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伝統の新しい形vol.1「伊勢崎銘仙の挑戦」〜織物の街のこれからを考える〜

シェア街オンライン拠点のdentou庵によるトークイベントを開催しました。
伝統職人や新しい取り組み・挑戦や思いを語るイベントになりました。
2021年3月5日(金)20:00~21:00 Zoomで開催しました。

登壇者は群馬県の伝統絹織物「伊勢崎銘仙」をアップサイクルしたアパレルブランドを展開する村上采さん。

参加者チャットメモ
【質問1:どこから参加してますか?】
千葉県市川市から参加してまーす / 札幌です! / 練馬です! / 都内から参加です! / 名古屋からです! / 板橋区です〜 / 群馬です! / 東京、北区からですー / 千葉からです!! / 東京ですー! / シェア街きょてんの御徒町! / 横浜からです / 千葉です!! / 東京です。 / シェアハウス御徒町から参加です
【質問2:うどん県と言えば?】
香川 9票
群馬 2票→惨敗

タイムスケジュール
20:00~ 挨拶
20:05~ シェア街・拠点説明
20:15~ ゲスト紹介
20:30~ 質疑応答
20:50~ フリートーク
20:55~ お知らせなど
21:00 終了

【シェア街と拠点紹介】


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●シェア街●
『リアルとオンラインにある仮想の街』

①リアル拠点(実際に建物があり、住民が暮らしている)
リトルジャパン:ゲストハウス/シェアハウス&カフェ/バー
両国シェアハウス:シェアハウス
御徒町シェアハウス:シェアハウス
エシカルペイフォワード:エシカルブランドセレクトショップ
ソーシャルビジネスラボ:コワーキングスペース

②オンライン拠点(住んではいないけど、オンライン上で関わっている)
CBS(コミュニティビルディングセンター):コミュニティ、拠点立ち上げ&運営の支援
シェア街メディア:シェア街内の記事作成やメディア発信など(SNSやnoteやYouTube)
コミュニティラボ:コミュニティの実験室的な拠点、理論と実践の研究
ENGAWA:日替わり店長のやりたいに人が集まる仮想のカフェバー
クリエイティブラボ:多様なジャンルのデザイン、クリエイティブの創造
dentou庵:日本の伝統を考えるオンライン拠点
and more・・・(仕事の拠点、ヘルスケアの拠点など)

③住人の関わり方
ビルダー:拠点立上げ、コミュニティ運営など
ライター:情報発信
リサーチャー:コミュニティの理論・実践の研究
サポーター:街の活動サポート
ウォッチャー:街の活動を見守る

④しごと/つうか/きょてん
・コミュニティ立上げ運営、記事書く⇒「しごと」をする
・しごとをすると「つうか」がもらえる
・つうかはリアルな「きょてん」の施設利用料や飲食代として使える

つまりシェア街とは!
リアル拠点とオンライン拠点が融合した仮想の街の中で、
リアルな住民とオンライン上の関係住民が混ざり合い、
街づくりを通してコミュニティの研究・実践をする⇒コミュニティ

●dentou庵●
コンセプト:誰もが気軽に日本の伝統を知り、伝え、育む文化を作る
活動内容:伝統シェア・体験・アップデート

ポイント
①身近にある伝統に気付く(習慣、季節の催し、家族・学校・地域行事、SNSトレンド等)
②既存の型にとらわれず、オリジナルにアレンジ、アップデート
※知られさえしないで消える伝統は後を絶たない→まずは知ること
※皆が参加できる、知ってもらえる、現代に馴染む、目に留まる工夫を施す
※雑に扱うのではなく、ジブンゴト(共生している)という学びを生む

最近の活動
・メンバーの興味ある伝統のイベントやサイト等の共有
・個人 / グループ体験会(染め織、和紙漉き、落語など/折り紙、書初め、節分豆まき、和紙作りなど)

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今後の活動
・マンスリーテーマ/勉強会
・伝統街歩き&体験会
・他の拠点とのコラボ
・外部登壇者によるトークイベント
・みんなから募集

拠点長:つよぽん
群馬県伊勢崎市出身、神奈川県横浜市在住、都内勤務
海洋地質調査会社の技術営業
シェア街dentou庵の運営
地方特化イベントのスタッフ、練馬のBarのイベント・コミュニティ活動支援
教育系NPOの高校生、社会人のPBL授業支援
地域を知り、文化を知り、豊かさを身近に取り入れるため活動をしている

