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LiD/APDあるあるカルタの由来をご紹介②と妥協案

カルタの詳細はこちらから(2024/5/6締めきりました) 4月末まで先日公開したLiD/APDあるあるカルタの由来となったエピソードをいくつか3コマ漫画でご紹介したいと思いま…

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3週間前
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小説を書くときの裏話

一週間にわたり短編小説「コトナリ研究所附属商店」を連載してきました。ここでどんなことに注意して書いていたかをちょっぴり公開。 ・読みやすさ 普段小説を読まない人…

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14時間前
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エピローグ

「えー?じゃあうたたねって歌う種じゃないの?」 アタルは無邪気にクーと言葉を交わしていた。 「そうだ。うとうとと、座ったまま寝てしまうような様子のことだ」 「…

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1日前
2

13 事件のあらまし

『まぁ、おばあちゃんたらうたた寝して…』 5歳の少年アタルはある日、そんな言葉を聞いたという。 うたたねという響きに植物が好きな少年は心を躍らせる。 『歌う種だ…

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1日前
2

12 解決の糸口

「うたた寝…って座りながら寝ちゃうとかってことですよね?」 クーとカズーは次の日、再度赤城村に訪れていた。 赤木は意外だという顔をして、クーの言葉を受け止めた。…

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1日前
1

11 ヒント

「その後、ナオミさんは医者顔負けの凄腕ナース、だもんなー」 「だが、あのままだったら弱って何かが起きていたかもしれない」 メモ帳を囲んでカズーとクーはそう話す。…

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2日前
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10 能力の代償

天災から3日後、赤城村の事件からさかのぼること約3カ月前 『こんなんじゃ死ねない…こんなんじゃ…』 『ナオミ先輩?…何やってるんですか!』 そこは病院のナースステ…

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2日前
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9 万能じゃない

「…」 クーは机に向かい、本をめくっていた。 クーとカズーの2人は商店に戻っていた。 わずかにある窓からはオレンジ色の光が差し込み、夕方だということが分かる。 …

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3日前
1

8 異常事態

「これは…」 「倒れている…いや、寝ている、かな?」 クーとカズーが赤木に確かめる。 赤木はこくりとうなずいた。 「全部で8人…全員、息はあるようです」 よく見…

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3日前
1

7 事件現場

「これは、なんというか…」 村を歩くうちにクーがふと口を開いた。 「the・村って感じ?」 「そう、それだ」 カズーも合わせるように話した。 確かに周りの建物は木…

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4日前
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6 ようこそ赤城村へ

クーとカズー、トニー、赤木は森の木に引っかかっていた。 「ほら、アカギの加護があっただろう」 「たしかにそうだけどぉ…」 「拙者、目が回り候…」 不思議なことに…

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4日前
2

5 移動手段

「ところで赤木さん」 店から一歩出たところでカズーが尋ねる。 カズーを挟んでクー、赤木が立つ。 「どうやってここに来たんですか?」 「そうだ、私も不思議だった。…

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5日前
8

4 来客の依頼

「改めて…」 客人はマテ茶のペットボトルをそっとテーブルに置いて喋り出した。 「赤城山の赤城村から来た、赤木です」 クーとカズーはまったく同じ角度で首を傾げ…

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5日前
3

3 あの日の天災

「約3カ月前…4月1日。日付から『エイプリルフールの天災』とも言われる」 クーはひとつひとつ言葉を確かめるように話し出す。 来客もそのまとう雰囲気からゴクリとつばを…

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6日前
2

1 来客

工房の入り口には、ユニコーンのような角を持ったウサギが立っていた。 「御用でござる!御用でござる!」 クーはその声に、つい手にもっていたものを落としてしまった。…

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7日前
6

2 この世界の仕組み

きぃきぃとわずかに音を立ててカズーが来客に近づく。 来客はこの時初めてカズーが車椅子に乗っていたと気が付いた。 「はい、ちょっとマテ茶」 「ちょっとまてちゃ?」 …

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7日前
LiD/APDあるあるカルタの由来をご紹介②と妥協案

LiD/APDあるあるカルタの由来をご紹介②と妥協案

カルタの詳細はこちらから(2024/5/6締めきりました)

4月末まで先日公開したLiD/APDあるあるカルタの由来となったエピソードをいくつか3コマ漫画でご紹介したいと思います。

第二弾は「う」

分かってる、他の人には悪気がないって。
でも、ちょっとの音で聞こえなくなってしまうんだ…!!

