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大学入試・学習

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元々、大学受験研究の修行僧の如き者でした。
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慶應文学部小論文1

 慶應文学部(以下、「慶文」と表記。)2016年小論文設問一の要約は前半、後半のバランスに私も悩みました。
ところで、大手予備校の解答速報は早慶ですら前年度しか解答解説が閲覧できなくなってしまったのですが文章レベルは例年より低いです。(河合塾は東大京大に関して複数年みられます。少し前は河合塾でも早慶が複数年みられたのですが。)
 しかし、設問一は長大な具体例を入れるべきか否か、ここは難しく慶文のや

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予備校講師の方々こそ受験指導のプロであろう。勿論、教員にもいるであろうが、背負っているものが違いすぎる。予備校講師は巧くなければ問答無用に切られる。これはプロスポーツの世界と同じだ。故にこそ、決死の覚悟で授業をする。そこに力が宿る。教師にそれはほぼ無い。私はプロに憧憬する。

YouTubeで英語の森田先生入試解説動画を見て感銘を受けるようになった。私も国語でああいう事がしたいと。今年の早稲田関関同立を解き尽くし指摘したき事が沢山ある。早稲田国語は文構、人科、政経以外易しくなった。「早稲田の国語」は最早過去の栄光か。この理由を一問一問解説していきたい。

今年の国公立大現代文で興味深かったのは、東大、京大、九州大、東北大、でした。noteは影響力少ない(いつも見て、否読んで下さっている方には深謝しかない)為に吐露しますが、九州大学が個人的に一番難関。ただし、東大大問四と阪大小説は別次元なので例外です。九大文は古文道場と思っています

レポート・論文の書き方-四千字程度まで-

 レポート・論文作成に難儀する学生、通信生、一貫校生徒は少なくない。ここでは主に大学生を主たるターゲットとして意識しつつ上記人達にも寄与できればと考えている。又、レポート指南書は市場に数多くある。参考になるので、是非良書を読んでもらいたい。拙文はあくまで私流のレポート・論文作成技術の一つと理解してくれれば幸甚である。
 まず、以下を見てもらいたい。これは過去に投稿した漱石の『明暗』に関する論考であ

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慶應文学部英語

 毎年、センター試験をはじめ、特に早稲田大学、慶應義塾大学の問題は注視しています。
 慶應文学部小論文について言及したついでというわけではありませんが、ここでは文学部入試の特性、ひいては慶應義塾大学各学部が求める資質について述べてみたく思います。
 そもそも慶應が国語を大学で課さないのは、「福澤諭吉先生は旧時代の学問たる古典が実学の慶應にそぐわないと考えたから。」といった、どこかでまことしやかに言

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国語の勉強法I-大学受験編-

 現代文の勉強としては、「これはつまりどういう事を言っているのであろう?」という"意識"を常にもちながら眼前の文章一つ一つを精密に読解していく事です。(抽象表現を解剖するということ。)
 それを訓練するためには、「これはどういう事を言っているのか説明せよ。」と記述させる東大、京大をはじめとした国公立大用を意識した問題集(『得点奪取現代文-記述・論述対策-』や『現代文のトレーニング記述編』『上級現代

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民草のための仏教

 日本では仏教は「鎮護国家」の為に導入され、国家的な内憂外患に対して霊的に備える為のものであった。それは形式的には鎌倉時代までは続いて行く。つまり、仏教は民衆のものではなく皇族貴族層の為のものであった。
 古代の日本仏教は、そうした流れの中で、律宗や法相宗、華厳宗と言った南都六宗のような教典研究を行う学問重視型のタイプと、密教と呼ばれる天台宗や真言宗のような「加持祈祷」で国家守護や皇族貴族個人の願

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近代におけるノベルとロマンス

 文明開化による近代の曙光は従来からの小説のあり方、概念を変容させるものとなった。近世までの大衆文学である読本、人情本が徐々に衰退していく過程で、坪内逍遥は『小説神髄』に於いて、小説の方法論として「模写」及び「写実」を措定し、近代文学が定立すべき小説の概念を近世文学の批判的受容により創出していくこととなる。
 逍遥は、小説を夢想的で新奇な設定を用いる「ロマンス」から、ありのままの現実の諸相を映し出

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近世思想史

京極夏彦『陰摩羅鬼の瑕』中、主要登場人物たる中禅寺秋彦林羅山を俎上に載せ、近世国学について言及する件があります。中古から近世の思想的変遷は幕府の思惑とも重なり興味深い分野の一つかと思います。

    一、近世の和歌受容
 
 近世の国学は所謂、因襲的な中世和歌に対する批判の勃興をその端緒とする。元禄期の歌学革新運動がこれに該当するが、その人物として代表的なものに木下長嘯子、下河辺長流、契沖、戸田

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早慶レベルに受かるには-予備校と独学の関係-

慶應義塾大学、早稲田大学。早慶と言われるこの私学の雄は言うまでもなく、ごく一握りしか受からない。(早稲田などのマンモス大学では合格者の数もまた多い為、さらには、今は情報が氾濫しているが為、いかにも周囲が合格者だらけのように「錯覚」してしまうが無論それは錯覚である。)

「そんな事は鹿爪らしくお前に指摘されるまでもない!言うまでもない事だ。」
諸君はそう思うであろう。しかし、このともすれば忘れられが

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駿台の参考書

駿台の『東大入試詳解25年現代文』は、それ自体一つの現代文参考書であるかの如き名文であり、立ち読みしてでも全て読むことを薦める旨の投稿を昔した。

 駿台は予備校でありながら、そういう本質的な部分を一義に考えている点で非常に共感がもてる。皮肉なことに、その追求が駿台文庫の"傾向性"として学参レベルを超えた記述に著者を駆り立てさせ、結句、限られた時間内で合格する合目的的効率性から逸脱する事になるのだ

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