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以下より村上さんとのお話

【ブランドを立ち上げた背景】

村上采さん
群馬県伊勢崎市出身。
株式会社Ay代表と慶應義塾大学SFCの4年。

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中高生の時に地域の中で生きることに閉鎖的感覚を覚え、外の世界に出てみたいと思い、15歳でアメリカへ留学し、世界の広さを知る。大学入学後もいろいろな場所で活躍したいという思いから、活躍の場を海外に選び、旅を含め現地の人と協働しながら活動を続ける。

その中で、コンゴ民主共和国で現地の人と服を作り、日本で販売するビジネスを立ち上げたことが現在のブランドに繋がっている。

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今までは海外で0→1を作る事業をやってきた。
現在掲げるビジョンは「世界に通用する日本文化ブランド」を作ること。

【今まで海外を見てきたのに、なぜ日本文化にフォーカスするのか?】

村上さんの出身地である群馬県は、富岡製糸場で知られるようにかつて絹産業が盛んな地域だった。富岡製糸場は、蚕を育て、そこから採れる糸をつむぎ、生糸を生産していた工場で、その糸から『銘仙』と呼ばれる絹織物が生まれ、大正から昭和にかけて、着物として当時の女性たちに着られていた。

伊勢崎で作られる銘仙は正絹(シルク100%)であることと、『併用絣』という先染めの平織ものであることが特徴にあげられる。そして、北関東に分布する銘仙の産地の中でも、伊勢崎独自の技法である併用絣は、たて糸・よこ糸の両方に先に柄を染め、それぞれを合わせて織っていく技術で、たて糸のみに色を付ける一般的な着物の技法に比べると、はるかに労力を使う高い技術だった。

全14工程からなり、各工程に特化した職人が揃って初めて生産ができる技術であり、現在は高齢化や洋装化の波、道具の不足や材料の生産終了などにより存続が不可能な現状にある。

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郷里の文化を自分自身が知らずに育ち、家族に聞かされて初めて、祖母、曾祖母も銘仙を織る職人であったことを知る。同時に、郷里の文化を知らなかったことへの恥ずかしさや、自分の親族や地域の人達が紡いできた文化「銘仙」がすでに生産ができない現状にあることに衝撃悲しみを感じる。

日本全体で観ると、技術の過小評価や高齢化による伝統産業の衰退は大きいが、逆に海外では世界的ハイブランドが日本の伝統産業を取り入れている現状があり、日本発の日本文化を取り入れた世界的ブランドはまだ数少ない。

だからこそ今、群馬県から、日本文化を取り入れた世界に評価されるブランドになれれば思っている。

【世界を目指すカルチャーブランドの挑戦】

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株式会社Ay
コンセプト:「文化を織りなおす」
紡がれた文化に向き合い、ほぐし、新たな価値を添えて発信するカルチャーブランドとして活動を展開。

現在は、郷里の絹織物「伊勢崎銘仙」をアップサイクルした衣服、小物を制作し、オンライン中心で販売を行っている。素材はもとより、縫製をしている工場も伊勢崎の縫製工場であり、地域に還元できる活動を掲げ、ブランドを展開している。

絹独自の風合いやツヤ感、肌触りを知ってもらうために、販売会も定期的に開催する他、クラウドファンディングで新商品含め、郷里で紡がれた文化を新たな価値と思いを添えて全国に届けている(2021年3月15日終了:目標202%達成)。

全14工程からなり、各工程に特化した職人が集まらないと生産が難しい銘仙。最盛期の技術と形で生産再開は難しいものの、今回のクラウドファンディングで集まった資金により、現代の技術(絣織の技法)と掛け合わせて新しいテキスタイル開発に踏み込む糸口ができる。

全国に目を向けると、地域に眠るフォーカスされていない多様な文化が、まだまだたくさん存在している。

それらの文化を廃れさせるのではなく、新たな価値を添えて発信していくカルチャーブランドでありたい。』

【コメント・質疑応答】

コメント:群馬のイメージ
群馬ちゃん / 群馬ちゃん / ぐんまちゃーん / かるた? / スキースノボでよく行きました / ソースカツ丼 / 草津温泉/草津温泉とか? / 温泉いっぱい / 富岡製糸場、歴史で習いました!