そして製品化した際のLiD/APDあるあるカルタの値段ですが、カルタではなくカードゲームとして製作す

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小説を書くときの裏話

小説を書くときの裏話

一週間にわたり短編小説「コトナリ研究所附属商店」を連載してきました。ここでどんなことに注意して書いていたかをちょっぴり公開。

・読みやすさ
普段小説を読まない人でも読めるよう、改行を多めにし、会話が物語の軸になるようにしました。また一話一話を700文字ぐらいまでに収め、ちょっとした空き時間でさっくり読めるように。(エピローグのみ長め)

・会話
会話している時に、誰がしゃべっているか分かるように

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エピローグ

エピローグ

「えー?じゃあうたたねって歌う種じゃないの?」

アタルは無邪気にクーと言葉を交わしていた。

「そうだ。うとうとと、座ったまま寝てしまうような様子のことだ」
「なーんだ、新しい植物なら、僕の図鑑に書けたかもしれないのに」

ちょっと残念そうにアタルは言う。
2人ともなんとか『オキタナ』の木から降りてきていた。
村はちょっとした大騒ぎだ。
しかしご神木のそばに生えた木。
切り倒されることは無

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13 事件のあらまし

13 事件のあらまし

『まぁ、おばあちゃんたらうたた寝して…』

5歳の少年アタルはある日、そんな言葉を聞いたという。
うたたねという響きに植物が好きな少年は心を躍らせる。

『歌う種だって、どんな花が咲くのかな?』

少年にとって植物があるのはご神木の森だ。
あまり頻繁に行くと怒られるので、アタルはそっと家を抜け出した。

『アタルくん、どこ行くの?』

近所の子どもがちょうど通りかかり、そう聞いた。

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12 解決の糸口

12 解決の糸口

「うたた寝…って座りながら寝ちゃうとかってことですよね?」

クーとカズーは次の日、再度赤城村に訪れていた。
赤木は意外だという顔をして、クーの言葉を受け止めた。

「ああ、大人ならばそういう意味で覚えているだろう」

急ぎながら歩いていく3人の後ろをトニーがぴょんぴょんと駆けていく。

「それが、あの子どもたちにとって『歌う種』と認識されていたら…」
「歌・種とうたた寝のダブルミーニング

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11 ヒント

11 ヒント

「その後、ナオミさんは医者顔負けの凄腕ナース、だもんなー」
「だが、あのままだったら弱って何かが起きていたかもしれない」

メモ帳を囲んでカズーとクーはそう話す。

「確かに諸刃の剣、というやつだ。強すぎる能力は扱いづらい」
「赤木さんも、パワースポット的な力だけで良かったのかもね」
「しかし…本当に今回のことは…」

クーがメモ帳を手にする。
あ、という顔をしてカズーが口をおさえる。

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10 能力の代償

10 能力の代償

天災から3日後、赤城村の事件からさかのぼること約3カ月前

『こんなんじゃ死ねない…こんなんじゃ…』
『ナオミ先輩?…何やってるんですか!』

そこは病院のナースステーションだった。

『――ちゃん、知ってるでしょ、このぐらいじゃ死ねないの』
『…私はその名を捨てました』

ナオミ先輩と呼ばれた女性は床にしゃがみ込んでいた。
床にはたくさんの刃物が落ちていた。
血の跡はあるが、その腕には傷ひ

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9 万能じゃない

9 万能じゃない

「…」

クーは机に向かい、本をめくっていた。
クーとカズーの2人は商店に戻っていた。
わずかにある窓からはオレンジ色の光が差し込み、夕方だということが分かる。

「くーさん、ちょっと休んだら?」

カズーがクーの横にマテ茶のボトルを置く。

「ああ、ありがとう。こんな時にネットが通じていればな」
「天災以降、インターネットはほぼ使えなくなっちゃったもんね」

クーの机には本とメモ帳が

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8 異常事態

8 異常事態

「これは…」
「倒れている…いや、寝ている、かな?」

クーとカズーが赤木に確かめる。
赤木はこくりとうなずいた。

