5/21 神薙ラビッツ「KANNAGI RABBITS Classical」LIVEレポ
アイドルとは、ここまでできるものなのか。
それとも、神薙ラビッツだからできるのか。
可能性だけを言えば、前者かもしれません。
ですが、少なくとも令和5年の現時点では、私にとっての答えは間違いなく後者です。
そう断言できるほどにとてつもないものを、見せてもらいました。
前置き
こんにちは!灰色です。
今回の記事は5/20に開催された「KANNAGI RABBITS Classical」のレポートでございます。
徹底した和の世界観に基づく超ハイクオリティの楽曲群、洗練されたパフォーマンスに加えて、ライブアイドル界屈指の企画力も備えた無双のグループ・神薙ラビッツ。
一度はしっかりがっつり見てみたいと思いつつもなかなか予定が合わなかった中、今回のイベント
が発表されました。
一夜限りの特別なステージと銘打たれたその概要は、なんと弦楽四重奏+ピアノによるクラシックスタイルの公演!!
いくらなんてもこれは只事ではないと速攻で予定を固めまして、今回無事に参戦できました。
いや…………本当に…………
本当〜〜にすごかった…………
マジで…………
凄すぎる…………神薙ラビッツ…………
これでは全く進みませんので、ひとまず前置きはこの辺で切りまして、レポ本体に参りましょう。
この日の会場は浅草花劇場。
こち亀でもおなじみ、日本最古のなんで無事故なのか不思議なローラーコースターがあることでも有名な浅草花やしきの中というか裏というか、にあるコンサートホールです。
私にとってはもちろん初めての会場だったのですが、並んでる最中にも例のローラーコースターの落下音がガンガンに聞こえてきたりします。花やしき自体にも幼少期に何度か行ったことがあるので、少しばかりノスタルジックな気分ですね。
また脱線ですが、この日はなんとあの浅草三社祭とも被っており、一番盛り上がる最終日こそ翌日だったものの、街は神輿をはじめとして海外からのお客さんや家族連れ、それから路上で飲酒しまくるふんどしのオヤジ軍団で大いに賑わっておりました。
とにかく、奇しくも非日常感でいっぱいとなったこの日のシチュエーション。開演前から、否が応でも変なテンションになってきました。
しかし、本当の意味で特別な心地になっていったのはここからです。
ラビッツと5人の奏者によって、花劇場のホールは外の喧騒から隔離された別世界に。
いえ、それどころか完全な非現実の幻界へと、一瞬で作り替えられてしまいました。
本編
まずはセトリをどうぞ!公式ツイートが長くてうまくコピーできなかったため、神薙名物の予告セトリツイートからコピーしてきました。当日のセトリと順番が異なるところがあるかもしれませんが、その点はご容赦ください。
日輪
煙葉硝花
ちはやふる
神想月姫
神秘の花
守り人の唄
緑葉舞う少女、炎の巫女
夢々の唄
世界一天晴れウサギ!
あさきゆめみし
(en.ちはやふる)
その数、全11曲!90分を超えるような大型ワンマンほどではないにせよ相当な曲数です。そして何より、その全てがこの日のために作り上げられた特別バージョン。
アレンジも楽器の特色を最大限に活かすように工夫を凝らされており、披露された全ての曲が完全な別物にして超進化版でした。
和洋折衷という言葉がありますが、神薙ラビッツの強みである和+ロック&ポップテイストへ弦楽器とピアノが壮大さを加えることで、元来のキャッチーさをそのまま保ちつつも、風雅かつ重厚なサウンドが顕現。相反する多数の要素の融合は、神業というより他ありません。
「日輪」「煙葉硝花」「夢々の唄」などの曲は、荘厳ながらもソリッドな格好良さを高めた、期待に違わぬ仕上がりに。
特に「日輪」はLIVE版自体を初めて聴いたのですが、もともと強烈な迫力を持っている曲だけに、大作映画の主題歌と言われても信じてしまいそうです。
しかし、本当に驚かされたのはそれ以外の曲でした。
「世界一天晴れうさぎ!」や「ちはやふる」といった、ラビッツのキュートさと楽しさを象徴する楽曲は、率直に言うとセトリ発表の時点で「いや、これどうすんだよ」と思ってしまったのですが、これが凄かった!
