経験から学び成長する組織にするために#2
株式会社ブレーンバディ執行役員CHROの永井です。今回も前回に引き続き、経験からの学び(経験学習モデル)をテーマに、人材開発について考えていければと思います。前回経験学習の概念的な部分を整理しました。今回は、より実践に近い内容で書いていければと思います。そして、日々の経験から学び、成長に繋げられるような組織を少しでも増やすことができれば嬉しいです。
前回の要約
まず最初に前回の内容を簡単に整理しておきます。経験学習とは、「経験」「内省」「持論化(概念化)」「実践」の4つのステップからなるサイクルを回すことで経験から学び成長できるというモデルです。
日常には経験が溢れています。その経験を成長機会として資源化し活用するために、①経験をデザインすること②サイクルを回す支援をすることが重要だと考えています。詳細にご興味があれば、前回の記事を読んでいただければ嬉しいです。
今回は、できる限り具体的な事例を交えながら、経験から学び成長する組織をつくるためにどうするのか考えていければ嬉しいです。
経験をデザインするために
では、まず経験をデザインするためにどうすると良いか、当社事例をもとに考えます。
<事例① -業務設計(ミッション設計)->
目標設定の考え方にも少し関わってくるのですが、当社では、許容できる失敗の範囲内で、できる限り成長につながる業務設計をするようにしています。日々の業務(実践)を経験学習として機能させられている状態が、一番効率的な状態だと思います。そのため、育成ステップを構築する際に、ジョブディスクリプションを設計し、できる限り成長や評価に繋がらない業務を削ぎ落とすようにしています。
<事例② -社内ロールプレイング->
内でロールプレイングを行なっている会社は、多く存在していると思います。当社も様々な形式でロールプレイングを実施しています。ロールプレイングが経験学習として効果的な理由は、デザイン性の高さです。
特に、①許容できる失敗の範囲が大きいこと②コントロール範囲内で経験が発生することにより、経験学習のサイクルを回す支援がし易いことは、大きなポイントです。
当社では、日々のロールプレイングとは別に、新人営業向け育成施策の一つとして、ロールプレイング大会を実施しました。内容は、ざっくりまとめると以下の通りです。
・社内に仮想企業を設定する(既存社員がそれぞれ会社のキーマンになる)
・新卒メンバーが追いかけるのは売上数字
・手段は問わない(現実に近づけるための最低限のルールのみ設定)
アポイント設定の電話、商談の動画は全て録音・録画し、そのデータをもとに全新卒メンバーと営業部門の責任者で振り返りを実施します。そこで、事前に座学で学んだ内容を、より具体的な内容に落とし込み、内省を促進させながら持論(概念)化させます。
結果、新卒メンバーは多くの失敗をしながら、その経験から学び、早期に顧客フロント業務を実施できる状態になっています。
サイクルを回すための内省支援
次にサイクルを回すための内省支援です。こちらも事例をご紹介しながら考えていきます。
<事例③ -始業時の目標投稿と終業時の日報->
当社では全メンバー(職種問わず)が、日報を運用しています。概要は以下の通りです。
・始業時:目標とその達成に向けた行動をslack投稿
・終業時:その目標に対しての振り返りと、翌日の1up(振り返りを活かしアップデートすること)を投稿
その投稿に対し、上司中心にフィードバックを行ない内省支援をすることで、経験学習のサイクルを日次で回せるようにしています。
そもそも、毎日目標を決めていない人や組織も多いと思います。もっというと、目標達成のプロセスを設計しず闇雲に動く人や組織もあると思います。ただ、経験学習観点に閉じて考えると、内省以降のサイクルを回すために先に、目標とその達成プロセスを描き実践することは、非常に重要だと感じています。
当社で運用を始めてから、成長実感を持ちづらいと言われるバックオフィスメンバーの生産性が、着実に向上するなど良い効果が生まれています。
「日報を書く時間があれば業務をしたい」という声を聞いたことがありますが、事前の準備と振り返りをすることで、結果的に業務スピードや質も向上するように感じています。
<事例④ -受賞者の取り組み共有->
以前も少し紹介しましたが、当社では社内表彰を創業初期から行なっています。
再現性を持たせたい影響力の大きい取り組みを、全社表彰という仕組みを通して内省→持論化させることで、経験学習のサイクルを回す支援になります。表彰の目的にもよると思いますが、単にサプライズ形式の表彰に留めず、取り組み発表をすることで、取り組み実行者1人の経験から全社が学び成長することができる場にすることができるように感じています。
経験学習以外の要因ももちろんありますが、受賞内容は日々アップデートされ、全社取り組みのレベルが上がり続けています。
双発的な成長機会の創出をするために
上記のような取り組みは、あくまで一つの事例として捉えていただければ幸いです。当社でも日常的に行うフィードバックや、ティーチング・コーチングの配分など、模索しながら進めている部分も多くあるので、引き続き様々な施策を検証していければと考えています。
経験学習の考え方を持ち施策を実行して、ベンチャー企業は特に成長機会を双発的にデザインできるのが良いと感じました。理由は、ベンチャー企業特有のリソースが限られていることと変化のスピードが速いためです。ベンチャー企業はリソースが限られているため、経験できる範囲は比較的多くなります。また、変化スピードも早いので経験も大量に生まれます。そのため、経験資源は大量に溢れています。ただし、会社から全てをデザインし与えることは非常に難しいです。だからこそ、個人も自分の自己実現・成長に向けて成長機会をデザインすることで、良質な経験を積み、学び成長することができるように感じています。
当社でも人生ストーリーを描き、そこに向けてどのような行動をするのか定め、日々の業務に取り組むようにしています。そうすることで、個人の人生を前に進めるために何をしたら良いのか?を自ら考え、自分でも経験をデザインする文化が醸成されています。
成長できる組織仕組みや組織風土が競争優位性となる
社会が変化し続ける中で、企業も変化(成長)し続けなければ、存在意義すら無くなっていきます。企業として成長し続けるために、社内の人・組織は成長し続けなければなりません。そのため、今回は、経験学習に閉じて考えていきましたが、日々学び成長し続ける組織風土の構築・醸成を、当社も引き続き目指していきたいです。
また、成長できる仕組みや組織風土が構築されると、それが競争優位性になると考えています。引き続き、組織は模倣困難だからこそこれからも、当社らしいカルチャーを持った組織をつくっていきたいです。
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