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南イタリア プーリアを巡る旅 〜昼と夜は別の顔… 死ぬまでに一度は行きたい街、マテーラ 後編〜

[1] マテーラ 後編 観光編①

今回宿泊したのは『Sextantio』。岩窟住居をリノベーションしたもので、色々な意味でマテーラらしさを満喫できる。

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※『色々な意味で』とは、

・リノベーションしているとはいえ、ほぼ洞窟なので、足場が異様に悪い

・シャワーブースの床ももちろん岩盤なので、異様に滑りやすい

・照明がキャンドルメインなので、ムードはあるが異様に暗い

ことなども、もれなく含まれます

特にシャワーブースは要注意で、傾斜が付いているため、石鹸の付いた状態だと、身の危険を感じるレベルでめちゃくちゃ滑る。 私は身体が一瞬、地面と平行になるくらいの、壮絶な滑り方をして、頭を強打した… 

その時、私は思った。

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ああ、これが無重力状態ってやつか…

地球は、青かった!!


ただし、雰囲気はもう、最高です。室内のみならず、宿の敷地内の雰囲気も、最高と言うしかない!! 

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朝の清冽な空気の中眺める、朝日に照らされた岩肌。大自然の中、渓谷の中、に居ることが実感される。

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宵の口、紫がかった夕空の中、だんだんとランプの灯がともり、ベージュがかった洞窟の岩肌が、オレンジ色に染め上げられていくさま…

もう、最高というしかない。ここでしか味わえない景色、雰囲気だ。

子供、親など、家族連れで行くにはいかがなものか、という面はあるが、恋人と行くのであれば、これ以上ないくらいロマンティックな一軒だ!

そして、この宿には、忘れてはならない、もう一つの素晴らしさがある。

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ネコちゃんである!!

・・・すみません。

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朝ごはんである!

新鮮なチーズ、サラミ、ハム、ピザ、パイ… 

特に、辛みの効いたサラミの旨さは、素晴らしかった! 噛むことにストレスを感じないが、旨みは充分に感じる絶妙な薄さで切り分けられており、表面のしっとりさからも、切り立てであることが伝わってきた。

朝からワインを飲みたい衝動に駆られてしまうくらいの、罪深いサラミであった。

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アダムとイブよ!

りんご食ってる場合じゃねえぞ!!

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ここに投宿されることがあれば、是非とも味わわれたし!!

この日は真剣に?観光する。

この町の歴史は、一筋縄ではいかないものがある。それは、カルロ・レーヴィの著作『キリストはエボリにてとどまりぬ」の表題からも伺い知れる。

エボリ』とは、マテーラのやや西に位置する町だが、この町に比べて、遥かに早期に発展を遂げていた。ほど近いエボリ繁栄を謳歌していたにも関わらず、マテーラは海からも遠く、土地も痩せ、長らく近代化から取り残されていた

キリストの威光すら、この地には届き難いのではないか、と思われた時代があったのだ…

カルロ・レーヴィは、政治犯としてこのマテーラに送られたことからも、当時の状況は容易に察せられる。

マテーラの人々は、岩窟住居に家畜とともに身を寄せ合って慎ましく生きてきたが、その不衛生さ、貧困から、『イタリアの恥部』とさえ言われていたのだ。

・・・・・ところがどっこい!!

近年、この素晴らしい景観、岩窟住居・岩窟教会・地下水路を上手く使った供水システムなどのユニークな文化が見直され、

1993年に世界遺産に!! 

最近じゃあ、映画『007』の撮影に使われたりと、一躍インスタ映えスポットの扱いに! 

いやあ〜、逆転満塁ホームランだね!!(急速に軽薄化する文章)

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難しいことは抜きにして、この町の風景は本当に素晴らしい。まるまる一個の巨大な岩をくり抜いた教会なんか、そうそう拝めるもんじゃありません。 

が舞い降りてますよ。

インスタ神が!!

このイドリア教会だけは、どんなに時間が無くとも、絶対に訪れて欲しい。行くまでの道すがら、だんだんと近づいて来るこの、ゴツゴツした『岩くり抜きましたよ感』全開の偉容。その、外見の派手さとはうって変わった、内部の質朴さ、静謐さ…

毀誉褒貶、浮き沈み激しかった、この町の歴史にも通じるものがあるように感じられたのは、私だけだろうか?

まあさあ、こういう、ギャップ萌えってやつに、人は弱いよね!

