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12の基本スキル「段取る」:プロジェクト管理(2/2)

本ブログ記事は『ビジネススキル 完全攻略 -基本編-』からの抜粋になります。全部まとめて読みたい方は、是非、電子書籍をご購入ください。

「段取る」スキルの、前編は、こちらになります。


「スケジューリング」で時間・タスクを管理する

 実行計画のガントチャートが部門やチーム全体のやるべきことを具体化しているものだとすると、行動計画は、個人に限定したガントチャートのようなものです。

ガントチャートに記載したタスクの中で、自分が担当するものをピックアップし、それをGoogleカレンダーのようなスケジュール管理ツールに記載していきます。

ガントチャートをスプレッドシート(エクセルなど)で作成している場合は、ソート機能を活用すれば、簡単に自分のタスクを抽出することができます。
 
スケジューリングのコツを3点お話したいと思います。

まず、スケジュールは最低2週間を基本単位としてスケジューリングしていきましょう

分かりやすく言うと、今週と来週の10日間(80時間)のスケジュールをきっちり埋めるということです。

実績だけ記入するのではなく、どの時間に何の業務を行うのか計画段階のタスクも記入することが大事です。

大企業の社長も若手社員も割り当てられている時間は同じです。
いかに、時間を有効に活用していくかが、仕事の生産性に大きく影響を及ぼします。

また、時間管理がきちんとできているかを定期的に振り返ることも大事です。
月曜日の朝の早い時間に、今週・来週をどのようなスケジュールで動くのか改めて見直しをかけ、その週の金曜日の夕方ぐらいに1週間の振り返りを行い、来週のスケジュールを組み立て直していきます。

これを習慣化していくと、自分の時間管理の癖のようなものが把握できていきます。

私の場合は、午前中は、プランニングや資料作成など、頭を使う時間に当て、午後は、社内外の打ち合わせを入れてスケジュールを組むことが多いです。

どの時間に何の業務を行うかは、人それぞれだと思うので、仕事の生産性が一番高まるよう業務を組み立ててみてください。

次に、タスクは30分を基本単位としてスケジュールを組むようにしてください。1日の業務時間は8時間、1か月の営業日数は20日になるので、時間数に直すと、1か月の業務時間は160時間です。

タスクを30分で設定するということは、タスク単位に直すと、1か月を320個のタスクに設定することができます。

この320個のタスクを、いかに有効に活用して処理していくかが、行動計画を確実にやりきるためにとても重要です。

なお、通常、スケジュール管理ツール(Googleカレンダーなど)は、デフォルトの設定が60分単位になっているので、これを30分単位に変更することをお勧めします。

3番目が、タスクは大きいものから入れていくこと。

たとえ話で、瓶の中に、大きな石、小さな石、砂利を入れていった時に、どの順番から入れていくと、瓶の中身を一番埋められるかという話があります。
先に砂利を入れたり、小石から入れると、大きな石を入れられなくなってしまいます。
まずは、大きな石から入れ、次に小石を入れ、最後に砂利を入れていくと、瓶の中身を一番埋めることができます。

これは、石や砂利は、タスクの大きさを意味しています。まず、まとまりのある大きなタスクからスケジュールに入れていき、その後、細切れの時間に、小さなタスクを入れていくと、スケジュールを効率よく埋めていくことができます。

大きなタスクとは、たとえば、作成に時間のかかる資料作成などです。一方で、小石や砂利は、細切れ時間でも対応できる事務処理だったり、資料の印刷だったりします。

できるだけ、効率よくスケジューリングができるよう工夫してみてください。

若手社員の場合、結果(成果)を出せる人とそうでない人の圧倒的な差は、ほぼ、時間管理・タスク管理ができるかどうかです。

社内の場合、他のメンバーのスケジュールを見ることができますが、仕事のできる人は、スケジュールが2週間、3週間先まで綺麗に埋まっています。
仕事のできない人は、そもそもスケジュールにやるべきことが記載されていません。

「この先輩、仕事できるな~」思ったら、その人がどのようにスケジュールを組んでいるか、チェックしてみてください。とても、参考になると思います。

目標管理制度との紐づけ

最後に、目標管理制度が、実行計画や行動計画とどのように紐づくのか解説したいと思います。

「基本スキルの重要性」のところでも少し軽く触れましたが、目標管理制度(Goal Management System、またはManagement by Objectives: MBOとも呼ばれる)とは、組織内での目標設定と達成を中心に据えた管理手法のことを言います。

この管理手法は、組織の全体的な目標と社員個人の目標を整合させることに重点を置きます。

 通常は、通期の年間計画が立てられ、それを上期と下期の6か月単位に分割し、それぞれ、部門単位で目標を設定していきます。

この部門単位で設定する目標を具体的な計画に落としていったものが実行計画に相当するものになります。

また、社員は、この実行計画の中から、自分が担当する業務を抜き出して、個人の行動計画に落としていきますが、目標管理で設定する内容は、この行動計画に相当する内容を記載していくことになります。

