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【ビジョナリーカンパニー編3:12の神話の崩壊】

前回までの投稿を上記に入れています。

ある日、入社20年になる健は工場長の哲也に呼ばれ工場長室に行く。健はここ数年、全社が注目する新規事業の計画・プロセス立ち上げをこの工場で行ってきた。立ち上げが終わり、そのまま課長をするよう内示を受ける。それと同時に工場長からビジョナリーカンパニーについての解説・指導を受けるものがたりです。前回と今回で第1章に沿って解釈を入れながら解説していきます。(今回は第一章の後編です。)

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🧒‍;おはようございます!

👨‍🦳:おはよう。今日は12の神話の崩壊を話すぞ。

🧒‍;はい。

◆崩れた12の神話

👨‍🦳:この本は、彼らの調査結果を2章以降で解説していくという構成になっているんだよね。そして1章に序章として、まずビジョナリーカンパニーの定義をして、そして彼らの調査結果の崩れた神話について簡単に説明してるんだ。そして、この神話の崩壊の話を順々に、後の章で深堀していくってことだ。ここで、この後どんなことが話されていくか、抽象化しながら頭に叩き込んでおいてくれ。

🧒‍;崩れた神話。恐ろし。

👨‍🦳:神話①は

神話①すばらしい会社をはじめるには、すばらしいアイデアが必要である。

なんだ。

🧒‍;え、ちがうんですか?いきなりこれが崩れちゃうんですか?だって、分析して、数字見てその上でアイデアを作っていくって習うじゃないですか?

👨‍🦳;「すばらしいアイデア」を持って会社をはじめるのは、悪いアイデアかもしれないんだ。ビジョナリー・カンパニーには、具体的なアイデアをまったく持たずに設立されたものもあり、スタートで完全につまずいたものも少なくない。さらに、会社設立の構想に関係なく、設立当初から成功を収めた企業の比率は、比較対象企業よりビジョナリー・カンパニーの方がかなり低かった。ウサギとカメの寓話のように、ビジョナリー・カンパニーはスタートでは後れをとるが、長距離レースには勝つことが多い。

後輩;確かに、改善もそうですが、小利口になって分析マニアになってしまうのが、最も効率が悪いというか結局アクションの中から現実にぶつかって改善していくほうが、大きな時間軸で見たときはいいということかもしれませんね。気になります・・。

👨‍🦳:ここではちょっと長くは話せないから次にいくぞ。

🧒‍;はい。

👨‍🦳:神話② は

神話②;ビジョナリー・カンパニーには、ビジョンを持った偉大なカリスマ的指導者が必要である

だ。しかし、この本では、 ビジョナリー・カンパニーにとって、ビジョンを持ったカリスマ的指導者はまったく必要ないといっている。こうした指導者はかえって、会社の長期の成長においてマイナスになることもあるとも書いてあるんだ。実際に、ビジョナリー・カンパニーの歴代のCEO(最高経営責任者)のなかでもとくに重要な人物には、世間の注目を集めるカリスマ的指導者のモデルにあてはまらない人もいて、むしろ、そうしたモデルを意識して避けてきた人もいるんだそうだ。要するにさ、その人たちは自分がカリスマになるってことでなく、長く続く組織をつくり出すことに力を注いだってことだ。ここで、このことを時を告げるのではなく、時計をつくろうとしたといっている。そして、この志向は比較対象企業のCEOよりも強かったそうだ。

🧒‍:カリスマが必要ない。仕組みということですね。ここは工場管理にも通じそうです。時を告げるのではなく、時計を作ろうとしたって、かっこいいですね。


👨‍🦳:次に神話③だ。

神話③;とくに成功している企業は、利益の追求を最大の目的としている。

だ。ビジョナリー・カンパニーの目標はさまざまで、利益を得ることはそのなかのひとつにすぎず、最大の目標であるとはかぎらないんだ。確かに、利益を追求してはいるが、単なるカネ儲けを超えた基本的価値観や目的といった基本理念も、同じように大切にされているそうだ。しかし、不思議なもので、利益を最優先させる傾向が強い比較対象企業よりも、ビジョナリー・カンパニーの方が利益をあげている。

🧒‍;なんかそれはわかりますね。結局情けは人の為ならずと同じ現象が起きるというか当然利他的なのでしょうけど、結局自分に戻ってきますよね。


👨‍🦳;神話④だ。まだまだあるぞ。しっかり。

神話④ビジョナリー・カンパニーには、共通した「正しい」基本的価値観がある。

ビジョナリー カンパニーであるための基本的価値観に、「正解」と言えるものはない。ビジョナリー・カンパニーのうち二社をとってみると、対照的とも言えるほど理念が違っているケースもある。ビジョナリー・カンパニーの基本的価値観は、理念の内容ではなく、理念をいかに深く「信じて」いるか、そして、会社の一挙一動に、いかに一貫して理念が実践され、息づき、現れているかだ。ビジョナリー カンパニーは、「何を価値観とするべきか」問いを立てることはない。「実際に、何よりも大切にしているものは何なのか」という問いを立てる。

