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異文化交流おてもやん/連載エッセイ vol.70

※初出:知事認可・岩手県カイロプラクティック協同組合発行、「ほねっこくらぶ通信 vol.72(2012年・第5号)」掲載(原文ママ)。

この通信表面にもあるように、私を含む、当組合理事3名が、2年間籍を置いていた、韓国・ハンソ大学校の『健康増進大学院・理学修士課程』を無事卒業と相成り、8月半ば、その卒業式出席の為、初めて真夏の彼の地を訪れる事となった。

現地集合で、異国の空港に集まった『同級生』達の顔は、みんな晴れやか…そう…ワタクシを含む、数名を除いては…。

毎度お馴染みの大学専用バスに揺られる事、約2時間。
つい3ヶ月前に訪問したばかりの大学構内に降り立ち、まずはカフェテリアにて夕食。

…と、ここで嬉しい誤算!! 
メインの惣菜として、1人1人へアツアツ石焼鍋に入ったプルコギが!! 

実は、集中講義1年目の韓国家庭料理満載の職員食堂から、2年目に入って、シェフの交代に伴い、そのカフェテリアに食事場所が変わって以降、食事の時間は、『娯楽』から『作業』の時間へ変貌していたのだ…。
大学さんよぅ…最後に気遣いありがとなぃ~!!

さて、食事が済んだら、そそくさと大学近くの温泉地の宿舎へ移動。
エレベーターのないホテルを、3階の自室まで荷物を抱えて辿り着くと、夜は大宴会場にて『前夜祭』開催!! 
開放感に溢れた表情で集まってくる卒業生達。

そして…空港でいまひとつ浮かない顔をしていた、ワタクシを含む数名は、会場奥のパーテーションで区切られたスペースへ…。

そう…そこで行われたのは…9月からダイレクトに開始される、『公衆衛生学博士課程』へ進学する者への『オリエンテーション』!! 

大学側からの説明も終わり、質疑応答も終わって…
これからの行く末を想像し、心もち虚ろな表情の進学予定者達…
『さぁ!! それでは宴会に合流しますか!!』…と誰となく促しても…
やはり席を立てない進学予定者達…
そして顔を見合わせ、苦笑いを交わす進学予定者達……
嗚呼、予定者達…。

翌朝、卒業式当日。まず大学に着いてしたのは、『ガウンの試着』。
事前に身長と、何故か体重まで申告していたので、自分にぴったりなガウンが宛がわれる。

それから順番に始まったのは、『個人記念撮影』。
自分の番になり、『即席撮影スタジオ』となった教室へ入ってビックリ!! 

そこには宣材写真を撮るかの如く、綺麗なセットがド~ン!!
撮影機材がバ~ン!! 

思うに、日本人は、プロによる改まった『記念写真』なんて撮影する機会は、そうそうないかと。
手馴れた様子のカメラマンに促されるまま、撮影自体はあっという間に終了。

ただこれが、今回の大学滞在最後にして『物議』を醸す事になろうとは、だれひとり想像してはいなかった…。

その後、いよいよ卒業式場へ移動。

但し、このハンソ大学、1つの山を丸々切り開いてキャンパスにしている為、『麓』近くにあるカイロプラクティック学科の校舎から、『山頂』近くにある講堂までは、かなりの距離と高低差が!! 

しかも真夏の湿度満点な気候!! 

そして風ひとつ通さない漆黒のガウン…。

十数分かけて会場に着いた時、誰もが『ナニカを成し遂げた達成感』に浸ったのは言うまでもない…エィドリアァァ~ン!!(←意味のわからない良い子の皆は、お父さんやお母さんに訊いてみてね!!)

さて、いよいよ卒業式が開始。

さすがに地域を代表する大学の式典だけに、雰囲気は荘厳そのもの!! 
プロの声楽家による国歌斉唱に引き続き、大学の関係者だけでなく、自治体の首長達も、次々に壇上でスピーチを披露!! 
改めてスゴイ大学の課程を修了したんだなぁ…と、今更ながら実感。

…はい…実感してはいるものの…やはり…耳慣れない言語のみが行き交う状況というのは…睡魔を誘うもので…。

…いかんいかん!! 

なんといっても我々、日本からの卒業生が座っているのは、最前列!!
しかもステージ脇の巨大スクリーンには、常に壇上から撮影された会場内の様子が、リアルタイムで映し出されている!! 

そこで必死に目を凝らし、そのスクリーンを見つめる…。

真剣な表情で壇上を見据える同級生…。
焦点の合わない視線ながら、必死に座位姿勢を保持する同級生…。
白目を剥きながら身体を前後左右に揺らす様が、さながらゾンビのような同級生…。
そして…完全に『沈没』してしまった同級生…嗚呼、同級生…。

式後、『お前、寝てただろ!! 映ってたぞ!!』と突っ込むも、『アンタだって寝てたじゃん!!』と突っ込み返される人多数。
人間、自分が寝ている時の記憶は残らないモノなのである、当然ながら!!

その後、集合写真を撮影して、『3色キムチ』が入った日本食弁当を頂いて、残りの個人写真を片付けたら、いよいよ本日のもう1つのメインイベント・『国際カイロプラクティック会議』へ参加。

韓国側からの研究発表だけでなく、日本の卒業生からも数組登場。
これまで2回開催された国際会議では、私自身、発表の出番が毎回あったので、それなりの準備と緊張感を持って臨んでいたが、今回は『一参加者』。
う~ん…楽チン!!

そしていよいよ宿舎へ戻って、『祝賀会』を開催!!

…といっても、いつもであればここで、浴びるようにマッコリを韓国人学生と飲み比べをする所であるが、今回はその晩の内にバスでソウル市内へと移動する行程になっていたので、皆、少々抑え気味。

まぁ仕方がないとはいえ、ちょっと盛り上がりに欠けて寂しいなぁ…と思っていると…最後の最後に『爆弾』が投入されたのだった…。

それは、なんの変哲もない『茶封筒』だった。

しかし…それを手にして中身を確認した者は、全て驚愕の表情を浮かべ、その場に蹲った…。
不思議に思い、私も自分の封筒を手にし、中身を確認した…。
するとそれは…昼間に撮った『個人記念写真』だった…。

…が…ナンカチガ~ウ!!!! 

かなりな違和感を覚えつつ、明るい照明の下で再び写真を確認する!! 
おお!!
……お…お…お肌がテュルンテュルンだぁぁ~…しかも不自然に!!

そう…その記念写真は、『修正』されていたのだ…リクエストもしていないのに!! 

訊けば、彼の地では写真を修整する事は当たり前の事だとか。
そして、元々の顔が『薄め』な私の『被害』は、まだ『軽微』なもので、目鼻立ちのハッキリしている者や、メイクをバッチリしていた者は…『濃ゅい』を通り越して、もはや『おてもやん』の様な有様に!!

あの…『プライベート』ならまだしも…ワタクシ達…この写真を『仕事用』に使うつもりなんですよね…あの…本人かどうか識別微妙な写真って…使えないですよね…マジで…。

う~む…恐るべし『韓国文化』!! 
そんな訳で、『博士課程』の3年間を通して、引き続き調査の続行を決意するワタクシなのであった…。


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