マガジンのカバー画像

何度でも読み返したいnote2

98
何度でも読み返したいnoteの備忘録です。こちらの2も記事が100本集まったので、3を作りました。
運営しているクリエイター

#エッセイ

行間を読むという不毛と意義

2022.6.3(金曜日) Line spacing 晴れている。 そして暑い。 暑いが出かけることにした私。 街を歩きながらいろいろ考えごと。 「そのセリフはそういう意味じゃないだろ!もっと役の心の奥を知れ!」 演劇をやっていた頃、何度そういう叱責を受けただろう。 行間をうまく読めない役者がそうやって演出家から叱責をくらうのは珍しい光景ではない。 そういう苦行をしたせいか行間を読むのは得意になったが、そうでない方と接する時にとても苦労する。 私はこの一言で充分だろうと

05.14

美味しいもの談義「よくわからんけどとりあえずすっごい美味しいもん食べたいなぁ。」 仕事の帰り道でぼくの隣を歩くいつもの上司が笑いながらぼくにこう語りかけてきた。 「そうですね。 とりあえずすっごい美味しいもの食べたいですね。」 そうぼくも笑いながら上司へと言葉を返す。 そうやってぼくと上司のいますっごい食べたいもの談義が突然幕を開けた。 まずはじめにあがった美味しいものは「回転寿司のサイドメニュー」だった。というのも仕事の休憩時間にぼくがInstagramで回転寿司

手作りお菓子の記憶

先日、母の33回忌法要があった。 お寺のお坊さんから「33回忌の法要をお務めになる人は多くありません。それだけみなさんが故人への思いを深くされ、徳をお積みになっているということです」とのお言葉を頂戴した。 母の法要はこれが最後になるだろう。 そこで母という人、また母を失った子供の心模様について記しておきたい。 なお、こうした記事は「スキ」やコメントを付けづらいと思いますが(私も躊躇するタイプ)母は非常に明るい人だったので遠慮は無用です。 そのほうが母も喜ぶと思うので^^

先輩が私を溺愛しすぎている

自慢ではないが、そんなに人に好かれる方ではない。 考えられる原因としては人見知りのため、親しくなるまでに結構な時間を要すること。大人になるにつれ、多少マシになっているんじゃないかと自分では思っているが、初対面の人に対して謎の敵対心のようなものを感じてしまうのは変わりない。こちらがそんなんだから、もちろん相手も私に嫌な気持ちは抱いてしまうよなーというのももちろんわかっているのだが、30年これで生きてしまったから、変えたくてもなかなか変えられない。そして「これが私だ!!!」と開

あの夏の、

忘れられない、夏がある。今でも時々ふと思い出して、ああ楽しかったなって顔がほころぶ、そんなひと夏の思い出。前にもnoteに書いたかもしれないけど、今日またふと思い出して、ふわふわと幸せな気持ちになったから書き残しておこうと思う。 大学3年生の夏、ホテルのビアガーデンでアルバイトをしていた。仕事自体は楽ではなかったけど、とても楽しかった。時間いっぱい客席を駆け回ってビールを運ぶ。季節限定のイベントを従業員もお客さんも、みんな一緒に楽しんでいるという印象で、みんな仲が良いという

涙の代わりに飲み干してた缶ビールを喜びに変えようじゃあないの

いつかの旅行帰り、座った新幹線が3人席だった。 私と夫と、窓際には出張帰りのような方。 旅の余韻に浸りながらあれが美味しかったこれが面白かったと話していると、出発から程なくして隣の方に声をかけられた。 「あのすみません」 「はい、どうされました?」 するとその方はスッ、と懐から買ったばかりであろうご当地缶ビールを出して一言。 「これ、やらしてもらっていいですか。」 あまりにキッパリとした潔さ! 私も夫も最高の気持ちになってしまった。 思わず笑顔で「どうぞ〜!」としか言え

俺が真也で真也が俺で

夫が真也に理解を示している。 それも、とびきり深い理解と同情をだ。 我々夫婦が、そろってAmazonプライムのバチェラージャパンを楽しんでいることは、既に何度かお伝えした。 参考記事① 参考記事② ←最近ようやくリンクを付けられるようになったから多用 バチェラーとは、たった一人の完璧な男性を複数人の女性たちが奪い合う恋愛リアリティショーである。 シーズン4から視聴をスタートさせ、その後シーズン1、2と順調に視聴を重ね、このほどついにシーズン3を完走した。完全制覇である。

