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「彼岸花サルベージ。」(詩)

耳に響く音

ノスタルジーに眠り落ちる。

変わらない幸せな日常。

いつかの記憶。

想い出に浸る。

あの夏が甦る。

(……また、いつの日か。)

今。

目覚めた身体で。

……ただ、じっと耳を澄ませてみた。

遠くで響くサイレン

そんな「日常」が終わる音がした。

瞬間、僅かな数秒で。

視界は鮮血の花に染まる。

永遠を持たない僕ら。

あの日の想い出と、走馬灯。

……感情も薄れ、意識はぼやけて。

思い出せないけれど。

人を傷付けてばっかの。

自分だけの

「正しさ」にまみれた人生だったけど………

(……それでも、まだ。)

積まれたいし。

少年少女、

日々の想い出。

崩壊したセカイの中。

歩く、歩く。

……まるで、心すら失ったように繰り返す。

誰かの夏。

僕の夏。

そして、散りゆく別れを。

(……失ってばかりだ。)

暗闇に惑い、 

間違いを踏む寸前。

暗闇を覗くような閃光が、

僕を刺す。

気付いた、

瞬間。

緩やかな川と船へ背を向けた。

フワフワと浮上、

身体は何かに引っ張られるみたいに。

吹き荒れる風に、

次第に顔を上げていく。

振り返る先には、

まだ暗い道が続いていたけど。

うっすら見える光。

この先のセカイは、ただ。

----青空に、支配されていた。

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