君が初恋じゃなくて死ぬほど良かった
もっと昔の君と出会えていたら…
お揃いの制服で2人乗りする高校生を見て、ふいにパラレルワールドの私達へ思いを馳せる。
バド部の君と、吹部の私。
朝は一緒に登校して、廊下で手を振って、帰りは公園でお喋りした後、家まで送ってくれる。
みたいな。
君は優しいから、演奏会は毎回必ず顔を出してくれるはず。
「泣いてないもん」
なんて言いながら、きっとボロボロ泣いて定期演奏会の感想を教えてくれるんだろうな。
良いな。羨ましすぎる。
だけど、同時にこうも思う。
“君が初恋じゃなくて死ぬほど良かった”って。
素直になれず抉り合う毎日を過ごしたり、
付き合っているのに途方も無い孤独を感じたり。
転ぶたびに、私だけの恋愛ルールが更新されて、
“正しい愛し方”なんてものを、言葉でも行動でも
きちんと示せるようになった。
奴らに感謝なんて、微塵もする予定は無いけれど
「恋人が無条件に永遠の愛をくれる訳ではない」って教えてくれたことだけは、ありがとうな。
毎分毎秒可愛い可愛いと言ってくれること、
忙しいのに時間を作って会ってくれること。
写真フォルダが私で満タンになっていること、
人類学や音楽の話を同じ熱量で語れること。
落ち込んだ時にそっと抱きしめてくれること、
友達に私の話を沢山してくれること。
この温もりや平穏な毎日が、決して当たり前ではないということを、私は知っている。
なんだ。ちゃんと前に進んでるじゃん。
こんなに頑張ってレベル上げしたんだから、もう君が最後の恋ってことで、良いよね?
そうしよう。
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