いそいそと観光に勤しんでいると、バルのテラス席でのんびりお茶をしている、昨晩のスイス人のご夫婦を見かける。奥さんは依然としてフレンドリーで、笑顔で手を振ってくる。

小さな小さな出会いだが、こういった経験は、旅を鮮やかに彩ってくれるものだ…

[2] マテーラ 後編 昼食編

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そんな中、このイドリア教会からもほど近い『BACCANTI』で昼食。

口コミでは、予約必須の大人気店とのことで予約していったが、先客は団体さん1組のみ。 非常にラッキーだったと言える。

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一皿目、炙った?小麦を使った、カボチャの花とバジルのソースのタリオリーニ、サン・マウロ産のピスタチオ添え(Tagliolino di grano arso al pesto di fiori di zucca, basilico e pistacchio di San Mauro)

バジルソースがベースだが、ニンニクなどの旨みも加わる。砕いたピスタチオの食感、風味がアクセントになり、グーですよ、グー!(死語を通り越して死後)

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二皿目、白インゲン豆、ミント、フォレンツァのペコリーノチーズ、クリスピーな黒豚のリゾット(Risotto con favette, mentuccia, pecorone di Forenza e croccante di suino nero) チーズの風味が良いのは言わずもがな、だが、ミントの香りが味を締めて、意外性が有りながらも、腑に落ちる一品!

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三皿目、トマトとバジルの「優しい」スパゲティ(Spaghettone " gentile " al pomodoro fresco e basilico)。

一見、なんの変哲もないトマトとバジルのパスタだが、きちんと裏ごしされたトマトソースの滑らかさ、甘み、酸味、油味が渾然一体となった、出色の出来!! さすがに「優しい」スパゲティと銘打ってやがるだけある!! 

やさしいっておもえる あなたがやさしい

だめな とまとそーすなんて ないんだよ

みんな みーんな いちばんの とまとそーす

だって やさしさが かくしあじだから

出典 相田みつを/なわけねえだろ

・・・そうだよね、みつ(以下略)

人生で最高のトマトソースだと思われたので、みつをは置いといて暫定一位をあげちゃいましょう!!(何様)

こちらはオーソドックスな料理のレベルが非常に高かったので、是非とも夜にも訪れて、もっと色々な料理を味わいたいと思わせてくれるお店だった!!

[3] マテーラ 後編 観光編②

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午後は、その他の教会や、岩窟住居の歴史を紹介する施設を回る。 場所によっては日本語ガイドをスピーカーから!流してくれるので、超オススメだ!! 

…まあ、場所は上手く言えないのだが。。 

皆さんの、健闘を祈る(職務放棄)

観光途中の楽しみと言えば、アレですよ、アレ!滑らかでヒンヤリとした、アイツですよ〜! 

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そう、オットセイ!!

・・・あ、こういうの、要りませんか。

まー、イタリアでアレと言えばそう、ジェラート!

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スティーブン・ジェラード。。

あ、こういうの、ホントに要りませんか…

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広場から少し大聖堂寄りに戻った辺りにある、こちらの大人気ジェラテリア、『I Vizi degli Angeli』

観光客のみならず、地元民も加わった、芋の子ごった返し感。 私はイタリアのジェラテリアを評価する際、この『芋の子感』を最重視している!! 

人を掻き分け掻き分けして頼んだ末にかぶりつくジェラート… あれこそが、真のジェラートなのだ!! 

人を蹴落として得られるこの愉悦…

平和ボケした日本人よ、今、立ち上がれ!!

・・・とまあ、要らんくだりをはさんだが、このお店は、観光客向けのなんちゃってジェラテリアとは一線を画すクオリティなので、マテーラを訪れた際の休憩スポットとして、是非ともオススメしたい。

そうこうしているうちに、日が暮れてくる。

南イタリアの町を歩いていると感じるが、こちらの人は宵っぱりだ。夜が更けるほどに、人が増えて来る。

家族、友達、恋人と連れ立って何をするでもなく、涼しくなってきた時刻に、会話を楽しみながら、そぞろ歩きしているのだ。

気持ちの良い時刻に、親しい人達と町へ繰り出し、目抜き通りを行きつ戻りつしながら、語り合う。

これ、疑いよう無く最高なんじゃないのか!?

