見出し画像

【ビジョナリーカンパニー編:まとめ後半】

前回までの投稿を上記に入れています。

ある日、入社20年になる健は工場長の哲也に呼ばれ工場長室に行く。健はここ数年、全社が注目する新規事業の計画・プロセス立ち上げをこの工場で行ってきた。立ち上げが終わり、そのまま課長をするよう内示を受ける。それと同時に工場長からビジョナリーカンパニーについての解説・指導を受けます。これまで1章から10章まで解説しましたが、今回、後半部分(5章~10章)のまとめを実施しこのマガジンを終了したいと思います。

・・・・・

◆第5章:「社運をかけた大胆な目標」

🧒‍;おはようございます。

👨‍🦳‍;おはよう。今日は後半のまとめに入ろう。今日でビジョナリーカンパニーは最後だ。後半は第5章の「社運をかけた大胆な目標」からだったな。

🧒‍;はい。ボーイングの民間機事業への挑戦を例に大胆な目標設定について学びました。ボーイングはその典型とも言えましたが、ビジョナリーカンパニーは時として、大胆な目標を掲げています。これが重要で、この目標のことを著者は“社運を賭けた大胆な目標 (Big Hairy Audacious Goals)”の頭文字をとって、BHAG(ビーハグ)と呼んでいました。

👨‍🦳‍;そうだったな。これが理念の維持と進歩に大きな影響を与えてくる。そして、本物のBHAGは明確で説得力があり、集団の力を結集するものになる。強いチーム意識を生み出すことも多い。ゴールがはっきりしているので、目標をいつ達成できたのか、すぐにわかるようになっている。GEとウェスチングハウスを比べた表も紹介した。

画像1

🧒‍:BHAGで重要なことは「前進をもたらしているか。勢いをつくり出しているか。従業員はやる気になっているか。社内に活力がみなぎっているか。」、そして「理念に沿った目標なのか」でしたね。これが、いま工場長が言った、理念の維持と進歩を促すという意味なのですね。前傾姿勢でしか、理念は維持できない。額に入っただけになるのですね。

◆第6章:「カルトのような文化」

👨‍🦳‍:そうだ。そして、第6章で「カルトのような文化」を解説した。

🧒‍;これは結構ショッキングでしたね。ノードストロームの例で解説してもらいました。正直ビジョナリーカンパニーというのは人を大事にして、皆にとってあこがれの素晴らしい会社だという印象がありました。

👨‍🦳‍;でも、ちがうんだよな。6章でそうではないことが理解できたはずだ。ビジョナリーカンパニーは少なくとも、だれにとってもいい職場とは言えないということがわかった。ノードストローム場合、すばらしい職場だと言えるのは、ノードストロームの流儀を信奉している者、それにぴったり合っている者だけだったな。ほかのビジョナリーカンパニーでも同じだ。

🧒‍;何せ、合わない人間は病原菌のように扱われると書いてありましたもんね。著者はこれをカルト主義と呼んでいましたね。

👨‍🦳‍:そうだ。だがこれもビジョナリーカンパニーにとっては必要な文化なんだ。これは、基本理念を維持する一貫性を持った仕組みを持つ組織になっているんだ。

🧒‍;そうなのですよね。ビジョナリーカンパニーにとっては、よいことなのですよね。

第7章:「大量のものを試して、うまくいったものを残す」

👨‍🦳‍;そして、第7章「大量のものを試して、うまくいったものを残す」に入っていったな。ビジョナリー・カンパニーの社史を調べていったとき、各社でとくに成功した動きのうちいくつかが、綿密に計画され、計画通りにいったというものでなく、ある意味思い付きにも見えるような施策であったり、偶然の結果であったりするものがあったんだ。でも著者はそれを、「意図的な偶然」の結果であったりするといっているけどね。

🧒‍;私はこの章は非常に参考になるというか、ちょっと勇気づけられた章でした。そして、この大量に試すということを組織の中に埋め込んだ良い例が、3M でしたね。

👨‍🦳‍:マックナイトはCEOになるやいなや、すぐに倉庫を「研究室」にして、五百ドルを投資し将来主力製品になるものの実験と試験を行わせた。また、3Mは枝分かれの文化、つまり大量に試すことを重要視していて、市場規模は基準にせず、「少量生産し、少量売る」、「小さな一歩を大切にする」という姿勢で開発を行っている。彼らは、大型商品が小さな一歩から生まれることがあるとはよく理解しっているんだ。

🧒‍;そして6つのルールがありましたね。

1つ目;「試してみよう。なるべく早く」
2つ目;「誤りは必ずあることを認める」
3つ目;「小さな一歩を踏み出す」
4つ目 :「社員に必要なだけの自由を与えよう」
5つ目;「重要なのは仕組みである。」
6つ目;「進化による進歩を促す際に、基本理念を維持することを忘れてはならない」

