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ぐん税ニュースレター vol.43 page04 -マーケティングコンシェルジュ-

今回からは企業が取るべき戦略の考え方について書いていこうと思います。

経営活動における戦略の位置付け

企業の経営活動において、いきなり個別の事業戦略について考えるのではなくまずは経営理念から考えていく必要があります。階層で表すと経営理念は最上位に位置します。経営理念はミッションとほぼ同義で使われていますが、社会における存在意義や目的を現したものが経営理念です。経営理念の役割はいくつかあります。まずは社員の働くモチベーションに繋がります。何の意識を持たずに機械のように労働を続けるよりも、理念に賛同して社会に貢献していく方が有意義な働き方ができます。もう一つは何かを判断する際の基準になることです。新しいことを提案する際やクレームに対応しなければいけない時など、経営理念に則った行動を取ることで個人の主観に頼らない判断をすることができます。ですが経営理念は組織に根付いていないと役割を果たしません。経営理念それ自体は決めればいいだけですが、それを浸透させるためには社員の行動や考え方、つまり組織文化が重要です。

経営理念の次に考えることはビジョンです。ビジョンは英語のまま理解している人が多いと思いますが、企業が目指すべき目標と言っていいでしょう。ここは理念とは異なりますので、成果が判断できるような具体的な目標が望ましいです。そしてこのビジョンを達成するために企業として戦略を立てます。企業にはいくつか事業があることが多いですが、企業のなかで各事業をどう構成して運営していくのかを考えるのが企業戦略です。そしてその事業ごとに競合他社とどう戦うのか、どのように競争優位を気付くのか考えるのが事業戦略です。細かく解説すると各事業の中には部門がありますので、部門ごとに戦略を立てるのが機能戦略です。

SWOT分析

経営活動の階層ごとの戦略の構成について理解したところで、戦略をどう立てるのかを考えていきたいと思います。戦略策定でよく活用される定番のワークフレームにSWOT分析があります。SWOT分析では内部環境と外部環境の2つの視点を組み合わせて分析をします。
内部環境の分析では自社の強み=Strength弱み=Weaknessを洗い出していきます。内部環境は主に、人、商品力、ブランド力、開発能力、生産能力、設備、財源などの経営資源を中心に分析します。例えば専門スキルが高いスタッフが多い、商品の知名度がある、独自技術の生産体制がある、などは強みになります。逆に慢性的な人手不足や得意分野がない場合には弱みとなります。
外部環境の分析では自社を取り巻く機会=Opportunity脅威=Threatについて洗い出します。外部環境はマクロとミクロの視点で分析するとよいです。マクロの視点とは自社関係なく日本の経済状況そのものです。例えば今で言えば円安や日銀の金融政策などが企業に及ぼす影響です。ミクロの視点とは企業に直接影響を与える外部環境です。例えばデジタル化による顧客ニーズの変化、同じ商圏に競合他社が進出してきた、などがあげられます。

内部環境と外部環境の洗い出しが出来たらそれぞれを掛け合わせたクロス分析を行います。以下の図で見るとわかりやすいです。

強み×機会の箇所では自社の強みを活かし機会を最大限に活用して成長のチャンスを掴む戦略を考えます。先ほどの例で言えばITインフラのサービスに強みを持つ企業がデジタル化の流れに乗って自社サービスを積極的に展開するなどが考えられます。
弱み×機会の箇所では、顧客ニーズが新たに生まれたり技術革新でビジネスチャンスが生まれたりといった機会があっても自社にリソースがなく、その機会を掴めていない状態ですのでその弱みを克服、改善、強化して機会を掴む取り組みを考えます。
強み×脅威の箇所では、強みを活かして脅威のリスクを回避したり最小限に留めたりする戦略を考えます。例えばデジタル化の流れで客離れが起きている印刷会社が、紙媒体とデジタルを融合したクロスメディア戦略を提案したり、印刷技術に特化して美術・デザインに優れた印刷物でアナログ回帰を提案したりするなどが考えられます。
弱み×脅威の箇所では、自社の弱みをよく理解し脅威に対してどう対処すべきか考えます。この場合、脅威に打ち勝つための強みどころか、むしろ弱みがある状況なので、無理にリソースを割いて非生産的な戦略を取るよりは潔くその事業から撤退をした方が良いケースも考えられます。

SWOT分析は事業の規模や分野関係なく用いることができるフレームワークです。企業単位から事業単位でも活用することができます。内部環境はもとより外部環境も日々目まぐるしく変わっていきますので、戦略策定済みの場合でも定期的に見直すことも重要です。SWOT分析は比較的取り組みやすい分析手法ですので、ぜひ活用してみてください。

マーケティング 原


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