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会社の成長を支えるナンバー2の育て方 vol.85 【社長必見】ナンバー2を育てるうえで大事なポイント

ナンバー2を育てるうえで大事なポイントとは?

自分の会社にもナンバー2はいるが、どうも期待通りに行動してくれないという悩みを持つ社長は多いです。

その原因によって対応は異なります。

単純にナンバー2のスキルや経験の不足によるものであれば、

・スキルアップのために研修やセミナー受講など学びの機会を与える
・より多くの経験を積ませ、長い目で見て成長してくれるまで見守る
・面倒くさがらずに一定期間は経営目線を説きながら任せた業務の進め方を丁寧に教える

ナンバー2としての役割や考え方を理解していないのであれば、私のような外部サポーターを利用するのもひとつの手段です。

ナンバー2が期待通りに行動してくれないという社長の悩みを伺って感じることは何かというと、

「自分は変わるつもりはないけれど、ナンバー2には変わって欲しい」

無意識かもしれませんが、こうした考え方をされている社長が多い印象です。相手に求めるばかりなのですね。

ナンバー2本人がスキルアップに励み、経験を積み、ナンバー2としての役割や心得を学んだとします。ですが、ナンバー2が長期に渡って社長の期待通りに活躍するためには実はそれだけでは足りず、もう一つ考えないといけない大事なテーマがあります。

なんだと思いますか?



それは会社員という立場のナンバー2の心理を理解し、ケアすることです。

これを疎かにしてしまうと、

・いつまで経っても期待通りに行動してくれない
・ナンバー2と対立して不毛な派閥争いが起きる
・ナンバー2がある日突然退職を申し出る
・顧客や社員を引き連れて退職されてしまう

といったことが間違いなく起きます。

ナンバー2の役割とは何か、会社にとってどれほど有益で重要なポジションなのかと日頃お伝えしている私ですが、ナンバー2にはナンバー2の悩みや葛藤というものがあります。かくいう私自身が嫌というほど経験しているので手に取るようにわかります。

ということで、今回はナンバー2の心理とケアについて解説したいと思います。

ナンバー2が抱える悩み、葛藤とは何か?

ナンバー2は社長とはまた異なるストレスフルなポジションです。経営幹部の一員として、上を立て、下を従え、目標や成果に邁進するのですから誰でもできるポジションではありません。

そんな重責を担い、ストレスフルなポジションのナンバー2の心理を考えてみましょう。

①承認欲求
ナンバー2は縁の下の力持ち、裏方としての役割が多いため、成果を出してもそれは社長や部下の成果とみなされます。ナンバー2も人間ですから、人目につかない努力の積み上げによるものだと社内外で認めてもらいたいと思う気持ちがあってもおかしくありません。この満たされない気持ちに社長が無関心だとナンバー2が虚しさを感じる場合があります。

②自己犠牲
ナンバー2は責任感が強く、社内で誰もやりたくない仕事にも率先して取り組まなければいけない場合も多いです。立場として割り切って対応するものの、誰もやりたがらない仕事というのはストレスが多い仕事であり、その仕事を遂行したところで誰からも感謝もされないのであれば損な役回りだと感じる場合があります。

③板挟みの苦しさ
ナンバー2は社長の補佐をしながら、事業推進の要として現場のリーダーとして部下を率いなければなりません。両者の立場や事情、考えも理解しているので社長と部下との間で板挟みになり、成果が上がらなければ両者からの不満や非難を受けることもあります。

④重要な情報が共有されない
誰よりも会社のことを考えている自負があればあるほど、自分が情報共有の輪から外されている場合に、社長に対する不信感を抱くことがあります。それが取るに足らない内容であればまだよいですが、事業推進の立場として把握しておかないといけない重要な情報が共有されていない場合には忠誠心も揺らぐかもしれません。

⑤社長への幻滅
創業期からいるメンバーがナンバー2である場合、社長の思いや考え方に共感し、一緒に会社を盛り上げていこうという気持ちが強いかと思います。また、成長期に課題の連続で挫けそうな社長を中途入社などで補佐役として活躍することもあります。ところが、事業が軌道に乗り、業績が好調で会社規模が拡大すると慢心し、利己的な言動が増える社長がいます。自分が支えたいと思う人間はこういう人間ではないとナンバー2が幻滅し、心が離れていくことがあります。