コメント:銘仙とブランドについて
日本の技術は高度❣ / 衰退酷そうですよね / 文化を織りなおす / 素敵すぎるコンセプト / コンセプトからかっこいい / かっこいいーー / 素敵ですねえ~!! / カラフル〜 / 直で見てみたい / 素晴らしい / クラウドファンディング、支援させていただきました!

Q:(自己紹介スライドで着ていた)お着物はどこの紬ですか?大島紬?
A:大島紬に似ているけど、祖母が現役織職人時代に織った銘仙です。

コメント:京友禅よりは工程数すくなかったな

コメント:14工程もあって各工程に職人がいるって凄い!
村上さん→当時は14工程だけでなく、蚕の搬送など更に細分化された分業制だったそうです。

Q:最新の技術で織の工程を再現出来るんですか?
A:伊勢崎に昔から銘仙を織っていた人達が、銘仙が生産されなくなった現在は「ほぐし絣」の技術で銘仙独特のテキスタイルを引き継ぎながらインテリア等を展開しているので、将来的にコラボしたいと思っています(そのためのクラファンでもあります)。染色に水ではなく熱転写を採用しているところもサスティナブルで注目されているそうです。

Q:もともと着物であるものをほぐして別のものに作り替えることは、消費者にとってどのようなメリット(消費者からの観点)がありますか?
A:着物だと買い手がいない、着方がわからない人も日常的に着られる形にしている点はメリット。また、アップサイクルという、もともとあるモノの形を変えたり付加価値をつける手法で、エネルギー量も最小限におさえられるところも良い点なのではないかと思います。

コメント:お着物だと値段が高くて手が出しづらい・・・

Q:海外に向けての取り組みはどのようなことをしていますか?
A:現在36cm幅しかない着物を使って洋服を制作しているので、大量生産が難しいという課題があります。今後資金が集まり、テキスタイル開発が進むと、幅が150cm程に広がり、服のデザインバリエーションを追加したり、インテリアに展開したり、量を増やして世界に届けることができるようになると考えています。また、現在Webサイトも英語記載にしている最中です。

コメント:着物は外国人に人気ですね。京都でよくレンタルしてますね。
村上さん→海外からの評価が高い傾向があるところは面白いですね。外の地域に出て高く評価されたものを見て、地元の人が改めて価値を見直す、逆輸入的な流れも築き上げていきたいです。自分自身、海外に行って初めて日本の技術(絹、縫製など)が高いということを知り、銘仙の良さに気付き納得がいくことができたので。

Q:海外と日本の技術の違いはどんな感しですか?
A:コンゴでは、国柄や人間らしさというか、とてもフリーダムな感じで、サイズ違いや、伝えた仕様通りにならないなど、日本と違う難しさはいろんな方面から感じました。

Q:ホームページを見ると男性用の製品が少ないようですが、今後男性用の製品の展開予定はありますか?
A:やりたいです。実はクラファンの支援者の男女比は1:1で半々。意外と奇抜な柄物を男性も好んで選んでくれることが分かったので、今後頑張って展開していきたいです。

村上さんQ:メンズだとどんな製品があったら買いたいと思いますか?
参加者A:羽織は良いと思ったけどもう少し楽に着れるものもいい。シャツジャケットみたいな軽めのタイプとか。

コメント:女子だけどメンズものも好き! / 男性用上着はカッコいい / 
村上さん→ユニセックスなら女性もゆったり着れていいです。

コメント:スカーフやネクタイなら派手めでもいけそう
村上さん→ネクタイは着物幅が足りなくて(60cmは必要)できないんです。スカーフは新作で作りました。

Q:ハンカチはあり?
A:ハンカチは毎日使うものなので、洗ったりする手入れが少々大変です。

葛布職人さんコメント:静岡の伝統工芸『葛布』で着物の帯を織っている。
消えたり生まれたり、形を変えたりしながら、着物、日本の手仕事は絶対残っていくだろうし、これから必要とされていくものだと思っています。普段見ている世界とは違う世界が見れたのもすごく面白かったし、若い方が着物や伝統工芸に目を向けてくれて、すそ野を広げてくれることで、着物のほうにも「やっぱり伝統っていいね」と目を向けてくれる方ができるだろうと思ってこれからが楽しみです。ありがとうございました。

