見出し画像

12 解決の糸口

「うたた…って座りながら寝ちゃうとかってことですよね?」
 
クーとカズーは次の日、再度赤城村に訪れていた。
赤木は意外だという顔をして、クーの言葉を受け止めた。
 
「ああ、大人ならばそういう意味で覚えているだろう」
 
急ぎながら歩いていく3人の後ろをトニーがぴょんぴょんと駆けていく。
 
「それが、あの子どもたちにとって『うたたね』と認識されていたら…」
歌・種うた・たねとうたた寝のダブルミーニングになってしまったと?」
 
そんな馬鹿な、という顔を赤木がする。
 
「コトナリというのは、言葉への先入観が強いと意味が変わるんです」
「そういえば、倒れてる人に大人はいませんでしたね…」
 
そしてご神木の森に辿り着く。
 
「でも、どうやって解決するんですか?」
「相手がたねなら、種じゃなくすればいい」
 
クーは巨樹きょじゅから3メートルほど離れた所から革製の札を掲げた。

「それは…?」 
「土の精霊の魔法だ。…豊かな育ちを。ノーム!!」
 
巨樹きょじゅの根元にいた子どもの手がそっと開かれる。
光に包まれた種からは葉が出て花が咲き、地に降りた。
それと同時に子どもたちは目を次々に開けた。
 
「やった…!くーさん!!」
「ああ、起きたな」
 
クーは巨樹きょじゅの根元、目をこすっている少年に近づいていく。
 
その時だった。
 
「えっ?うたたねが育ったら起きた菜おきたなになるの?」
 
少年がそう口にした。
咲いた花から溢れんばかりの輝きが放たれる。
 
「まさか…」
 
クーがしまったという顔をする。
その少年のまゆ毛の形、目つき…。
確かめる間もなく地響じひびきが起こる。
 
「村長、この子もしや、キミの身内ではないか?!」
「わ、私のおいっ子で、赤木アタルです!!」
 
「それを先に…っ!」
 
叫ぶ暇なくクーと少年は急成長した花に足を取られ宙に浮いた。
そのままくきは太く、葉は青々あおあおと育ち、まるでジャックと豆の木だ。
 
「それを先に言ってくれぇええええええええ!!」

そんな叫びが上空から聞こえたのは数秒経った後だった。
 
 
 
 
 次:https://note.com/hanasoraen/n/nf847f68d9fce


#創作大賞2024
#ファンタジー小説部門
イラスト:https://twitter.com/ano_ko



この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

よろしければ推してください!