曲調の陽気さや演者の愛くるしさは確かにラビッツなのですが、あまりにも演奏が豪華すぎて、情報量に脳がついていきません。ロックバンドやアイドルのLIVEによる経験値では、この摩訶不思議なショータイムに対する解像度が全く追い付かないのです。
この現象は他の観客も同様だったと見られ、ステージから「立っていいんだよ!」と言われるまでは誰もが着席したまま、物言わぬ石人形になっていました。
加えて、アンコールでも再び「ちはやふる」が披露されましたが、本編中のものはイントロがあまりにも壮大すぎて途中まで何の曲かすら分からなかったのに対し、最後のものは通常バージョンに近いにぎやかなアレンジだったのも特筆点です。実質的には11曲全てがスペシャル版だったということになりますね。
そして極めつけは、本編中盤に組まれたバラードシリーズです。
絶対的な実力によって重奏を完全に我がものとした2人の歌唱と、表現手段として極限まで突き詰めた5人のダンス。
巫女をコンセプトにした彼女たちは、その身に神々を宿したがごとく、文字通り神聖な力場を作り上げていました。
その圧巻のステージは、いま思い出しても究極の総合芸術という以外に形容しようがありません。
もちろん、ワンマンLIVEといえばライブアイドルにとっては大一番の勝負ですから、いずれのグループも厳しいレッスンを重ね、あるいは演出に趣向を凝らし、その日に向けてパフォーマンスのレベルを仕上げてくるでしょう。
しかし、こと神薙ラビッツクラシカルに関しては、それらとも全く次元の違うものでした。
その理由とは、この公演が「普段の活動の延長線にない」ものだったからです。
普段のLIVEとは全く異なるクラシックスタイルを実現するにあたっては、あらゆる点で特別な準備が必要だったはずです。通常の活動と並行してそれを進めるにあたっては、バイタリティもメンタリティも相当な負荷がかかったに違いありません。
東京・大阪間の移動を伴うハードなLIVEスケジュールに、ビラ配りまでもこなしながら、彼女たちは果たしてどれほどのトレーニングを積んできたのでしょうか。
それも、このたった一日、1時間と少しのステージのためだけに。
プロ精神どころか、もはや執念と呼ぶべきその凄まじさには、リスペクトを超えて畏怖すら覚えます。チケット2000円はいくらなんでも安すぎですよ。
推し・旭様の話
順番が前後しますが、この日はビジュアルも特別仕様。最新のステージ衣装はパステルピンクと白を基調にした可愛らしいものでしたが、今回は一転、サムネの通り黒一色で統一されたシックでエレガントなスタイルとなっていました。普段とのギャップこそ大きかったですが、全員とも大変お似合いで、サウンドに見合う風格がありました。
特に圧巻だったのはやはり、神薙ラビッツでの推しメン・旭さん……もとい、旭様です。
「桔梗の舞姫」の異名を持ち、普段から人間離れした美しさを持つ彼女ですが、この日はもはや完全に人間を超越していました。ダンスのキレもいつにも増して素晴らしく、舞踊的な手足のしなやかさと、ロック・HIPHOP系のキレや止めのダイナミックさの双方が超ハイレベル。
その上、表情の変化も極めて豊かで、精密なムーブを伴った真剣な眼光は研ぎ澄まされた日本刀にも等しく感じられるほど。
そうかと思えば一転して可愛さスイッチを全開にし、ほっぺたを膨らませてジャンプしたりするので、もうマジで手がつけられません。脳の言語野が焼き切れます。
さらにさらに、旭様には卓越したラップスキルというダメ押しまであります。ひねりと抑揚を利かせた低音は中毒性抜群ですが、あまりに迫力がありすぎて生で見るまでは彼女の外見と全く結びつきませんでした。
これほど完全無欠なスペックを持っていながら、まだ若干19歳というのですから、驚きを超えて天を仰いでしまいました。
