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(連載105)クローゼットのライブで、他人の服を纏う(まとう):ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:2019年

人様のお家にお邪魔して、クローゼットでライブをした話。
もう、このネタで何回目になるか?もう忘れましたが、まだ引っ張っています。

初めて、こちらにお立ち寄りくだり、なんの事だかさっぱり??の方は、こちらから。


前回は、ちょっとお茶目が部分をお見せしましたが、たまには、真面目な考察など、、、、と思い、今回はだいぶ、真剣ですよー。笑


このライブは、「バンド・ツアー」と称してロサンゼルスで23回、やったのですが、毎回毎回、自分にとっても、新しい発見といいますか、興味深い気づきがありました。そのひとつに

人の服を纏う(まとう)という事について

で、あります。


このクローゼットのライブというのは、基本、バックトラックに合わせて、シスターズの曲を基本的な振り付けとともに歌うのですが、同時に、歌いながら周りの環境によって、その時に思いついた事をすぐやる全アクションが即興、つまり全部偶然! で構成されているのですが。

ま、もともとライブというものは、そういうものですから、音楽の時のセッション、ジャズなんかもそうですし、別に私が発明したものでは、ありませんが、ただ、クローゼットでそれをやったのは、歴史上アタクシが初めてかもしれませんがねー。汗


その即興の挙動ですが、最初の頃は大人しく、狭い場所で、歌ったり身体を動かしたり(踊りともいう)をやっているだけでしたが、だんだんそこにあるものに触ったり移動させたりと、パフォーマンス自体もどんどんエスカレートしていきました。

そして、歌いながら、即興で、何かできないかな〜って、いつもいつも考えながらパフォーマンスをするようになって。。。。


それで、目の前に人の服がある。。。。ので、初めのうちはそれを出して、広げたり、、吊るしたらとかそのくらいだったのが、だんだんエスカレートしてきて、いっそのこと、着てみちゃおう!となったんでした。

だってお家の方はクローゼットの中のものでも「触っていい」って言うことだったんでね。着ても何も言われないだろう! 合意枠の中だ!

それで、だんだん、相棒のさおりちゃんと相談して、着れるもは片っ端から着てみよう!と、それが、ついには

ランウェイ・ショーのようになってしまった

という経緯であります。

こんなかんじです。






この他人の服を着るという、不思議な体験

ルンナの経験レポートより


自分の服じゃない衣服を着て、違うものになる、、、とは、コスプレの王道でありましょう。
アニメのキャラをはじめ、ハロウィンの服の数々。。。。


また自分自身も、1990年前後には、この「イメージを着る」というテーマをかなり掘り下げて、作品を作っておりました。

そして、また、自分は古着のリメイクの仕事を長い間やっていて、また、自分でも着ているものは、全部古着でした。つまりこれだって、他人が着ていた服だったわけですが、

ただ、今回のライブでやったのは、実際にそれを着ている人、顔がわかる人の服ですから、古着などのような匿名の、顔が見えない人を服を着てみるのとかなり違います。

皆様もちょっと想像してみてください。
母親や父親の服を、ご自分が着てみたところ。
たとえば会社の上司の服、もしくは部下の服を着てみた自分など。。。

そして、仲良しの友達の服。


だいぶ昔に、こんな経験をしました。

仲良しの男友達ふたりがいて、(カップルではありません)
一人の男性は、いつもデザイナーブランドのトレンディな服を着るようなタイプ。もう一人は、服などにはまったく気をつかわないタイプでした。

ところが、ある日、二人に会ったら、その気を使わないタイプの男性が、ものすごくファッショナブルなジャケットを着ていて、それは、そのオシャレな彼がくれたという事でした。いつも、すぐ飽きちゃうので、すぐくれる。と。
羨ましい話ですが。笑

二人は私の前に無邪気にニコニコして、立っていましたが、
いつもは素朴な白いTシャツにジーンズだった彼が
その友達の派手なデザイナーの服を着用している、、、
この視覚的イメージををどう受け止めていいのか、私はちょっと混乱した。

それは、似合ってない!!を通り越して、

すごく妙な違和感を感じた。



彼のアイデンディディがハックされたのか???

それって、自分じゃないでしょ? それでいいの?と。思った。



人のイメージの大半を担っている衣服。

それは、まさに我々の「第二の皮膚」なのだという事を実感した瞬間でした。

そして、今回のように、他人の第二の皮膚をまとう、、、とは?

現実的には、パフォーマンス中にやるので、これがどういう意味するのか?じっくり考えているヒマなは、ありませんでした。

しかし、後から考えていると、
これは、ものすごくナマナマしい。
でも、それはセンシュアルな感覚というよりも、

その人の身体の中にはいりこむような? 胎児になっちゃうような?

そんなかんじだったような気がします。



一方、見てる方はどんな気持ちだったでしょう?

大体のケースでは、ご本人もほとんどは、
ちょっと困った顔をしながら、でも、笑ってました。

自分でも、おそらく見てたら、そうなると思いますが、これはなぜ、笑うんでしょうか?

自分の服、自分の皮膚をそこに付着している自分のアイデンティティの表象を、他人がまとっているのを、改めて外から見せつけられたら。。。。

自分の分身ができたような気がする?

ちょっと恥ずかしいような、でも愛おしいような、
どう処理していいのかわからず、つい笑っちゃうのでしょう。


他人の服を着る方も、また着られる方も、謎な不思議な感覚になる、
この第二の皮膚、衣服をいうもの、、、、

この探求をあれこれ40年くらいやってますが。汗

まだまだ、奥が深そうです、、、。

ふむ。


これが今回の結論、、、、でした。


読んでくださって有難うございました。

では、また!

L*


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