でしたね。

👨‍🦳‍;ビジョナリーカンパニーらしいよな。社員に小さなことからチャレンジさせる。一歩を踏み出させる。そして自由を与える。その仕組みを作る。そして、理念に沿わせる。理念沿わないものは、はじかれる仕組みになっているんだ。

🧒‍;そしてうまくいく、うまくいかないという単純な指標ではなく理念にそって多くものを試しているかを常にみられる。一見聞いたところは良いことのよう思いまうすが、現実は大変ですね。ただ、理念あっている人間であれば最高でしかないですね。

👨‍🦳‍:そこなんだよな。これを継続することで、基本理念が求心力になり、指導原理になると著者は言っており、さらに3Mの事業は広範囲にわたり、規模の小さな事業部門が多数あるが、それでも、驚くほど結合力が強い。3Mの社員はほとんどカルトのような忠誠心によって会社に結びついていると言っている。

🧒‍:いずれにしろ、ある方向性に沿ってまずやってみるということは製造現場にとっても非常に重要な示唆になります。分析する人は多いのです。外の人含め。でも、現場で起きている複雑系は分析だけではわからない。そして、やってみないとわからないことばかりです。やってみてうまくいかなかったことを否定する人もいますが、その否定自体が問題だと思っています。それは結果がでたということで肯定し、次さらなるアクションを打つことが重要だと思います。

👨‍🦳‍;そうだな。特に、分析が足りなくてうまくいかなかった場合は、原因が分析が足りなかったことだと自覚すれば、次分析をするようになる。頭ごなしに分析がだめだといっては、逆に腑に落ちないままずっと本質的な分析もできないまま何となく活動してしまうしな。

🧒‍;はい。そうなんです。

◆第8章「生え抜きの経営者」


👨‍🦳‍:そして、第8章「生え抜きの経営者」に入っていった。生え抜きの経営者が必要って話だったな。ジャックウェルチを例に解説していった。

🧒‍:はい。1981年、ジャック・ウェルチがゼGEのCEOになって、その10年後には、生きる伝説の経営者になっていた。様々な改革を行っていったのですよね。

👨‍🦳‍:ただし、注目すべきは、ウェルチ以外の経営者もエクセレントなんだ。GEが悪い会社だったわけではない、ウェルチの前CEOのレジナルド・ジョーンズは、引退したとき、「もっとも尊敬されているアメリカの経営者」とされていた。

🧒‍:要するにウェルチは、突然変異のように現れたわけでなく、GEの伝統のなかから生まれた人物ということでしたよね。そして、ビジョナリー・カンパニーは比較対象企業よりはるかに、どうやって社内の人材を育成し、昇進させ、経営者としての資質を持った人材を育成していくか、見つけいていくかに注力しているんですよね。

👨‍🦳‍:そう。そして、後継者の育成が基本理念を維持するための大きな軸ともいっているんだ。ビジョナリー・カンパニーの延べ千七百年の歴史のなかで、社外の人材が最高経営責任者になった例は四回しかない

🧒‍:理念の維持と進歩という点においてはこれは非常に重要ですよね。
生え抜きを育成し、候補を作り、選抜し理念を継続できる経営陣を継続的に排出する、経営者の継続性が断たれてしまうと、外部からCEO招かざるせざるを得なくなる。こうなれば基本理念から離れざるを得ない。コントロールできるわけがないということでしたよね。

👨‍🦳‍:そうだ。そして、ビジョナリー・カンパニーを築く、時計を作るという点からすると、問題は、いまの世代だけで会社をとらえてはいけないということだ。次の世代、その次、そしてさらに次でどうなるか、いかに行動と姿勢で理念を維持、進歩を積み上げていけるか、その仕組みが作れるかが重要だ。その一つの手法が生え抜きの経営陣の育成ということだ。

◆第9章:「決して満足しない」

🧒‍;そして、第9章「決して満足しない」に入りました。ビジョナリー・カンパニーで、大切な問いは、競争相手に勝つとか、そういうことではなく、「明日をどうやって今日よりと良くするか」ということでしたよね。

👨‍🦳‍;そう。楽にする、従業員を安心させるというのは、ビジョナリー・カンパニーにとっての目標じゃない。むしろ、不安感をつくり出し、自ら変化し、改善する強力な仕組み重要視していたね。

🧒‍:不満や不安を糧にしていました。なぜならば、それがなくなれば、自己満足に陥り、自己満足に陥れば、が衰えると。これまでのBHAG,カルト、多くのもの試す、そして生え抜きの経営者。これらの組み合わせが完全に重なって仕組みができているのですね。

