見出し画像

治療入院 ICU編(2年前の振り返り)

前回からの続き

治療入院当日は、指示通り午前8時半に病院に到着。その後入院手続きを済ませて16階の腫瘍・血液内科病棟に案内された。前回入院していた病棟とは違うけれど、勝手知ったる。。で荷物を片付けようとしていたら、すぐICUに移動するという。

そして6階のICUに移動。
ICUは、大きく分けて
①NICU(新生児集中治療室)
②PICU(小児集中治療室)
③MICU(メディカル集中治療室)
④TICU(トラウマ(外傷)集中治療室)
に分かれている。

アラーム音や生命維持装置、治療機器の音しか聞こえない。一般病棟で普通に聞こえていた話し声や笑い声は、一切聞こえてこない…

私が入院したのは「MICU(メディカル集中治療室)」
病室は全て広い個室でガラス張り。ベッドは一般病棟の物よりずっと優れたベッド。身体が動かせない寝たきりの患者さん達に、褥瘡等が出来ないような作りになっている。
私がICUに居た期間、トイレ以外はずっとベッドの上で過ごしていたけれど、身体が疲れたり、痛くなったりしたことは皆無だった。

そして部屋の中央には、酸素や心電図モニター、生命維持装置が付いている機械のタワーが鎮座している。因みに私の部屋はナースセンターのめのまえだった。「ザ・病院」という雰囲気に飲み込まれそうになった。

部屋の中央に鎮座しているタワー

「何故外見元気な私がICU管理になったのか」
私が受けるATG[抗胸腺(こうきょうせん)細胞免疫グロブリン]とは、造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)を攻撃するT細胞を破壊して、正常な造血の回復を促すために、人の胸腺細胞をウマやウサギに注入することによって作られた、人のリンパ球に対する抗体です。
私はウマでやりました。

ATGは異種蛋白(ヒトのタンパク質ではなくウマあるいはウサギのタンパク質)ということで、どんなアレルギー反応が現れるかわからない。もちろん、予測される反応に対しては事前に準備対処します。でも、やってみないと分からない事があることも事実。そんな事態になった時にすぐ対応できるようにICU管理になったのです。

血圧、心電図、体温と酸素濃度が全てナースセンターでモニター管理できるように、身体と機器を繋ぐコードが沢山付けられました。ということで、私が自由に歩き回れるのは、廊下にあるトイレに行くときだけになりました。ICUは個室だけど、室内にトイレはありません。まあ、自分でトイレに行けるような患者は一般病棟に移動になるでしょうw
でも私は歩ける。
で、面倒だけどトイレの度にナースを呼んで、機器からコードを外してもらって(身体には付けっぱなし)トイレまで行っていた。 
2日目には自分で外して、自分で元に戻すようになったw 勝手に外すとアラームが大音響で響き渡るので、アラーム解除の方法もナースに教えてもらったw

手のかかる重症患者ばかりのICUで、身の回りのことを自分で出来る私は人気者でした(笑)数人受け持つ患者の中に、手がかからない患者が1人いるだけでナースの負担は減るから。
ナース達に「歩いてICUに入院してくる患者も、自分でトイレに行く患者も、ここICUでは初めてだ」と笑われた。

↑↑これは、ICUのベッド上から私が撮った病室の様子です。ガラス張りのドアの向こうにナースセンター。

因みに日本では、ATG治療の際にICU管理になることは先ず無い。そのかわり、ATG期間と終了後に血球数が上がってくるまで「クリーンルーム、無菌室」管理になる。私は、血球数は低くてもATG終了後無菌室管理にはならなかった。だから個室に完全隔離という経験はしていません。