🧒‍:何が正しいかではなく、何を大事にするかが重要ということですね。

👨‍🦳;そうだ。神話⑤だ。

神話⑤;変わらない点は、変わり続けることだけである。

ビジョナリー・カンパニーは、基本理念を信仰に近いほどの情熱を持って維持しており、基本理念は変えることがあるとしても、まれであるといっている。ビジョナリー・カンパニーの基本的価値観は揺るぎなく、時代の流れや流行に左右されることはない。基本的価値観が百年をはるかに超えて変わっていないケースすらある。ビジョナリー・カンパニーは、基本理念をしっかりと維持しながら、進歩への意欲がきわめて強いため、大切な基本理念を曲げることなく、変化し、適応できる。
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🧒‍;うーん。これは、でも基本的価値観を軸に代わり続けると言っていると思いますがね。もちろん、軸がないまま変わるのはNGですけど。


👨‍🦳:神話⑥

神話⑥;優良企業は、危険を冒さない。

ビジョナリー・カンパニーは、外部からみれば、堅苦しく、保守的だと思えるかもしれないが、「社運を賭けた大胆な目標」に挑むことをおそれない。大きな目標はやる気になり、前進への勢いが生まれる。ビジョナリー・カンパニーは、この目標をうまく使って進歩を促し、過去の重要な局面で、比較対象企業を打ち破ってきた。

🧒‍;なるほど。だからやはり、挑戦するってことは変化するってことですから、やはり軸をもって、挑戦するってことですよね。

👨‍🦳:そうだな。この辺を詳しく別章で見ていくことになるね。次は、神話⑦だ。

神話⑦;ビジョナリー・カンパニーは、だれにとってもすばらしい職場である。

ビジョナリー・カンパニーは、その基本理念と高い要求にぴったりと「合う」者にとってだけ、すばらしい職場である。ビジョナリー・カンパニーで働くと、うまく適応して活躍するか、病原菌か何かのように追い払われるかのどちらかになる。その中間はない。カルトのようだとすら言える。ビジョナリー・カンパニーは、存在意義、達成すべきことをはっきりさせているので、厳しい基準に合わせようとしなかったり、合わせられない者には、居場所はどこにもない。っていうんだ。

🧒‍;これは考えさせられます。みんなにとっていいわけでないと。病原菌って。。。これも非常に気になりますね。

👨‍🦳:ここ面白いよね。次は神話⑧だ。

神話⑧;大きく成功している企業は、綿密で複雑な戦略を立てて、最善の動きをとる。

ビジョナリー・カンパニーがとる最善の動きのなかには、実験、試行錯誤、臨機応変によって、そして、文字どおりの偶然によって生まれたものがある。あとから見れば、じつに先見の明がある計画によるものに違いないと思えても、「大量のものを試し、うまくいったものを残す」方針の結果であることが多い

🧒‍;これは、ちょっと意外ですよね。やっぱり、きちんと計画立てて実行してというのが普通というかそう刷り込まれ教育をされていますよね。

👨‍🦳;場面にもちろんよるけども、計画ばかりに時間をかけて、リスクだけに気なって実行していないというケースは特に日本企業では多いな。次は神話⑨だ。

神話⑨根本的な変化を促すには、社外からCEOを迎えるべきだ。

ビジョナリー・カンパニーの延べ千七百年の歴史のなかで、社外からCEOを迎えた例はわずか四回、それも二社だけだった。ビジョナリー・カンパニーは比較対象企業と比べて、社外の人材を経営者として雇用する確率が六分の一しかなかった。根本的な変化と斬新なアイデアは社内からは生まれないという一般常識は、何度も繰り返し崩されている。

🧒‍;えー。。。そうなのですか、プロ経営者なんかが流行ってますよね。それは短期的な対策で、長期的にはNGなのですね。

👨‍🦳;うん。外から持ってこなければならないということ自体が、危機を表しているってことで、それは長期的にみると改善策にはならないんだろうね。

👨‍🦳:神話⑩だ。

神話⑩;もっとも成功している企業は、競争に勝つことを第一に考えている。

ビジョナリー・カンパニーは、自らに勝つことを第一に考えている。これらの企業が成功し、競争に勝っているのは、最終目標を達成しているからというより、「明日にはどうすれば、今日よりうまくやれるか」と厳しく問い続けた結果、自然に成功が生まれてくるからだ。そして、この問いかけを生活の習慣にして、ずっと続けてきた。百五十年以上も続けているケースもある。どれほど目標を達成しても、どれほど競争相手を引き離しても、「もう十分だ」とは決して考えない。