⑥自分の将来に対する不安
ナンバー2は会社員ですから自分で自分の年収や待遇を決めたり、退職金などの将来への備えをすることはできません。社長に全ての生殺与奪を握られているのが当たり前です。社長は自分の将来を自ら選び取ることはできますが、ナンバー2にはそれができませんし、仕事で成果を上げても正当な評価をしてもらえない場合や、仮に定年まで働いたとしても退職金もなく放り出されるだけという漠然とした不安を抱きます。

いかがでしょうか。

「そんなこと考えたことがなかった」と社長から驚かれることがあります。

逆に、ナンバー2を経験したことがある人には納得感があると思います。
私は3社でナンバー2をやりましたが、退職したきっかけは必ずどれかに該当します。(たいがい⑤です)

社長との間に強い信頼関係があり、成果が上がり、会社も右肩上がりの成長をしている時はお互いに良いのかもしれません。

ですが、社長との付き合いが長くなると成果を出すのが当たり前のようになり、労いも減り、年収も頭打ちになると、報われない気持ちになりやすいのです。まして、社長が慢心し、利己的になるとフォロワーとしての気持ちも揺らいでしまうものです。

ナンバー2としての日々の仕事は思うようにならないことの連続で、辛抱強くなければなりません。また当然成果を出し続けるためにも大量のインプットとアウトプット、試行錯誤を繰り返す必要もあります。

一方で、補佐役は影武者みたいなものでもありますから、部下にはその働きも見えにくく、ナンバー2自身が社長以上に信望を集めてもいけません。

また、前述したような隠れた承認欲求も満たされないとなると正直やりがいも感じなくなってしまうことがあります。

社長は何を気を付ければよいのか?

では、社長はナンバー2に対して何を気を付ければよいのかということですが、

・成果を出すために誰よりも真剣に取り組み、成果を出していることに対する感謝、労いの気持ちを忘れないこと
・隠し事をしないこと
・慢心しないこと
・変心しないこと
・裏切らないこと
・ナンバー2の将来についても本人と話し合い、ともに考えること

言ってみれば心がけに関することばかりです。お金もかかりません。

馬鹿馬鹿しいと思われるかもしれませんが、これらができていない社長の会社ではナンバー2が育たない、対立する、辞めてしまうということが起きます。

本当は社長の言葉ひとつで報われ、満足するものなのです。

以前にも記事にしましたが、ホンダの本田宗一郎と藤沢武夫や劉備と諸葛孔明などが長期間にわたり良い関係性でいられたのかを考えてみるとわかりやすいと思います。

崩れることのない信頼関係と絶え間ない相互の感謝と尊重、見合った待遇の維持です。

ですので、ナンバー2の待遇を将来に渡って保障したり、高額な年収を支払わないといけないということでは決してありません。

また、お金が全てではないと言えるのが本当に信頼できるナンバー2です。
私も業績が悪い時は自ら何百万単位で自ら年収を下げていました。そういう人も世の中に存在するのです。

長々書きましたが、要は社長の心遣いです。

また、ナンバー2育成に限らず部下のマネジメントに際しても、同じことが言えます。いつもありがとう、ごめんなさいとしっかり言えるだけで部下との関係性も変わります。

さて、それでもナンバー2が退職してしまう場合もあるでしょう。

それは、元々独立志向が強かったのか、経営幹部として仕事に従事するうちに自分で会社をやってみたいと思うような場合です。喧嘩別れでなければ良い関係性を維持して頂きたいと思います。

ナンバー2育成について悩まれている経営者の方の参考になりましたら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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ナンバー2育成のノウハウを知りたい経営者に75ページにわたり、ナンバー2育成について詳細に解説しています。
<掲載内容>ナンバー2の選び方/ナンバー2の役割の理解/ナンバー2の育て方/ナンバー2を期待通りに活躍させる社長とは

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