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小説を書くときの裏話
一週間にわたり短編小説「コトナリ研究所附属商店」を連載してきました。ここでどんなことに注意して書いていたかをちょっぴり公開。
・読みやすさ
普段小説を読まない人でも読めるよう、改行を多めにし、会話が物語の軸になるようにしました。また一話一話を700文字ぐらいまでに収め、ちょっとした空き時間でさっくり読めるように。(エピローグのみ長め)
・会話
会話している時に、誰がしゃべっているか分かるように
13 事件のあらまし
『まぁ、おばあちゃんたらうたた寝して…』
5歳の少年アタルはある日、そんな言葉を聞いたという。
うたたねという響きに植物が好きな少年は心を躍らせる。
『歌う種だって、どんな花が咲くのかな?』
少年にとって植物があるのはご神木の森だ。
あまり頻繁に行くと怒られるので、アタルはそっと家を抜け出した。
『アタルくん、どこ行くの?』
近所の子どもがちょうど通りかかり、そう聞いた。
6 ようこそ赤城村へ
クーとカズー、トニー、赤木は森の木に引っかかっていた。
「ほら、アカギの加護があっただろう」
「たしかにそうだけどぉ…」
「拙者、目が回り候…」
不思議なことに傷ひとつ負っていない。
だが、アカギは放心状態だ。
「竜巻…?台風…?ハリケーン……?」
ぶつぶつと何かを呟きながら虚空を見つめている。
「まぁ無事だったからいいじゃないか!…ん?」
ふとクーが顔を上げると大きな鳥居
2 この世界の仕組み
きぃきぃとわずかに音を立ててカズーが来客に近づく。
来客はこの時初めてカズーが車椅子に乗っていたと気が付いた。
「はい、ちょっとマテ茶」
「ちょっとまてちゃ?」
「飲むと落ち着いて、ちょっと待てるから、ちょっとマテ茶」
マテ茶にそんな効能などあっただろうか?
一口飲むと、なんとも言えない渋みが鼻に抜けていく。
「…ちょっと待てそう…です」
気が付くと、そんな言葉が来客の口をついて出てきた。