4 来客の依頼
「改めて…」
客人はマテ茶のペットボトルをそっとテーブルに置いて喋り出した。
「赤城山の赤城村から来た、赤木です」
クーとカズーはまったく同じ角度で首を傾げた。
「…どう思う?カズー。」
「ご利益ありそうっすね」
赤木は困ったように後頭部をかきむしる。
「よく分からないんですけど、その、最近村長になりまして」
「もしかしてパワースポット的な効果があると思われてる?」
「その通りです!」
赤木は大きくため息をついた。
「そもそも赤城村とは現在、無くなっているはずだ」
「それが、復活したんです。」
ふっとクーが息をつく。
「これもコトナリかな」
だが、赤木は深刻な顔をして言葉を紡いだ。
「そこで、村民が次々眠ってしまうということがありまして…」
「!」
カズーがゴクリと唾を飲んだ。
「もうすこし詳しく」
「場所は、ご神木の周りで…子どもがその根元に寝ていました」
クーの求めに応じて赤木が答える。
クーもさっきまでの雰囲気とはまた違った顔つきだった。
「後は…歌のようなものが聞こえるとか。」
「歌…」
「そして、子どもの様子がおかしいと、駆け寄った他の子も」
「眠ってしまったというわけか」
指を唇にあてて、クーが考えるそぶりを見せる。
「あの…どうか私たちの村に様子を見に来ていただけませんか?」
「そうだな…まずは現場を見ないと分からないな。」
クーはマテ茶をごくりと飲んで、ぽつりとつぶやく。
「コトナリを知らない村…か」
「あ、あの…」
「大丈夫ですよ赤木さん」
カズーがにこやかな顔で赤木に話しかけた。
「天災どころかコトナリが見られない村?!」
「そんな村があったのか、ああ知りたい、今すぐ見に行きたい!!」
「どうしてそんなことが起こってる?!くぅうううう!早く見たい!!」
カズーが手を広げながらそう言うと、クーが横からほっぺをつついた。
「代弁するんじゃない。合ってるけど」
「このひと顔に出ないだけで意外と感情豊かなんですよ」
赤木はクーの顔をそっと見る。
ちょっとむくれているように見えた。
「そ、それでは…?」
「ああ、この依頼受けさせてもらう」
「ありがとうございます!!」
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