「全部で8人…全員、息はあるようです」

よく見ると子どもたちの胸や肩は上下している。
時折誰かのうめき声が聞こえる。
そして、巨樹の根元に一人。

「あの子が中心…つまりあれがご神木で合ってるか?」
「そうです」
「とりあえず、近づいてみないと分からないな…」

覚悟を

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7 事件現場

7 事件現場

「これは、なんというか…」

村を歩くうちにクーがふと口を開いた。

「the・村って感じ?」
「そう、それだ」

カズーも合わせるように話した。
確かに周りの建物は木造だったり、レンガ。
とても現代の建築様式では無かった。

「赤城村という名前に合わせて村全体が村らしくある感じだ」
「先ほど商店で天災の話を聞いてから考えていたんですが」

赤木がぽつりぽつりと話し出す。

「私がいき

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6 ようこそ赤城村へ

6 ようこそ赤城村へ

クーとカズー、トニー、赤木は森の木に引っかかっていた。

「ほら、アカギの加護があっただろう」
「たしかにそうだけどぉ…」
「拙者、目が回り候…」

不思議なことに傷ひとつ負っていない。
だが、アカギは放心状態だ。

「竜巻…?台風…?ハリケーン……?」

ぶつぶつと何かを呟きながら虚空を見つめている。

「まぁ無事だったからいいじゃないか!…ん?」

ふとクーが顔を上げると大きな鳥居

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5 移動手段

5 移動手段

「ところで赤木さん」

店から一歩出たところでカズーが尋ねる。
カズーを挟んでクー、赤木が立つ。

「どうやってここに来たんですか?」
「そうだ、私も不思議だった。」
「ここに来るまでモンスターがいたと思いますけど」

赤木がちょっと困った顔をする。

「えっとそれは…その…トニーでしたっけ?」
「こいつか?」

クーがウサギを指さす。
今はクーの腕の中にちゃっかり納まっている。

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4 来客の依頼

4 来客の依頼

「改めて…」

客人はマテ茶のペットボトルをそっとテーブルに置いて喋り出した。

「赤城山の赤城村から来た、赤木です」

クーとカズーはまったく同じ角度で首を傾げた。

「…どう思う?カズー。」
「ご利益ありそうっすね」

赤木は困ったように後頭部をかきむしる。

「よく分からないんですけど、その、最近村長になりまして」
「もしかしてパワースポット的な効果があると思われてる?」
「その

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3 あの日の天災

3 あの日の天災

「約3カ月前…4月1日。日付から『エイプリルフールの天災』とも言われる」

クーはひとつひとつ言葉を確かめるように話し出す。
来客もそのまとう雰囲気からゴクリとつばを飲んだ。

「その日、嘘がホントになって欲しいという願いが、沢山集まった。」

ひとくち、クーがマテ茶をのどに流し込む。

「結果、願いが叶い、天災が起こった。」
「願いが叶うって、一見いいことのように思えますが…」
「だが『死にたい

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1 来客

1 来客

工房の入り口には、ユニコーンのような角を持ったウサギが立っていた。

「御用でござる!御用でござる!」

クーはその声に、つい手にもっていたものを落としてしまった。
器用に二本足で飛び回るウサギをクーは憎らし気に見つめる。
その飛び方はウサギというよりカンガルーだ。
一体どこで覚えたのだろうか。

「カズー、トニーの翻訳機のシステム間違ってない?」
「いや、ぴったりじゃない?」

カズーは右手をひ

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2 この世界の仕組み

2 この世界の仕組み

きぃきぃとわずかに音を立ててカズーが来客に近づく。
来客はこの時初めてカズーが車椅子に乗っていたと気が付いた。

「はい、ちょっとマテ茶」
「ちょっとまてちゃ?」
「飲むと落ち着いて、ちょっと待てるから、ちょっとマテ茶」

マテ茶にそんな効能などあっただろうか?
一口飲むと、なんとも言えない渋みが鼻に抜けていく。

「…ちょっと待てそう…です」

気が付くと、そんな言葉が来客の口をついて出てきた。

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