキ、コメント、シェアなど応援まこと
【長編小説】desty4 BL R-15 8478文字
※注意事項※
ここから先はなんでも許せる方向けです。
リバ、輪姦、近親相姦などその他の描写がでてきます。
苦手な方はご退出をお願いします。
〜人形、身八つ口II〜
夏樹は初夏の朝四時、旅館の客室で使用しているものと同じ二つくっつけた敷布団から上半身を起こした。
辺りは漆の格子で嵌めてある障子から東の光が差し、ほのかに白い。
藤色した縁取りの畳には脱ぎっぱなしの浴衣が踊るように飛んでいる。
desty3 長編小説 BL R15 9511文字
ー desty 人形、身八つ口ー
『父さん、もうすぐで回診の時間だよ』
佑磨はシワの深いネルシャツをベット柵に巻き付けるようにして、
父、佑吾の閉じた瞼に話しかけた。
電動ベッドのリモコンを探して、リクライニング機能ボタンを押す。
ナースステーションのモニターと連動した心電図が一際高い電子音を立てて目覚めを知らせる。
自由に触ることもままならない顔をぐしゃぐしゃに動かした後、
佑吾は佑磨
desty2 長編小説 R15 BL 9431文字
destyー薄紅のきみIIー
海辺に近いと沖に向かうカモメが朝を知らせてくれる。
路田旅館の五階にある特等室、胡蝶蘭の窓はブラインドと厚手のカーテンを締め切ったままだ。
それでも何処からか初夏の朝日が隙間から入り込んで絨毯にボーダー柄を作る。
夏樹の肌とシーツは真昼の日差しを浴びるミルクで出来た真珠の様に俺の肌を一晩中溶かしこんでいた。
事後は口付けあっていつの間にか深く眠っていた様で、
desty 長編小説 R15 BL 5290文字
desty
ー薄紅のきみー
あらすじ
関東の温泉街のはずれにかつて九代に渡り栄えた老舗の温泉旅館があった。
しかし十代目当主に当たる若い男が先代を亡くし旅館を廃業させてしまった。
それから偶然の出会いを重ね見知らぬ男たち同士が集まり
起死回生を図り旅館を一流の男婦旅館として復活させるまでのストーリーをえがく。
登場人物紹介
路田佑磨
路田旅館十代目当主。260年続いた旅館を自分の代で閉業