コメント:パッチワーク面白い! / 葛の繊維で作るやつですよね、たしか / 葛布は襖にも張られますねー / 絹は髪にも良いので帽子いいですね / 高貴な方に着られていたあたり沖縄の芭蕉布みたいですね / 

村上さんQ:葛布初めて知りましたが、銘仙と同じで一般着として着られていたようなものですか?
職人さんA:葛布は特殊で、野良着として使っていた地域もあれば、静岡産の葛布のように光沢を帯びていて、絹と同等で平安時代の位の高い貴族などに献上する品でもありました。また、商人が通行人に売るものとして価値のあるものとして売買されていた歴史もあります。
村上さんコメント:若い人の伝統への関りで言うと、今の若い人(主に自分達Z世代)は、モノの消費を早くするのではなく、豊かさや自分の心の満足度を重視する傾向にあると思っていて、モノ一つに対しても「どこで、どのように作られているか」や「対等に作られたものか」などを考える傾向があるので、伝統品はこの世代にはすごくフィットする感覚があるので、今後の展開を頑張っていきたいと思います。

コメント:それ、すごくわかります!! / 大量生産 大量消費の時代はおわり。これからの時代は良い物を長く使う時代ですね / 同感です。 / 良いものは長く使いたいですね

Q:伊勢崎銘仙の柄のパターンは伝統的な定型があるのですか?
A:併用絣かつ抽象画、幾何学模様が特徴、ちょっと説明が難しい(笑)。商品のパンツに使ってる柄はよく布団に使われていた背景があります。

コメント:このパンツかわいいと思いました♡ / 何から銘仙の柄のインスピレーション受けてるんだろう? / 布団。アニメで見た / 職人さんってデザイナーさんでもあるんですね!

コメント:銘仙の技術はすごく大変そうだけど、なぜあえてこんな大変な手法で織っていたのかを考えると、地域の人柄や市民性が見えて面白いです。
村上さん→銘仙は足利、桐生、伊勢崎、秩父、八王子と五大産地があり、最盛期はお互いの産地の特徴を真似たり、刺激を受け合いながら開発を進めていき、競争意識もありながら展開されてきた産業であったと聞いています。

Q:伊勢崎銘仙でブランドをやっているけど、出会ったのが八王子や足利銘仙だったら、そっちの銘仙でブランドを始めていましたか?
A:ご縁があったことや地元であるということで、思い入れもあり、無くなってしまうことへの寂しさから最初に手を付けたいと思っていました。

コメント:くるみぼたんに銘仙柄あったら可愛い / 布小物ならブックカバー  / 鞄はありだろうか?
村上さん→鞄はトートバッグありますが、キャンバス地は硬くて銘仙と合わないので難しいです。

コメント:伊勢崎銘仙を和紙で裏打ちして壁に張る / 銘仙の柄の手拭いや風呂敷 / 風呂敷はいいけど手ぬぐいはもったいなくて使えないかも / 木の持ち手やがま口バックや蔦編んだやつと合わせたらかわいいかな? / 履物(部屋履き)とかあったらいいなあ / 中巾着で網目から柄見えてもかわいい / 下駄の鼻緒とかほしい / アイデアワークやったら無限にアイデア出てきそう(笑)
村上さん→着物の幅の条件を加味しながらアイデアワークショップもやってみたいですね。

Q:伊勢崎市(地域)と伊勢崎銘仙(伝統)は今後どうなっていく?
→時間切れ(1時間は短すぎました)・・・

村上さん、最後に一言
クラウドファンディング落ち着いたら次の展開が見えてくると思うので、そこでまた深堀った話をしたり、今日来ていただいたみなさんの地域文化について共有できる時間ができれば嬉しいです。

【終わりに】

廃れゆく産業に新しい価値と思いを乗せて、日本だけでなく世界に向けて発信していく村上さんの挑戦、ぜひ今後も応援していきたいと思います。

また、デザインやアイデアを考えるワークショップや、同じ思いや方向性を持って新たな取り組みをしている若い方、職人さん達に巡り合ったときに、対談イベントとか開いたら、また面白いお話ができそうだと感じました。

今回はイベントにご参加いただき、本当にありがとうございました。

【告 知】

次回トークイベントの日程
2021年4月10日(土)19:30~21:00
「和紙」について職人さんに登壇いただく予定です。

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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