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noteに投稿した詩をまとめました。 (pixivでは、過去作や詩集等も投稿されてます。よければそちらもよろしくです!→https://www.pixiv.net/users/6…
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2022年8月の記事一覧

「名も知らぬ羽へ。」(詩)

「名も知らぬ羽へ。」(詩)

動かない羽を見つめる。

いっこうにその場から離れない君を見る。

微かに動く羽の合図。

もう遠くへはいけない。

風を背に受け、ただ灯火は佇んだ。

戦いの日は

終わりを告げた。

僕が揺らしても。

手を差し伸べても、きっと。

お互いに、何も知らぬのだ。

解り合えぬのだ。

動かなくなった羽を見る。

私は、それでも生きようとする。

ただ一度、微かな一度。

道行く人の人生よりも。

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「夜、生きている。」(詩)

「夜、生きている。」(詩)

……後何度、

蝉の旅立ちを見届けるのだろうか。

ふと思い付くフレーズ。

旅は続いていて。

灯りを目指して夜を歩く。

仕事終わりの人々に溢れる。

遠退く。

落ち着く。

足音が落ちる。

夜の香り。

鳥や虫のセカイ。

僕らのセカイ。

スケールは違えど、

僕らは同じ風を受けて。

生きている。

目を瞑る。

言葉が溢れる。

微笑んで。

誰かの記憶。

幸せだった、かつての記

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「彼岸花サルベージ。」(詩)

「彼岸花サルベージ。」(詩)

耳に響く音

ノスタルジーに眠り落ちる。

変わらない幸せな日常。

いつかの記憶。

想い出に浸る。

あの夏が甦る。

(……また、いつの日か。)

今。

目覚めた身体で。

……ただ、じっと耳を澄ませてみた。

遠くで響くサイレン

そんな「日常」が終わる音がした。

瞬間、僅かな数秒で。

視界は鮮血の花に染まる。

永遠を持たない僕ら。

あの日の想い出と、走馬灯。

……感情も薄れ、

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「空中浮遊」(詩)

「空中浮遊」(詩)

感情に置いていかれて、

向かうのは遥か彼方。

摩天楼が支配する夜。

心は

もっと高く、遠く。

光のままに、飛びたくて。

何度も、何度でも

呟いた。

ビルの窓から見下ろした

街。

変化を求める想いと

憧れ。

「……きっと、どこまでだって。」



空中に浮かべ。

(……まだ、これからだから。)

在りし日の名残を宿して。

苦しみと気付きの中で、

無我夢中で走る。

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「拝啓 あの日の僕へ。」(詩)

「拝啓 あの日の僕へ。」(詩)

揺れる身体

真夜中の風に預けきって。

廻るセカイとオルゴール。

程よい眠気に落ち着いて、

眼を瞑る。

寝転んで開けて

歩いて未来を見て。

頭の中にいる感覚

浮遊感に想いを馳せた。

いつかのあの日。

点と点。

線と線が紡ぎ、繋ぎ合わさる。

ゲームの様な人生。

誰かの想像の様な人生。

喜び、傷付いて。

多くのものを、失うように。

心の中で。

……それでも、生きるように

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