と、思った。

南イタリアでは、このような習慣?風習?があり、passeggiata (パッセジャータ)と言うらしい。語感からして、小道を行き来する、という雰囲気が滲み出ている。

こういうコミュニケーション上手な所は是非とも見習いたいものだと、宵の口のマテーラの町を彼女とpasseggiataしながら、強く思った。

[4] マテーラ 後編 夕食編

夕食は 『Osteria Pico』で。様々な口コミで現地感満載のお店、ということだったので、その辺りを期待してのチョイス。

半地下のような変わった作りのお店だが、地元民らしき人達、観光客も入り混じり、ガヤガヤして大衆食堂的な楽しさもある。

いいじゃないの!

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一皿目、オススメ前菜の盛り合わせ ハーフサイズ(Selezione Pico)。

盛りはなかなかなので、注意しろ』的な書き込みが散見されたため、ハーフサイズを注文。これは、本当にハーフで良かった。なんせ、このボリューム‼️

少食な我々がフルサイズをたのんだ場合、

致死量ですよ、致死量‼️

チーズ2種類、ハム・サラミ、ポルチーニのフリット。チーズやサラミはまあ、、、 ポルチーニのフリットは旨い!

豚肉の甘辛煮込み。ソーセージの中身をそぼろっぽく仕上げた感じで、なかなかに旨い(雰囲気ぶち壊しの喩え)。馴染みのある味だ。

ジャガイモペーストのクルトン添え。想定内の味だが、悪くない!

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というか、この画像要るか?

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二皿目、カルドンチェッリ、トマト、サルシッチャのカバテッリ クルトンがけ(Cavatelli con funghi cardoncelli, pomodoro, Salsiccia e mollica di pane fritta)。

カバテッリは(貝殻型の)ショートパスタ。

カルドンチェッリはこの辺り名産のキノコで、サルシッチャはイタリア風ソーセージ。このカルドンチェッリの香りがかなり強く、ちょっと、、、

厳しかったかな🧡 

んんー、個人的には、ギリギリ

アウト❗️

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袋茸のような風味で、個人的にはちと苦手であった。

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三皿目、豚肉のPico風(Cinghiale alla Pico ( Cinghiale in umido con pomodorini e funghi porcini))。

要するに豚モツのトマト煮込みに、ポルチーニが入ったもの。このモツめちゃくちゃ臭みがあるうえ、塩気もかなりキツく、正直言ってつら過ぎて食べられなかった… 泣

ストライクゾーンから、外れ過ぎていた…

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再び時差ボケからの眠気がピークに達した彼女から『これさあ、作ったシェフ自身がどう思ってるのか、目の前で食べさせて聞いてみたいよね?』と、暴言、あわわ、ややキツめの提言が…

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やや下がりのテンションのトンネルを抜けると、そこは雪国ではなくネコちゃんのたまり場だった。

『まあ、ここのお店はネコ部門1位かな!!』という、彼女の暴言とともにマテーラの夜更けていったのだった…

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宿への帰り途中、昨晩レストランでご一緒したスイス人夫婦の奥さんとばったり出会う。むちゃくちゃなまでにラフな格好の奥さんから『あらあ〜』と、にこやかに話しかけられる。

『ダンナがレストランを探しに行っちゃってねえ〜。どーこ行ったんだかねえあの人〜』と言いながら、奥さんは夜の町に消えて行った。

『・・・あれ、絶対パジャマのまんまだよね?』という彼女のツッコミとともに、マテーラの夜さらに更けていったのだった…

[5] マテーラ 身も蓋もないまとめ

ホテル:

Sextantio : なにせほぼ洞窟なので難点もあるが、それを補って余りあるロマンティックさ! 朝食のクオリティも特筆ものだ!

Palazzo Gattini : 大聖堂の向かいという、最高のロケーション。設備も近代的、オシャレで申し分ない。ただし、洞窟要素は0。メリットかもしれないけど。。

レストラン

BACCANTI : 綺麗な店内だが、決して観光客向けの見た目だけの店ではない、確かな実力店

Ristorante Le Bubbole : 非常にオシャレな雰囲気のうえ、料理も申し分なし! 

I Vizi degli Angeli : 本物のジェラートを食べさせてくれる店。アクセスも良く、観光中に立ち寄りやすい。

みどころ

街並み。 特に、昼から夜への、華麗な変貌ぶりノックアウトされる![ハイライト]

岩窟教会を巡る。静謐な教会内で、この町の辿ってきた数奇な歴史に思いを馳せる。

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