目標と言っているので、単純にタスクを記載するだけでなく、タスクを達成した後に、どのような目標を達成しなければいけないかも記載する必要があります。

 目標管理制度は、個人の能力を発揮させるためのよくできた管理手法だと思いますが、個人の能力でできることを目標に設定するのではなく、必ず、戦略からブレイクダウンして、個人の目標に落とし込んでいくことが重要です。

ボトムアップで目標を設定した場合、個人の目標の総和が、必ずしも、戦略達成に紐づかなくなるからです。

目標管理制度を導入している企業は、実行計画や行動計画を、うまく会社の制度に紐づけて運用していくと、会社の動き方と個人の動き方がリンクして一体感を醸成することにつながります。

プロジェクトマネジメントの資格制度

「段取る」スキルは、プロジェクトマネジメントの基本的(本質的)なことしかまとめていません。

もっと、本格的にプロジェクトマネジメント技法を身に着けたい人は、米国、PMI社が提供するPMPの取得を目指してみてください。

PMP(Project Management Professional)は、米国プロジェクトマネジメント協会(PMI: Project Management Institute)が提供する、国際的に認知されているプロジェクトマネジメントの資格です。

PMP資格は、プロジェクトマネジメントの知識、経験、スキルを持つプロフェッショナルを認定するためのもので、世界中のさまざまな業界で高い評価を受けています。

PMP資格の特徴

国際的な認知度:
PMPは、世界的に認められたプロジェクトマネジメントの資格であり、多くの国々でその価値が認められています。

広範な知識ベース:
PMP資格は、プロジェクトマネジメントの知識領域を広範囲にカバーしています。
これには、プロジェクトの開始から計画、実行、モニタリング・コントロール、そしてクロージングに至るまでの各フェーズが含まれます。

資格取得の要件:
PMP資格を取得するには、プロジェクトマネジメントの実務経験が求められます。
また、プロジェクトマネジメントに関する研修を受ける必要があります。

試験:
PMP資格取得のためには、包括的な試験に合格する必要があります。試験は、プロジェクトマネジメントの知識と実践に関するものです。

継続的なプロフェッショナルデベロップメント:
PMP資格者は、資格の維持のために定期的なプロフェッショナルデベロップメント(PDUs: Professional Development Units)を取得する必要があります。

PMP資格のメリット

キャリアの促進:
PMP資格を持つことは、キャリアアップにおいて大きなメリットがあり、特にプロジェクトマネジメントの役割を求められるときに有効です

高い給与:
多くの調査によると、PMP資格を持つプロジェクトマネージャーはそうでない者よりも高い給与を得る傾向があるようです。

専門知識の証明:
PMP資格を保有しているということは、プロジェクトマネジメントの専門知識とスキルを持っていることを証明します。

ネットワーキングの機会:
PMIのメンバーとして、他のプロフェッショナルとのネットワーキングの機会が増えます。

PMP資格は、プロジェクトマネジメントの分野で能力があることを証明し、プロフェッショナルになるための有益なツールになります。
特に、大規模なプロジェクトの場合、プロジェクトが炎上するリスクが常にあるため、プロジェクトマネジメントの技法を身に着けることは、とても意味のあることだと思います。

演習課題を解いてみる

最後に、パートチャート&ガントチャート作成の演習課題を2つ作ってみました。是非、トライしてみてください。

演習課題①
今日の夜19時に、大学の恩師を自宅にお招きして、急遽、カレーライスをご馳走することになりました。
時間内にカレーライスを作るためのパートチャート(段取り、手順)、ガントチャートを作成しなさい。また、時間(業務)をショートカットするための工夫を最低3つ組み込んでください。
遂行人数に制約条件はありません。

制約条件:
予算は2,000円です。
今は15時です(つまり、制限時間は4時間です)。
恩師は、インド風カレーが好きです。

演習課題②
夏休み(8月)に多摩川の川下り大会に出場することになりました。
ミッションは大会で優勝することです。
参加条件は、イカダを自力で組み立てること、また、参加メンバーは5人です。大会までの期間は2か月です。
大会に参加し優勝するためのパートチャート(段取り、手順)、ガントチャートを作成しなさい。
また、時間(業務)をショートカットするための工夫を最低3つ組み込んでください。

制約条件:
予算は2万円です。
乗組員の構成は、船頭1名、漕ぐ人4名です。


エグゼキューションスキルで求められる「処理する」スキルと「段取る」スキルに関して学んできました。20代の頃は、一つひとつのタスクをきっちり処理できる力がついてくると仕事でも成果が出しやすくなります。また、段取る力がついてくると、タスクを構造的に処理できるようになるので、頑張ってマスターしてもらいたいと思います。

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