モトカレ物差し
すごく不義理なことばかり続いたり、
傷つけて、傷つけられて、ズタボロになったり。
今思い返しても、腑が煮え繰り返りそうな程に
ムカつく思い出ばかりだけれど。
今の私達を守るためのメモリになったと思えば、
あの涙もやっぱり無駄なんかじゃなかったのね。
久しぶりに親友の声を聞いた。
新天地での楽しい生活、研修中でのハプニング、
最近良い感じの人のご紹介コーナーなど。
それはそれは盛り上がって、すっかり夜更けに。
「待って、元彼寄せ合つめみたいな奴じゃん」
「お!約束守ってくれるなんて元彼とは違うね」
「ねぇ、アイツの二の舞になるよ?大丈夫?」
私達は「好きな人」ができる度にモトカレ物差し
を使って、こと細かに測り合う。
22年間の、2人分の恋愛が詰まった物差しは、
随分と細かいメモリになっていて。
二度とあんな目に遭わないために。
注意し、褒め合い、互いの幸せを祈るために。
新しい恋の行く末を、心から願うからこそ。
「そう考えると、あの屍も無駄じゃないね」
親友がポツリと言ってくれた。
うん、本当にね。
私達のママみたいな美しきシンデレラストーリー
には到底及ばないけれど、私達の手で、しかと
盲目になり過ぎず、現実的に幸せを掴もうな。
きっと大丈夫だよね。
だって、あなたが測ってくれたメモリだから。
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