ヴィム・ヴェンダース「ベルリン、天使の詩」
「体の中の魂に優しい手が触れる」。
まさしく作中の科白が表現する作品である。
天使が覗く白黒世界と人々が生きるカラフルな世界。誰もが心の世界を持つように、天使の世界と人間の世界は切っても切り離せない。
二つの世界を「優しさ」が繋いでいる。見えない世界は見える世界のなかに生きている。あるいはそれを「愛」と呼ぶのかもしれない。
この作品の要素は簡単だ。「詩」、「音楽」そして「ビジョン」。それはベルリンに住む人たち、市井の言葉たち。楽しみ、喜び、憤り、哀しみ、不安のなかを天使たちが