🧒‍;これは、盲点になりますよね。競争に勝つためでなく、結果競争に勝っているということですよね。

👨‍🦳;そうだな。競争に勝つってことがやっぱりどうしても最も重要と思ってしまう場面が多いと思う。特に収益が悪かったりするとな。でも、それの中で競争に勝つということだけを目的にしてしまうと、悪い循環ができてしまうことがあるような気がするよ。

👨‍🦳:次は、神話⑪だ。

神話⑪;二つの相反することは、同時に獲得することはできない。

ビジョナリー・カンパニーは、「ORの抑圧」で自分の首をしめるようなこと
はしない。「ORの抑圧」とは、手に入れられるのはAかBのどちらかで、両方を手に入れることはできないという、いってみれば理性的な考え方である。しかし、ビジョナリー・カンパニーは、安定か前進か、集団としての文化か個人の自主性か、生え抜きの経営陣か根本的な変化か、保守的なやり方か社運を賭けた大胆な目標か、利益の追求か価値観と目的の尊重かどちらか一つではないんだ。そして、「ANDの才能」を大切にする。これは逆説的な考え方で、AとBの両方を同時に追求できるとしているんだ。

🧒‍;これ、すごいですね。もっと身近な場合でも同じような意思決定の場面ありますよね。私もそうですが、まず自分の業務を終わらせて(守りをやって)、初めて改善案を考えることができる、つまり足元のことができない限り、次の自分のやりたいことをやってはならないと思ってしまいがちですが、そうではない考え方なのですね。同時にやるという強い意志が必要なのですね。


👨‍🦳;そうだな。だが、それも個人では無理で、トップの意思であったり周りの文化というものがキーになってくるな。長年蓄積されてきた文化がANDを許さない場合があるからな。

👨‍🦳:次は最後、神話⑫だ。

神話⑫;ビジョナリー・カンパニーになるのは主に、経営者が先見的な発言をしているからだ。

ビジョナリー・カンパニーが成長を遂げたのは、経営者の発言が先見的だからではまったくない 。偉大な企業になったのは、今日、経営者の間に流行しているビジョン、価値観、目的、使命、理念などを書いたからでもない。ビジョナリー・カンパニーでは、基本理念を活かすために、何千もの手段を使う終わりのない過程をとっており、これは、ほんの第一歩にすぎないといっている。


🧒‍;言うは易し、行うは難しですが、実際の実践して、成功か失敗を繰り返し、文化や考え方を浸透させていくのですね。

👨‍🦳:そうだね。だいぶ、長々12の神話の崩壊を説明したが、これをこの後の章から詳細に確認していく。

🧒‍;はい。よろしくお願いします。まずこうやって全体感をちょっとくどいくらい、説明して持ったほうが全体感を持ちながら、次から聞いていけますね。

◆調査方法

👨‍🦳;そうだ。それが導入の狙いだ。ちなみに、第一章の最後にこの調査のステップが記載されているから、簡単にだけ紹介しておく。

ステップ1:どの会社を調査すべきか決定
ステップ2;比較対象グループの決定
ステップ3:歴史と発展の調査
ステップ4;データの詰め込み、何か月もかけてコンピューターで分析。新たな事象の調査
ステップ5;情報の収集と比較分析と抽象化。
ステップ6;実地試験と現実世界への適用

ここでは詳細は説明しないが、興味ある場合は原書を読んでみてくれ。ただ、彼らはあくまでデータは出たであると言っている。

🧒‍;学べるものが多いが、批判的に読んで自分の考えをつくってほしいということですよね。データはあくまでもデータですので、自分の判断で何が正しいかを決めていきたいと思います。

👨‍🦳;そうか、では今日はこれで終わりだ。次回は、いよいよ本題に入っていく。第二章の“時を告げるのでなく、時計を作る。”を解説するよ。実際にやってみて複数回に分けるかどうか決めよう。

🧒‍;はい。わかりました。よろしくお願いいします。

・・・・・

◆最後に

 今回は、12の神話の崩壊について解説をしました。これは、これから話していく内容を俯瞰したものになっています。頭の片隅いれてもらいながら進めていきたいと思います。
次回は第二章を“時を告げるのではなく、時計を作る”になります。非常にためになる概念ですので、是非フォロー、スキよろしくお願いいたします!

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