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水戸黄門化しても面白いもの

久々の読書の投稿となります。

IWGP

この文字の並びを見てピンときた方は、プロレスファンか私の好きなシリーズのファンですよね。

毎年、9月中旬頃に最新刊が発売されるのを楽しみにしています。

ずっと読んできた大好きな現代ものの連作短編シリーズはと言えば、この「池袋ウエストゲートパーク」か「東京バンドワゴン」になります。

池袋駅西口公園の片隅で八百屋を営みながら、様々なトラブルに巻き込まれながら無償で問題解決をしていくトラブルシューターの物語。

文才のある主人公が、依頼されている連載コラムに最近あった話を軽妙なタッチで綴っていて、私たちは読者としてその投稿内容を読んでいるという感覚で各章が進んでいきます。

最新作である本作は19作目。

ここ最近は、毎年1冊ペースで刊行されていますが、常に最新の時事ネタを取り扱っています。

軽口を叩く主人公の一人称で語られますから、どうしても軽めのタッチに感じがちですが、いやいや中身はゴリゴリのハードボイルドです。

池袋のストリートの話ではありますが、主人公含めそこに住むメインキャラクターたちはしっかりとした熱い芯を持っていますから、交渉担当と暴力担当は分かれるとしても、フィリップ・マーロウを髣髴とさせるようなカッコいい決め台詞が至るところに見受けられます。

おそらくはクドカンによる長瀬くんと窪塚くんのドラマの方がメジャーになり過ぎていて、あれはあれでとても面白いのですが、小説の方はもっとオシャレで疾走感があり、各章の終わりでは毎回ため息が出るような余韻というか灌漑深い思いをさせられるはずです。

本シリーズはフィクションではありますが、本屋大賞のノンフィクション部門で受賞したブレイディみかこの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」が好きだった方なら、あの読書感と読後感が味わえます。

外伝もありますし、アニメ化もしていますが、まずは第一作目を読まれてみて楽しめたのならば、しばらくは小説だけで楽しい時間が続くはずですよ。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。

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