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7 事件現場

「これは、なんというか…」
 
村を歩くうちにクーがふと口を開いた。
 
「the・村って感じ?」
「そう、それだ」
 
カズーも合わせるように話した。
確かに周りの建物は木造だったり、レンガ。
とても現代の建築様式けんちくようしきでは無かった。
 
「赤城村という名前に合わせて村全体が村らしくある感じだ」
「先ほど商店で天災の話を聞いてから考えていたんですが」
 
赤木がぽつりぽつりと話し出す。
 
「私がいきなり村長になったのも、村の建物がこんな感じになったのも」
「天災後、というわけか」
「…そうです」
 
村人は赤木の顔を見ると『村長!』と手をかかげ、赤木も手を上げる。
そんな様子が何回もあった。
きっといい村長なのだろう、この世界が普通であれば。
クーは思案しあんするように手をあごにあてる。
 
「だったら余計に村の中で事件が起きてるのが不思議だな…」
 
クーがそうつぶやいたその瞬間だった。
 
「匂う…でござる」
 
クーの肩に鷹狩たかがりのように乗っていたトニーが言った。
 
「!」
 
3人と一匹の間に緊張が走る。
 
「…ここです。ご神木の森。ここが事件現場です」
 
森の前には「立ち入り禁止」と書かれた看板。
その看板の脇をそっと通り抜けると巨樹きょじゅを中心に子どもたちが倒れていた。
 
 
 次:https://note.com/hanasoraen/n/ne583da03ad86?sub_rt=share_pw
 
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イラスト:https://twitter.com/ano_ko

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