あなたのおかげで、今日も楽しい一日だったよ。

万博記念公園で「OUTDOOR PARK」というイベントが開催された。 その名のとおり、アウトドアメーカーがギアの展示・販売をするほか、フード・ドリンクの屋台も出る。ポップアップテントなどの簡易テントを立てたり、シートを敷いたりする人も多く、アウトドア好きな人たちが集まって、思い思いに楽しむことができる。 ここ数年開催されているイベントで、キャンパーの私と夫も何度か足を運んでいる。今年も楽しみにしていて、日曜日の昼前に出かけた。 ただ、朝起きた時からあまり体調が良くなかっ

ぼくのエメラルド

これは、今から約10年前の、息子が小学2年生の時の作文だ。 夏休みに、街の小さなコンクールに友達と参加して書いたもの。 コンクール名は、「家族のことを書こう」だった。 息子はクワガタの「エメラルド」を、家族として作文に書いた。 私は少し、エメラルドが羨ましかった。 夏休み、私は、当時中学生だった難病の二女に付きっきりだった。 二女は外出することが難しい身体。 娘を預けるところも現在ほどは充実していなかった。 だから、息子はお友達の家族に混じって一緒に遊びに連れて行っても

仕事に行きたくなくなったらぶらり途中下車して焼肉を食べに行きませんか

お正月休みも終わり、早くも世間は通常運転モードに突入している。 「仕事に行きたくない!絶対に行きたくないでござる!!」とダダをこねている方々もいらっしゃることだろう。 仕事に行きたくない時は誰しもある。 しかし社会人の責任として、みなさん満員電車に揺られ、当然のように出勤する。 だが「どうしても行きたくない、今日は本当に無理」という時は、すべてを忘れて焼肉を食べに行ってみませんか。 私はそれで救われたのだ。 フリーターの悲哀20代前半の頃、とあるカフェレストランで働い

「ありがとう」を美しいと思ったあの夜を、

ああ、なんと美しいんだろう。 わたしも、然るべきときにはそう在りたい。 と、強く願った。 * 「洗っておくよ」と言われた。 赤いネルフのロゴ入りの、黒いマグカップはわたしのお気に入りで 昨日から、飲みかけのコーヒーを冷蔵庫に入れっぱなしになっていた。 今夜はもうコーヒーは飲まないから、洗っちゃおう。 そう、思ったときにこと。 「いいよ、わたしやるよ」 だってマグカップひとつだし。 わたしは、シンクの前に立っている。 君はこのあと、手を洗うついでだと言ったけれど ぜんぜ

あのひとの読む本|きらきらひかる

趣味がほしいんや、と彼が言った。 いつものように本を読みながら。 あるじゃない、趣味。とその本を指さして私は言う。 彼は私をみて本をみて首を振った。 読書は趣味やないよ。ライフワークやから。 長野まゆみがすきなの、と言って あぁ少年アリスのひとやろ。それだけ読んだことあるわ、 と返ってきたとき、私はびっくりした。 男性で、長野まゆみを読んだことのあるひとを、はじめて見たのだ。 浮気性で軽薄な彼は、意外にも、無類の読書ずきだった。 本なぁ、まあまあ読むで、と言うのは、別

役に立たないものが好きだという貴族的嗜好が私を救う

役に立たないものが好きである。 役に立たないものが好きであるという貴族的嗜好は、言い換えればこの世を逞しく生き抜いていくことにはあまり適していないということでもある。 小さい頃から現在まで、読書がほぼ唯一の趣味であるが、本を読むことで何かの役に立ててやろうという気は毛頭ない。 誤解を恐れずに言うなら、そういう考えはちょっと浅ましい気がする。 時間とお金をかけてせっかく読んだのだから、直接的に何かの役に立てたい、という姿勢はなんだか貧乏くさい気がするのだ。 時間とお金をかけ

【エッセイ】免許センターで誕生日会をすればいい

少し前に、免許更新のため江東区の免許センターに行きました。 大学生のとき免許を取ってから更新は3回目。でも免許センターのあの雰囲気、どうも好きになれなくて。 普段交わらない領域の人たちが、境界を超えて集まってきて、自由に出ていくこともできずに滞留してる感じ。ずもずもする。 そこにいる人たちがあまりにも読めなくて落ち着かないんです。鼻をすすっただけで怒り狂う人がいるかもしれない。急に大声で電話し出す人がいるかもしれない。長く待たされているという状況もあって、どんより濁ったよ