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家族

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2020年10月の記事一覧

腕時計と祖母の笑顔

腕時計と祖母の笑顔

40年くらい前、高校に合格したお祝いに祖母が腕時計を買ってくれた。

祖父は私が中学2年の時亡くなり、祖母は西と呼ばれる家で暮らしていた。ご飯の時はいつも私が「おばあちゃん、ご飯出来たよ」と呼びに行っていた。

自分の腕時計を持つのは初めてだったので凄く嬉しかった。腕時計を売る人が祖母が住む西にやって来た。私はたくさん並んだキラキラ光る腕時計を前にウキウキしていた。色々迷った末に私は銀色の腕時計を

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喋り方を可愛くしたいけど出来ない訳

喋り方を可愛くしたいけど出来ない訳

私がよく言われる3つの言葉「声が低い」「毒舌」「モテない」

私だって出来ればモテたいし可愛い女になりたいという願望はある。

以前娘と可愛い喋り方で一日過ごしてみようと決めたことがあった。しばらくの間、低い声を高めにし上品で可愛い喋り方で娘と会話してみた。娘とはいつも楽しく笑い合って喋っているが、可愛い喋り方をした途端に全く笑いが起きなくなった。可愛い喋り方では毒舌も出ないし面白い会話にならない

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自転車暴走族の誇り

自転車暴走族の誇り

私はペーパードライバー😊移動手段は自転車が多い。子育て真っ只中の時代は朝ギリギリに家を出て自転車で爆走し通勤していた。

まだ子どもが保育所に通っている時はお迎えの制限時間ギリギリになり暗い道を必死で自転車をこぎまくり何回も事故をした。全速力の自転車で突然開いたトラックのドアにぶち当たり両膝から血を流しながら保育所に到着し保母さんにビックリされたこともある。今まで一番多かったのは自転車同士の衝突

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諦めという名の鎖を身をよじってほどいてゆく

諦めという名の鎖を身をよじってほどいてゆく

私が10歳の時、アザミ嬢のララバイでデビューした中島みゆきは日本を代表する唯一無二の歌姫。

彼女の歌は全て好きだ。一人暮らしの時、彼女がオールナイトニッポンのパーソナリティをしていたので毎週聴いていた。軽妙なトークの合間にかかる彼女の曲。そのギャップが凄かった。

中島みゆきの歌の中で一番好きな歌はライブバージョンの「ファイト」だ。高校生だった長男が聴くように勧めてくれた。

特にこの部分が来る

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運動会と父と私の誤解

運動会と父と私の誤解

小学生の頃は短距離走が得意だった。運動会の徒競走やリレーが大好きだった。しかし徒競走で1位になっても父は褒めてくれたことがなかった。たまに運動会に父親が来ても特に興味なさそうに遠くで立っていた。

大人になり、すっかり走るのも遅くなった。5年くらい前父と話をしていた時、運動会の話題になった。父が運動会で応援してくれなかったことを話した。

父は我が子が走る時は緊張するから出来るだけ見ないようにして

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泣いた赤鬼と読み聞かせ

泣いた赤鬼と読み聞かせ

比較的教育熱心ではなかった私も一応子ども達に絵本の読み聞かせをしていた。保育園から子ども達が毎月持って帰る絵本を一緒に読むのが楽しみだった。ただただ馬が様々な障害物を跳ぶ絵本「ぱかぱか」。2歳くらいの長男はぱかぱかが大好きだった。何回も私は繰り返しぱかぱかぱかぱかと読み聞かせた。長女はコッコさんシリーズが大好きだった。私の大好きな絵本泣いた赤鬼は子ども達によく読みきかせた。特に次男が読んでほしいと

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祖父の思い出と後悔

祖父の思い出と後悔

小学6年生の頃、家の庭でバーベキューをした時の家族の音声が残っている。祖父母の元気な声も録音されている。家族7人で賑やかに楽しく肉や野菜を焼きながら食べている様子が音声から伝わってくる。過去の音声は兄が全てCDに保存してくれている。

大人になりそのバーベキューの音声を何回か聴いたことがある。家族の誰にも言っていないが一箇所だけ胸が痛くなる会話がある。祖父が私達に何かして欲しそうに喋りかけるが、私

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祖母とパク・ソジュンの子守唄

祖母とパク・ソジュンの子守唄

昨夜韓国ドラマ「キム秘書はいったい、なぜ?」を見ていた。主演のパク・ソジュンが眠れないキム秘書に頼まれて子守唄を歌う場面があった。その素敵な子守唄を聴いて、久しぶりに祖母の子守唄を思い出した。

向こうのお山に灯が見える。お月が星か蛍か。お提灯ともして行ってみれば、あれはお山の婚礼じゃあ、婚礼じゃ

小さな頃は時々祖母と寝ていた。私は寝付きが悪い子どもだった。私が眠れないと言うと祖母は私の足指やふ

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体温が高いことのメリット、デメリット

体温が高いことのメリット、デメリット

私の体温は36.7度くらい。比較的高めだが普通の体温だ。
しかし昔から家族に身体が温かいとよく言われた。数字で見るより体感温度が高いようだ。
夏は暑苦しいと嫌われて、冬は湯たんぽみたいに温かいと重宝される。真冬でも毛布など使ったことがない。夜冷たい布団に入り、自家発電でだんだんと冷たい布団を温めるのが楽しい。冬になると家族から一緒に寝ようと誘われる。私の身体に冷たい足を当ててきて「あったかいなあ」

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「いっきゃく」を思い出し感傷に浸る秋の夜

「いっきゃく」を思い出し感傷に浸る秋の夜

子どもの頃、家の庭にはいっきゃくがあった。今日「いっきゃく」という言葉を調べたら我が故郷神山町の方言だと分かった。

イッキャク : 夕涼みなどに使う木製の大きな腰掛け。縁台。

私はいっきゃくと共に生活していた。いっきゃくに寝転がって青空や流れる雲を飽きることなく眺め、夜になると兄や姉と一緒に星空を眺めた。夏の夜は庭でバーベキューをした。いっきゃくに料理を並べたり、腰掛けて食べたり、家族でワイ

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