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【ビジョナリーカンパニー編7:基本的価値観+目的】

前回までの投稿を上記に入れています。

ある日、入社20年になる健は工場長の哲也に呼ばれ工場長室に行く。健はここ数年、全社が注目する新規事業の計画・プロセス立ち上げをこの工場で行ってきた。立ち上げが終わり、そのまま課長をするよう内示を受ける。それと同時に工場長からビジョナリーカンパニーについての解説・指導を受けます。今回は第3章“利益を超えて”の後半、理念構築のための基本的価値観と目的について解釈を入れながら解説していきます。

・・・・

◆言葉か行為か

🧒‍;おはようございます。

👨‍🦳;おはよう。今日は3章の続きを解説していくぞ。これまでで、時計を作るために、理念や行動指針が重要だということはわかったと思う。今日はどう作っていくのかということを話していく。ところでさ、ほぼすべての会社で理念は持っているじゃない?

🧒‍;そうですね、でもほとんど額に入ったままというのがありますよね。ビジョナリーカンパニーはそこが違うように感じますよね。

👨‍🦳;そう。ただ、公言をするということ必要なことだ。社会心理学の研究によると、人々はある考え方を公言するようになると、それまではそうした考えを持っていなくても、その考え方に従って行動する傾向が際立って強くなるそうだ。ビジョナリー・カンパニーは、比較対象企業に比べて、基本理念を公言する傾向がはるかに強いんだ。

🧒‍;なるほど。理念への思いが強いと言ったらいいでしょうかね。こだわって公言するということかと思います。

👨‍🦳;さらに重要なのは、ビジョナリー・カンパニーは理念を宣言しているだけではないってことなんだ。それを浸透させるために下記を共通して行っているんだ。

・ビジョナリー・カンパニーは、比較対象企業よりも、従業員に基本理念を徹底して教化し、理念を中心に、カルトに近いほど強力な文化を生み出す。

・ビジョナリー・カンパニーは、比較対象企業よりも、基本理念に合っているかどうかを基準として、経営陣を慎重に育成し、選別する。

・ビジョナリー・カンパニーは、比較対象企業よりも、目標、戦略、戦術、組織設計などで、基本理念との一貫性を持たせている。

🧒‍;正論ですけど、、そんな簡単にできないですよね?

👨‍🦳;その通り、GEのジャック・ウェルチは、現実主義と理想主義、本人の言葉を借りれば「数字と価値観」の両立の難しさをこう語っている。

数字と価値観。決定的な答えは、少なくともわたしにはわからない。数字をあげて、われわれの価値観を共有する者は昇進する。数字をあげられないが、われわれの価値観を共有する者には、もう一度チャンスが与えられる。価値観を共有せず、数字もあげられない者がどうなるかは、容易に想像がつくだろう。問題は、数字をあげているが、値観を共有しない者だ。……こうした社員の説得につとめるなど懸命に努力しているが、悩みの種である。

🧒‍;実際悩みながら構築していくのですね。

👨‍🦳;そう。ビジョナリー・カンパニーは概して基本理念維持しようって懸命に努力している。みんな真剣に考えているんだ。だから、額に飾るじゃないんだよね。努力するものなんだよ。ただ、そのためにはなぜ必要なのかが、わからなければいけなくてそのためにこれまで説明してきってことだな。じゃあ、努力する前提でどういう指針で理念を作っていくべきかを次に見ていこう。

基本理念 =基本的価値観 + 目的

👨‍🦳:著者たちは、ビジョナリー・カンパニーに関する調査結果に基づき、実践に即した二つの部分からなる基本理念の定義をつくっているんだ。

それは、基本理念 =基本的価値観 + 目的だ。

基本的価値観

🧒‍:基本的価値観と目的具体的にどういうことでしょうか?

👨‍🦳:基本的価値観とは、組織にとって不可欠で不変の主義であり、利益の追求や目先の事情のために曲げてはならないものだ。例を挙げよう。IBMの元CEO、トーマス・J・ワトソン・ジュニアは、1963年に書いた小冊子「事業とその信念」で、基本的価値観を「信念」と呼び、
役割についてこう述べている。

成功する企業と失敗する企業の決定的な違いは、社員のすばらしいエネルギーと才能を組織がどこまで引き出せるかにあることが多いと思われる。社員が共通の目標に向かうようにするには、企業は何をすればいいのか。……そして、世代によってさまざまな変化が起こるなかで、どうすればこの共通の目的と方向性を維持できるのか。わ が信念と呼ぶものの力と、社員の心を動かす魅力にある。 :組織が生き残り、成功を収めるには、健全な信念を持ち、その信念に従って、すべての方針や行動を決めなければならないと、わたしは固く信じている。

基本的価値観はいろいろな形で言い表され得るが、どれも簡潔で、明快で、率直で、力強い。

🧒‍:なるほど。信念なのですね。特に人を鼓舞するためのといったところですね。これは人としても一緒で、真摯でぶれない軸をもてと。

👨‍🦳:そうだ。ちなみに基本的価値観はごくわずかで、たいていは3つから6つである。基本的価値観が六つ以上あるビジョナリー・カンパニーはひとつもなく、ほとんどが五つ以下だった。

🧒‍:そりゃ、そうだと思います。基本的価値ですものね。曲げちゃいけない信念なんていくつもあるものではないですしね。

👨‍🦳:そう。これは君が自分の組織を作るとき、基本的価値観を文書化するときのポイントになる。自分のものづくりの哲学・信念を簡潔に明快に書かなければならない。

🧒‍;そうですね。そしてこれは自分で自分の経験、知識、想いからひねり出さなければならないですね。いくら、ビジョナリー・カンパニーのものであっても、まねてしまったら、絶対に維持のための努力ができないし、組織に浸透させることはできないですね。嘘偽りない想いが練りこまれていないといけない。

