ATG

日本人のへそ

ATGである。日本アートシアターギルドである。

娯楽映画が好きな自分にとって、芸術性を重視するATG作品は苦手な部類に入る。しかし東映で、企画作品ばかりを撮っていた中島貞夫が、渡瀬恒彦を引き連れて低予算ながらATGで撮った『鉄砲玉の美学』のような佳作もあるから、映画の世界にはなにがどこに転がっているか分らない。

77年公開。ATG作品。『日本人のへそ』は、ある程度の実験性を保持しつつも、割

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スキ、ありがとうございます。
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映画レビュー「本陣殺人事件」~石坂金田一以前の傑作ミステリー

横溝正史原作金田一耕助シリーズ第一弾の映画化。
高林陽一監督作品。
大林宣彦も音楽担当として参加。

市川崑版「犬神家の一族」の少し前に作られた作品であり、中尾彬扮する金田一耕助は洋風ジャケットにラッパズボン姿で登場。石坂浩二や古谷一行の金田一に見慣れている人は食わず嫌いな気持ちになってしまうかもしれないが、それをしてしまうのは惜しい良作。

自分が本作を面白いと感じさせられたのは、なんといっても

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【コギトの本棚・エッセイ】 「祖国はありや」

数年前から事務所にも禁煙の波が押し寄せ、入口を出たところに設置された灰皿の前でタバコをふかしていると、打ち合わせに訪れたとある監督さんに声をかけられた。

先週の原稿を読んだとのこと。聞けば同じ郷里である。

文化不毛などと悪しざまに書いたのでおしかりを受けるかと思いきや、少なからず共感を得たとのこと。思わず恐縮するとともに、見ず知らずの脚本家の文章にも目を通す勤勉さに感心した。

僕と彼の郷里と

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「スキ」を頂きどうもありがとうございます。
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「田園に死す」

「書を捨てよ、町へ出よう」と、いくつかの詩や歌集くらいしか知らない寺山修司の映画「田園に死す」(74年)。

自伝的要素が強い寺山ワールド全開の映画だと思うが、所々の流れは理解できても、やっぱり前衛的な昭和アングラ演劇みたいなATGだ。

もう、こうしたアバンギャルドな作品に落ち着いてドップリと浸る余裕がなくなったなぁ。歳かしら。←じゃあ、観なきゃいいのだが(笑)。

白塗り(なんでだろう?)の少

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thanxです。
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詳細は後日また

数年ぶりで三上寛先生のライブを観て来たのだけど、とても得るものが多かったでしたよ。
無力無善寺に出演される方々はいつも通りクオリティが高くて、オレの様な生半可な輩など音楽に向かないのだと痛感致しました。

そして、啓蒙かまぼこ新聞ファンとして、このアルバムを買わない訳に行かない。
どーしても買わない訳に行かないよ。

終演後、原田芳雄さん話に花が咲きました。

無善法師、三上寛先生、皆さま、今宵は

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恐縮至極で御座います
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アナキストとエロス、あるいは女権の女たち

(承前)このあたりのことには思い出がある。大杉栄の最初の愛人で、伊藤野枝に愛が移るの気取って、大杉を日蔭茶屋で刺し、戦後は社会党の代議士として売春防止法に尽力した神近市子(写真、津田塾出身)を、子供時代テレビで見た私は、何も知らず、「このきれいなおばあちゃん、僕のおばあちゃんに似てるね」と親戚一同の前で語って、大人を絶句させたことがあったのだ。

というのも私の祖母は、「青鞜」にこそ入らなかったが

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特集・1969年(第3回) 当時の日本の裏のポップ・カルチャー(音楽、演劇、映画)

どうも。

では、今日も昨日に引き続いて、クエンティン・タランティーノの映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」にちなんで、「1969年」の特集、行きます。今日はその「日本編」のラストです。

昨日は日本の表向きのポップ・カルチャーをやりましたが、今回は「裏」というか、ちょっと知名度としてはマイナーだけど、大事なことをやろうかと思っています。

1969年の出来事の中には、こういうこと

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ありがとうございます!
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ATGの「葛井欣士郎」氏の「神ひろし」推薦文

海外まで行こうと思う人は、そんなに多くないので、興味ある人はあまりいないかもしれませんが、海外公演はビザの問題、劇場との契約の問題、リスクの問題など、沢山の障害があり、一つづつクリアしなければなりません。・・・・
 で、海外の劇場と契約する時は、日本の3人の著名人の推薦文が入ります。必ずしも、著名人でなくても良いが、一つは秀でたものがある人〜と、微妙な書き方してる場合もありますが・・・

で、その

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『心中天網島』 1969年のクリエイティビティはもう戻ってこない

by 輪津 直美

「心中天網島」は、篠田正浩が1969年に映画化した近松門左衛門の心中物である。その年のキネマ旬報ランキング1位で、制作・配給は、今は亡きATG。前衛演劇、前衛映画、ATGと、1969年の匂いがプンプン漂う作品だ。貧弱なNetflixの映画ラインナップに、どうしてこの作品が入っているのか謎である。

この映画は、観客の感情移入を全く期待していないようだ。まずオープニングからして気

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ありがとうございます!
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