担当医からは、ICU管理は前処置+ATG4日間=5日間になると言われていた。

入院初日は前処置の日Day1です。

右上腕にPICC(腕から挿入する中心静脈カテーテル)を入れました。ATGをすると血球が下がる。その為に頻繁に輸血(赤血球製剤、血小板)をするし、ATGは毎日12時間かけて体内に入れる。アレルギー予防の抗アレルギー点滴薬等、ほぼ毎日24時間点滴に繋がれます。
末梢血管にルートを取ると、強い薬や輸血の為に血管痛が起こることがあります。私も経験済みですが、かなり痛いです。
そして普通のルートだと3日毎に刺し替えが必要だし、毎日の採血でも毎回針を刺さなければいけない。これが結構苦痛です。

こちらは普通のIV。日本ではルートを取ると言いますね。今はあまり言わないけれど
留置針とも言いますね。

PICCの場合、右上腕の太い血管から心臓付近まで細いカテーテルを挿入して薬を入れます。一度入ってしまえば、そこからATG、輸血、その他の点滴が出来るし、毎日の採血もそこから引っ張るから針を刺すストレスがないんです。そして、首付近から入れるCVよりも挿入時の痛みもありません。
私は入院中そして退院後も合わせて計5か月入れっぱなしでした(毎週消毒に行くけれど)輸血の必要が無くなったので抜きました。その後、
採血が苦痛になりました(笑)

PICCです。これが入っている間は1度も腕に針を刺す行為がなくて快適でした。


退院後の私の腕
毎週消毒に行っていたけど、差し替え等は無いです。抜くときも
痛くなかった。今は痕が少し残っているぐらいです。

Day2からDay5
今日から輸血以外の治療が始まる。
いきなり大量の薬がやって来た。シクロスポリン(免疫抑制剤)、レボレード(造血刺激薬)、ステロイド(アレルギー反応の予防薬として大量に飲む。これを徐々に減らして退院時に断薬する)胃薬、吐気止め、いつもの葉酸。。。ビックリした。

1回にこれだけの薬を飲む

そしてATG開始前にアレルギー反応予防の為、抗アレルギー剤を点滴。酷い頭痛が起こるかもしれないからとタイレノールも飲まされた。
そして、満を期しての登場ATG(笑)
これを12時間かけて点滴で落としていく。

色々点滴薬がぶら下がっている中で、一番大きいのがATG

30分毎にナースが私の様子を見に来るけれど、私に変化はない。ただ抗アレルギー剤点滴のせいで睡魔に襲われ昼寝。
点滴は順調に落ちていて、私はベッド上で食事したり映画を見たりして過ごした。
そして6時間が過ぎたころ、太もも辺りが痒くなりブランケットをめくって見てみると。。。蕁麻疹がたくさんでていた。看護師を呼ぶとドクターに連絡。直ちにATGを止めて抗アレルギー剤の点滴。
発疹が消えてからじゃないと再開できないということで、2時間ほど休止。

再開→蕁麻疹→抗アレルギー剤の点滴→休止
このループが延々と続く。。。

そうしているうちにATGの使用期限が来て廃棄。結局半分捨てることに。
どんなに点滴の速度を遅くしても蕁麻疹が出る。それでも出来るだけ多くのATGを体内に入れたいということで、もう本当に蕁麻疹が酷くなるまで我慢した。痒みとの闘い。辛かった。。。

規定量に満たないから1日増やした。それでも全量の半分しか体内に入っていない。これで大丈夫なのかという不安と共に5日間終了。
ドクターが明朝から一般病棟に移動よーと笑顔で言いに来た。
ATGの効果は直ぐ現れるものではなくて、大体3か月から8か月の間に血球が上がり始めると言われています。それまで気長に、ドキドキしながら待たなければいけないのです。どっちに転ぶか分からないけれど、今はやり切った達成感を味わおうと。そして、はやく一般病棟に行ってシャワーを浴びたかったw

ATGは、直ぐ現れるアレルギー反応と、遅れて現れるアレルギー反応があります。大体終了後2週間以内に現れる「血清病」というアレルギー反応。これに備える為と、大量に飲んでいるステロイドから離脱するために約3週間ほど一般病棟で過ごします。
治療に専念したICUと違い、様子観察(投薬と輸血あり)で自由に動ける一般病棟では面白いことが多々ありました。

それはまた次回。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?