👨‍🦳:そう、そして、基本的価値観は、理論や外部環境によって正当化する必要などないものである。時代の流れや流行に左右されることもない。市場環境が変化した場合ですら、変わることはないということを忘れてはいけない。それは本物であることが重要なんだ。

🧒‍;はい。そう思います。

◆目的

👨‍🦳:次は目的について話していこう。目的っていうのは、単なるカネ儲けを超えた企業の根本的な存在理由なんだ。デーブ・パッカードの例が記載されている。

「最初に、なぜ会社が存在しているかについて話したい。言い換えれば、なぜ我々がここにいるのかだ。会社は要するにカネ儲けのためにあると、誤解している人が多いと思う。カネ儲けというのは、会社が存在していることの結果としては重要であるが、われわれはもっと深く考えて、われわれが存在している真の理由を見つけ出さなければならない」。

🧒‍;利益ではなく、存在意義ということですね。

👨‍🦳:そう。だから、目的の最大の役割は、指針となり、活力を与えるということなんだ。基本的価値観は、自分の貫くべき信念を書いて、目的は社会から問われている存在意義をかくということなんだ。たとえば、HPは電子機器を通じ、科学の進歩と人類の幸福のために、社会に貢献することを目的としている。これと同じ点を目的にできる企業は多いと思うが、問題は、HPのように、この目的に徹し、貫き通せるかどうかだ。

🧒‍;これも本物かどうかということですね。

👨‍🦳;そして、これは永遠に達成できないというか、追いかけるが、届かない目標であるべきなんだ。目的は不変であり、終わりはない。ウォ ルト ディズニーは「想像力がこの世からなくならないかぎり、ディズニーランドが完成することは絶対にない」といっていた。「人々を幸せにする」という基本的な任務がなくなること、達成されることはない。ってことだね。

🧒‍;あらー。相当かっこいいですね。

👨‍🦳:もし、自分の会社や組織の目的について考えているのなら、「目的はX製品をY顧客に提供することにある」というように、製品の種類や顧客を特定しない方がいい。ディズニーが「当社の目的は、子供向けのアニメをつくることにある」と宣言したとする。百年後まで通用する柔軟性もない最悪の目的だと言えるだろう。しかれ「われわれの想像力を活かして、人々を幸せにする」という目的ならば、説得力があり、優に百年は続くと思わせる。

🧒‍;根本的な存在意義、やりたいことですね。わかってきました。

👨‍🦳;ただし、ビジョナリー・カンパニーのすべてが、目的を正式に宣言しているわけではないんだ。基本的価値観は、十八の企業すべてがはっきりと掲げていたが、目的はそうではない。しかしながら、基本理念を文書にする際に基本的価値観と目的を掲げたことがプラスになっている場合が多かったんだ。

🧒‍:なるほど、私は自分の課の組織を取りまとめる立場ですが、やはり自組織の理念、目的というのははっきりさせるべきですね。そして、それを後任たちに想いを託せる形にしていかなければならないですね。でも、会社でも理念があるので、そこをリンクさせないといけないですね。

👨‍🦳:ああ、自社が全体として確固とした理念を持っているなら、グループ・レベルの理念は、当然ながら、その理念、とくに基本的価値観に制約される。それでも、自分の組織の目的を文書にすることもできる。例えば、その存在理由はなんだろうか。それがなくなると、何が失われるのだろうか。といったように考えていくことだね。
もちろん、企業に理念を持っていない場合でも、個々のレベルで理念を文書化できる。もっと自由にできるはずだ。もし、企業や自分の所属する上位組織に理念がなかったとしても、自ら手本を示せば、それが大きなきっかけとなって、企業が理念を文書にするようになるかもしれない

🧒‍;つまり、自分から動けばどんな環境でも作っていけるということですね。

👨‍🦳:そう。そして早ければ早いほどよい。君もすぐに考え始め文書化すべきだ。ここで、三章は終わりだ。これまで、1章でビジョナリーカンパニーの定義、2章で時計を作ることの大事さ、第三章で時計のための理念の重要性、AND思考重要性、さらに理念を作る際の基本思考について話をしてきた

これら踏まえて、ここで、各ビジョナリーカンパニーの理念の例を見てみよう。

3M
革新一「新商品のアイデアを殺すなかれ」
・誠実に徹する。
・個人の自主性と成長を尊重する。
・誠実に努力した結果の過ちに寛容になる。
・質と信頼性の高い製品を提供する。
・「われわれの本当の事業は、問題を解決することである」。

ソニー
・技術を進歩させ、応用し、革新を起こして、国民の生活に活かすことに真の喜びを感じる。日本の文化と地位を高める。
・開拓者である。他に追随せず、人のやらない仕事に取り組む。
・個人の能力と創造力を尊重し奨励する。

ウォルト・ディズニー
・皮肉な考え方は許されない。
・ に細部にあくまでもこだわる。
・創造力、夢、想像力を活かして絶えず進歩する。
・ディズニーの「魔法」のイメージを徹底的に管理し、守る。
・「何百万という人々を幸せにし」、「健全なアメリカの価値観」を讃え、はぐくみ、広める。

🧒‍:ここまで勉強してくると、読むと全く違うように見えます

👨‍🦳;それはいいことだ。第4章では、この理念を維持し、進捗させていくかについて解説していく。大きな流れをもって、学んでいってほしい。

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今回は第三章の後半を解説しました。理念作成の基本思考を記載しましたが、いかがでしたでしょうか。私もそうですが、大小問わず、リーダーになった際はこのような自分の指針は本気でチームメンバーに見せていきたいものですね。次回は、4章に進み、この理念をビジョナリーカンパニーはどのように維持進捗させたかについて解説したいと思います。
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