👨‍🦳‍;そして、彼らは、短期的な業績または長期的な成功のどちらかとは考えない。短期的な業績についても高い基準を掲げて、かつ何よりも長期的な成功を目指していた

🧒‍:このあたりで、つくづく近道はないということを痛感しますね。ビジョナリー・カンパニーになるための基本的な要素はきわめて単純なものばかり。いうのは簡単ですが、継続が難しいことばかりなのですね。厳しい自制、膨大な仕事量、将来のための絶えざる努力が素晴らしいです

◆第10章;「始まりの終わり」

👨‍🦳‍:そしていよいよ最終章の10章だ。ここでは、「一貫性」について言及されている。著者は、「一貫性」は下記のように定義していた。

基本理念と目標とする進歩のために、会社の動きのすべての部分が協力し合っていること(基本理念と進歩をビジョンと言い換えてもいい。ビジョンとは、長期にわたって維持される基本理念と、将来の理想に向けた進歩の二つの組み合わせだとわたしたちは考えている)。

🧒‍;そして、一貫性を保つためのポイントを下記にまとめていました。

◆全体像を描く
◆小さなことにこだわる
◆下手な鉄砲ではなく、集中砲火を浴びせる
◆流行に逆らっても、自分自身の流れに従う
◆一般的な原則を維持しながら、新しい方法を編み出す

👨‍🦳‍:だったな。そして、上記は当然の事ながらすべて基本理念があって成り立つ行為だ。むしろ、基本理念を維持し、進歩を促すために、すべての要素に一貫性がとれた組織でなければならない。

🧒‍:結局①基本理念を維持し、②進歩を促し、③すべての要素に一貫性がとる組織、この三点がビジョナリーカンパニーの原則となるのですよね。そして、これを支えるために、BHAG(社運を賭けた大胆な目標)、カルトのような文化、実験による進化、生え抜きの経営陣、不断の改善などが必要な行動であるといわれているのですね。でも、これが絶対というか、これ以外にないわけではないですよね。これらの方法は効果が実証されてきていますが、今後もこれらの方法を補完する新たな方法が考案される可能性はあると思いますね。時代が変わるので。

👨‍🦳‍;そう。まさにそこを探るのが君たち世代の仕事なんだよ。特に今や5Gの時代だ。情報革命の第一フェーズが終わりかかっている。なんでもできるのはよくわかっていると思う。自分の立場が起業家であろうと、中間管理職であろうと、社長であろうと、取締役であろうと、コンサルタントであろうと、なんだっていいのだが組織を導き、全員の励みになる基本理念を維持するために、考えられるかぎりすべての方法を実行するべきなんだ。そして、この本を読んで、今後のビジネスに活かすために4つの概念だけは覚えておいてほしいと最後に下記書いている。

一  時を告げる予言者になるな。時計をつくる設計者になれ。
二 「ANDの才能」を重視しよう。
三  基本理念を維持し、進歩を促す。
四  一貫性を追求しよう。

🧒‍;わかります。ビジョナリー・カンパニーをつくりあげた人たちは、ビジネスについて、単純な方法をとっているんですよね。 もちろん、それが安易さを意味するわけではないです。この部分は、私にとってすごく意味があります。カリスマはいらないんです。凡人でいいんです。でも、今回学んだことを考え抜いて、一貫性をもって実行し続けないといけない。ビジョナリーカンパニーを作ることを目指すということ自体が重要であるということがわかります。今回そのことを学びました。最後の答えは本当にシンプルでした。

👨‍🦳‍;そうだな。これでまとめも終了だ。よくついてきたね。ただ、これからが本番だな。いま言ってくれたように、自組織にこの考え方を展開していってくれ。そしてわかったと思うが、これは個人つまり君にも言えることだ。自分の信念、理念は君の年になればあるはずだ。だが、それを維持、進歩させるために同じように、体現し続ける努力が必要なんだ。このことも忘れないでいてくれ。

・・・・・・・・・

今回で、ビジョナリーカンパニー編を終了します。過去最多の記事数となってしまいましたが、お付き合いありがとうございました。次のマガジンは、まさに本書でできていた、「ANDの才能」の活用の実例の「両利きの経営」についてマガジン作成をしたいと思います。今話題の考え方ですので、これを気に内容を抑えていただければと思いますので、是非フォロー、スキいただければ嬉しいです。

また、下記にこれまで作成した別マガジンを記載します。ぜひ覗いてみてください。

#製造
#理論と実践
#ものづくり
#成長
#5S
#トヨタ生産方式
#ジャストインタイム
#自働化
#リーンプロダクション
#ザゴール
#制約理論
#ドラッガー
#ビジョナリーカンパニー
#アドラー
#コーチング
#情報リテラシー
#要件定義
#会計
#損益計算書
#決算書
#損益分岐点
#原価低減
#平準化


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?