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【おはなし】『冷凍パンダ』
深山(みやま)さんの家の冷凍庫の奥に、小さなおにぎりほどのサイズの、ラップに包まれたパンダが凍っている。大きめのマグカップにお湯を注いでポイッと入れる。パンダがふくらんでラップが少しほどける。深めのスープ皿にお湯を張ってそちらに移し替える。パンダがまたふくらんでほぐれてくる。丼にお湯を張ってラップを取り去ったパンダを入れる。パンダがまたふくらんで少し動くようになる。お湯を入れ替える。パンダが丼か
もっとみるお題の話(お題:さざ波とカヌレ)
以下は、友人である、もとりさんに、「さざ波とカヌレ」というお題をいただいて書いたものです。
『菊さん桃さん』
(※作中に出てくる店や、その店の食べものに、特定のモデルはありません。また、作中のハッシュタグの記号は、発表媒体で機能しないように意図的に♯にしております。)
数年前の彼女たちの話である。
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雛菊さんと桃ノ木さんは、オフィスカジュアルな洋
【おはなし】『頭の話』
ヨコザワさんの担当美容師は、タテノさんというベテランの人である。
ヨコザワさんはあまり働けていなくて、美容院代も「汚いとみっともない、また仕事ゼロになるよ」と言われて親にもらったお金で来ていたりするので、あまり根掘り葉掘り自分のことを聞いてほしくない。恋愛も結婚も子どもも全く興味がないし、それもあって芸能人のゴシップもなんら面白く感じられない。推しはいるけど、メディアでやたら「中高生に人気の」
お題のお話(お題:手帳)
以下は、友人である、えすぞうさんに、「手帳」というお題をいただいて書いたものです。
『手帳の管理は難しい』
手帳の管理ができていない、というと、スケジュールの調整が下手みたいに思われるかもしれないが、そういう話ではない。
氷室さんの手帳は、すぐどっかに行ってしまう。好奇心旺盛なので、ちょっと目を離した隙に、するりとスーツの内ポケットから逃げ出してしまったり、ピョンとカバンから飛び出してし
以前書いたお話(20:平成三十年間)
こんにちは、返却期限です。
書いたお話を置いてく場所に困ったので、noteに置くことにしました。
久しぶりに、お題なしで書きました。幼稚園時代から始まる、三十年間のゆるい友情のお話。
『平成三十年間』
栄希武(さかえ のぞむ)と住吉勇気(すみよし ゆうき)の、平成三十年間の話。
1989年(平成元年)、栄は家の近所の幼稚園に入園した。今年度中に5歳を迎える彼は、年中のカンナ
以前書いたお話(19:暖炉と巣箱と)
こんにちは、返却期限です。
書いたお話を置いてく場所に困ったので、noteに置くことにしました。
これは、友人である、もとりさんに、2つの単語の組み合わせで、お題3つを出してもらって書いたシリーズの3つ目です。
お題「暖炉」と「巣箱」:『暖炉と巣箱と』
この島は鳥ノ守(とりのもり)という種族が人口の半分を占めている。鳥ノ守の家には必ず暖炉と巣箱があり、鳥ノ守が成人すると、島
以前書いたお話(18:波音はまだ小豆)
こんにちは、返却期限です。
書いたお話を置いてく場所に困ったので、noteに置くことにしました。
これは、友人である、もとりさんに、2つの単語の組み合わせで、お題3つを出してもらって書いたシリーズの2つ目です。
お題「ヨット」と「オリーブ」:『波音はまだ小豆』
「それを言うなら種子島でしょ!」
ゲラゲラ笑いながら缶を雑に置いたので、テーブルを転げて慌てた。ほとんど空だったから
以前書いたお話(17:降ってくる話)
こんにちは、返却期限です。
書いたお話を置いてく場所に困ったので、noteに置くことにしました。
これは、友人である、もとりさんに、2つの単語の組み合わせで、お題3つを出してもらって書いたシリーズの1つ目です。
お題「ひよこ豆」と「日傘」:『降ってくる話』
今年の初めごろから、ひよこ豆が全国的に降るようになりました。もちろん、食べるひよこ豆そのものが天から降ってくるわけではあり
以前書いたお話(16:向の席の女)
こんにちは、返却期限です。
書いたお話を置いてく場所に困ったので、noteに置くことにしました。
これは、友人である、もとりさんに、漢字一文字でお題3つを出してもらって書いたシリーズの3つ目です。
お題「凪」:『向の席の女』
私の向かいのデスクに座っているのは、小沼(おぬま)さん、その隣の席が中崎(なかさき)さんである。今年度から担当が変わったので、2人は仕事の引継をしている。
以前書いたお話(15:『それが欠落なら綴じられるためにある』)
こんにちは、返却期限です。
書いたお話を置いておく場所に困ったので、noteに置くことにしました。
これは、友人である、もとりさんに、漢字一文字でお題3つを出してもらって書いたシリーズの2つ目です。
誰も気が付かないと思うので書いてしまいますが、まとまり部分の各頭が、「いと」「また」「また」「また」「また」と、「綴」の文字のパーツになっています。
お題「綴」:『それが欠落なら綴じら
以前書いたお話(14:弁天猫音布《べんてんねこおんぷ》)
こんにちは、返却期限です。
書いたお話を置いておく場所に困ったので、noteに置くことにしました。
これは、友人である、もとりさんに、漢字一文字でお題3つを出してもらって書いたシリーズの1つ目です。
お題「紡」
『弁天猫音布(べんてんねこおんぷ)』
「ねえねえ、ペンテンさん、ペンテンさんってばよぅ」
神社でニャアニャア言ってる野良猫が一匹。誰がつけたんだか、この辺りじゃあキィ
レン愛?(ティアララ)ルン愛じゃ、ダメかしら?〜『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』感想〜
こんにちは、返却期限です。
今回は、楽しんで視聴したドラマのことを書きます。
長寿番組のホームコメディがつらい
子どもの頃から親しんできて、今も放送しているアニメがいくつかあります。そのほとんどがホームコメディ、「自分と家族とゆかいなご近所さんたち」的なものです。不完全で人間くさい人たちが織りなす、明るく朗らかで、あたたかな優しさの感じられる作品たち。庶民的で、多くの人たちに愛されるご長
以前書いたお話(13:たからもの)
こんにちは、返却期限です。
書いたお話を置いておく場所に困ったので、noteに置くことにしました。
これは、友人である、もとりさんが制作されたブローチに感化されて書いたお話です。
『たからもの』
あじさい堂は、地味でおいしいパン屋、の、横にある雑貨店で、私がちっちゃな頃からすでにそこに当然のような顔で存在していた。店主は年齢不詳で、女の子みたいな、おばあさんみたいな、でも
以前書いたお話(12:十二月は私の話)
こんにちは、返却期限です。
書いたお話を置いておく場所に困ったので、noteに置くことにしました。
これは、友人である、もとりさんが制作されたカレンダーのイラストに感化された私が、無謀にも1ヶ月1作のペースで、毎月のイラストをテーマにお話を書いたものの、12月分です。
1月分と合わせて楽しんでいただけたら嬉しいです。
『十二月は私の話』
なにか挟まっている。
向かいに座った友