【11:天王山に最も近い裸玉2】5六玉完全作裸玉「還らずの都」22.11.15.
【前作:4六玉完全作裸玉】
22年10月には4六玉完全作裸玉の発見をしました。
【5六玉完全作裸玉】「還らずの都」
「驚愕の断崖」発表から数週間、持駒を少しだけ変えてみると偶然にも5六玉完全作裸玉が得られました。天王山に手が届きそうなところにまで来ることができました。
初手から4手目までは「驚愕の断崖」と同様、開幕桂連打の拠点作りです。もしかしたらまだ見つかっていない3六玉完全作裸玉も桂連打で始まる図なのかもしれませんね(→投稿後見つかりました)。
11手目は飛車を成っても成らなくても詰み手順に影響は出ず、この場合15手目の▲7六飛成で合流します。これは5手目に▲4一飛や▲4二飛とした場合でも同じです。12手目▽7七桂が上手い受けで下段に金駒を打つのを防いでいます。これ以外の対応は全て30手未満で詰んでしまいます。
20手目は歩合/香合非限定の変同があります。八段目に打っているので利きは歩香ともに変わらず、詰み手順に影響はでません。
29手目より▽2八玉・▽1八玉・▽1九玉のどこに逃げても詰み手数は同じなので作意を▽2八玉としました。▽1八玉(変同)と逃げた場合は詰み上がり図が作意と同じです。
また▽1九玉(変同)と逃げた場合は銀龍玉が一段下がった形での詰みになります。
【完全性の証明】飛打・香打の範囲
検討にあたって、飛車の打ち場所の検討範囲例を次のように定めました。基本は盤の下段を逃げ回るため、玉の左右4マス分、上3マス分(七段目以下は三段目まで)、下端までとしました。香の打ち場所は全て調査しました。
完全性を証明する検討NOTEは下記のリンク先の通りです。
天王山裸玉・4五玉裸玉への単純な2手逆算はほぼ不可能
「還らずの都」から天王山に上る候補としては飛車・金・銀・香・歩を頭に打って取らせる2手逆算が最も簡単です。しかしながら、飛車と金、銀をそれぞれ加えると▲6七桂からの余詰が発生してしまいました。残された手段は香と歩です。
歩を加えると初手▲5六歩に▽同玉なら完全作成立ですが、▽6五玉と交わされてどうやら詰まないようです。これを37手以下で詰めることができれば天王山完全作裸玉の探索は終わりを迎えましたが、残念ながら叶いませんでした。そういう意味でタイトルを「還らずの都」としました。残された可能性は香ですが、下段から打って合駒請求をして違う詰み筋が見えてくるので望みは極めて低いでしょう。
ちなみに、4五玉裸玉への単純な2手逆算も試みました。角は▲6七角から離して打てば最後に合駒が余る余詰がでるでしょうし、金銀を加えると初手▲5七桂からの余詰があります。また、桂を加えると初手▲5七桂や▲3七桂は▽5六玉でどうやら詰みません。「還らずの都」の詰み手順通りに詰めようとした場合、後半で5七桂が龍の移動を邪魔しますし、3七桂は最後の銀上がりを邪魔するためだと思われます。
果たして、天王山完全作裸玉は実在するのでしょうか――。
【まとめ】
天王山の完全作裸玉への貴重な探索拠点になるかもしれない5六玉完全作裸玉【5六玉|飛金2銀2桂2香(はる筆線屋、NOTE、2022.11.15.)】を発見しました。
スペシャルサンクス
詰将棋おもちゃ箱 様
裸玉完全作リストを拝見いたしました
パナソニック将棋部 御中
脊尾詰を使用させて頂きました
窪田義行(空気から整えていく 環境派)峰王 尊師
拙エレベーター詰に対し、”詐術的印象を与える”と迚も心温まる難癖をTwitter上で引用ツイートして頂き、スマホ詰パラからの引退及び裸玉・双裸玉等の無好手詰将棋を重点的に探索する契機を頂戴いたしました
尊師をはじめとする詰パラ系創作者と解図者のお目汚しをしないように配慮し、このような好手も好手順もない詰将棋は辺鄙なNOTEでの発表といたしました
「ためになるわ」と感じて頂ければサポートを頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。