末恐ろしいという言葉では到底生ぬるい、旭様こそが本当の神の子というものかもしれません。
おわりに
最後に、再び公演全体を通しての感想に戻りましょう。
まずは一言。
一回で終わりはもったいなさすぎる。
絶対にまたやってくれ。
あと円盤売ってくれ。
公式へ伝えたいことは、ひとまずこれに尽きます。
クラシック公演の開催に踏みきるのも、全ての要素をここまでの完成度に仕上げるのも、神薙ラビッツ以外には不可能です。
であれば当然、この公演は過去のどんなLIVEとも比較することはできません。
運営とメンバーへの負担が甚大なことは容易に想像がつきますが、それでも心から第二回の開催を願っています。
また、改めて強く感じたのは、グループ全体の総合力の高さです。
ラビッツは唄を2人、舞を5人が主に担当するという形で役割が分けられてこそいますが、実際は完全な分担というわけではなく、唄担当もときには全員での派手なダンスに参加します。特に「夢々の唄」の間奏は必見です。
同様に舞担当もマイクを持ちますが、全員が一曲ずつを歌ったソロアルバムがリリースされていることからも、その実力は窺い知れます。
特に歌唱面では、メンバー全員が独特の深みをもった抑揚のつけ方・コブシの利かせ方をマスターしており、ハモりやユニゾンの美しさは他の追随を許しません。
通常のライブハウスではどうしても音源のボリュームが大きく、ラビッツの繊細な歌の真髄を味わうことは難しいのですが、この日に関してはその問題もクリアされており、存分に美声を堪能できました。
そして、やはり唄姫のお二人・七燐鈴(なりす)さんと璃桜(りお)さんの技量はその中でも別格!!日本語に徹底的にこだわり、古語や文学的表現をふんだんに取り入れたラビッツのリリックはそれだけでもインパクトがありますが、お二人の歌唱法はそれらの歌詞に最適化されており、音源で聴くだけでも日本語自体が持つ響きの美しさを再発見させてくれます。
特にこの日は、普段のステージでは全力を出すのを我慢していたんじゃないかと感じてしまうほど、声量もロングトーンを含めたアレンジも驚異的で、何度も鳥肌が立ちました。
あれだけの演奏に押し負けないどころか、それを当然のように従えていた彼女たちには、いくら拍手してもし足りません。
来年2月には、グループにとって最大の挑戦となるZepp ShinjukuでのワンマンLIVEを控えた神薙ラビッツ。
しかし、こと彼女たちに関しては、外野が心配するべきことは何一つないように思われます。
ラビッツは既に一切の死角がないパーフェクトアイドルでありながら、今回新たに従来のスタイルと全く異なる前代未聞のエンターテイメントを創造することに挑み、そして大成功を収めました。
このことが意味するのは、これ以上ない完成系にも思えていたラビッツが、さらなる未知の可能性と成長性を秘めているということです。
ビジュアル、世界観、サウンド、ボーカル、ダンス、エンターテイメント性、オリジナリティ、そしてポテンシャル。
これだけのものを兼ね備えた、かくも美しき七柱の天晴れウサギたち。
大目標に定めた日本武道館へ向かう通過点として、神薙ラビッツがZepp公演を軽々と跳び越えていくことに、もはや何の疑いがありましょうか。
ここまで言葉をいくら尽くしても落ち着かないほど、至高の体験となったクラシック公演。
ただ一つだけ、一つだけ、この完璧な日において悔やむべきことがあります。
無粋を承知で、最後にそれを吐き出すことをお許しください。
Sチケ買えばよかったーーーーー!!!!!!
LIVE映像見せてーーーーー!!!!!!!
おわり。
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