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【ビジョナリーカンパニー編9:維持と進捗(後半)】

前回までの投稿を上記に入れています。

ある日、入社20年になる健は工場長の哲也に呼ばれ工場長室に行く。健はここ数年、全社が注目する新規事業の計画・プロセス立ち上げをこの工場で行ってきた。立ち上げが終わり、そのまま課長をするよう内示を受ける。それと同時に工場長からビジョナリーカンパニーについての解説・指導を受けます。1章でビジョナリーカンパニーの定義、2章で時計を作ることの大事さ、第3章で時計のための理念の重要性、AND思考重要性、さらに理念を作る際の基本思考について話をしてきました。今回は第4章でその理念をどう維持、進歩させていくか解説します。(4章も2回に分けます。今回後半です)

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◆基本理念を維持し、進歩を促す

🧒‍;おはようございます。

👨‍🦳;おはよう。前回は、ヒューレット・パッカードのあるマーケティング部長の話の下記の話で終わっていたな。

われわれは当社の成功を誇りにし、祝っている。しかし、本当に興奮させられるのは、当社が将来、どこまで前進していけるのかを考えるときだ。当社がどこまで発展していくのか、それを見きわめる過程に終わりはない。われわれに終着点はないからだ。現在の成功に決して満足してほしくない。それは衰退のはじまりだからだ。


🧒‍;はい。高みを目指して、常に前進という感じですね。でもこれって、前に出てきたANDの才能を活かすということにつながっていきませんか?理念を維持しながらも進歩させていくという。ANDですよね。

👨‍🦳;そうだ。ビジョナリーカンパニーは「ANDの才能」を活かしており、常に理念に徹すると同時に、力強く進歩しようとするんだ。要するにキレイごとを言いながら、成長しようとすることを続ける(もちろん失敗も多い。この姿勢が重要。)


🧒‍;なるほど。進歩への意欲があるから、基本理念を維持できる。つまり、維持するためには進歩が必要になる。それは企業は変化し、前進しなければならないということを意味しているのですね。理念を掲げるというのは、実は凝り固まってしまうというか保守的ではあるのですよね。下手すると古いものになってしまうというか、、、だから、それを進歩を実際にさせていくことで補完する必要がある

👨‍🦳;そうだ。下記の表がそれを解説している。

画像1

たいていの場合、基本理念と進歩への意欲はどちらも、そのルーツはある個人にまでさかのぼることができるが、ビジョナリー・カンパニーの場合は、それを組織にしっかりと根づかせ、組織の仕組みのなかに組み入れている。基本理念を持ち、進歩への意欲を持っている

🧒‍;さっきも話しましたが、意欲・モチベーションを持っているのですね。でも、そんな常にそんな意欲を持っている人がいるなんてすごいです。。それって結局カリスマが必要なのではと・・・。

👨‍🦳;いや違うんだ。ビジョナリーカンパニーは基本理念を維持し、進歩を促す具体的な仕組みも整えているんだ。


🧒‍;仕組み??

👨‍🦳;ウォルト・ディズニーは、ディズニー大学をつくり、すべての従業員に「ディズニー・トラディション」セミナーの受講を義務づけた。そして、ヒューレット・パッカードは、HPウエイを掲げただけではない。社内の人材だけを登用する方針を打ち出し、同社の理念を、従業員の評価と昇進の際の基準にし、HPウエイに合わない者が上級幹部に昇進するのはまず不可能な仕組みにしている。さらにマリオットも、ノードストロームもP&Gもそうだ。一種のカルトをつくっているんだ。著者はこの仕組みをうまいことを表現している。

ビジョナリー・カンパニーの内部をのぞくと、チックタックと時を刻み、鐘を鳴らすと同時に、ピシン、バシンとムチをならす時計がみえる。そこでは基本理念と進歩への意欲があらゆるところで形になって表れている。

🧒‍:うーん。。うまいんでしょうか、、なかなかわかりにくいですが、

👨‍🦳:この理念と進歩を両立するために、具体的な行動に移せるかどうか、アメとムチを組み合わせた仕組みをつくれるかどうかが、ビジョナリー・カンパニーになれるか、永遠になれないままで終わるかの分かれ道になるといわれている。

🧒‍;そうですね。となると最もやっていけない行動は、理念や行動指針と戦略や組織の特徴が矛盾してしまうという動きですよね。こうなると大きな混乱が起こりますね。

👨‍🦳:最初のほうでも話したけど、そう。ビジョナリー・カンパニーの建築家は、戦略、戦術、組織体系、構造、報奨制度、オフィス・レイアウト、職務計画など、企業の動きのすべてに一貫性を持たせようと努力しているんだ。

◆CEO、経営幹部、起業家のためのキー・コンセプト

🧒‍;でも、これを実際に自分の組織で実施していくために何かヒントはないのでしょうか?

👨‍🦳:著者たちは枠組みを考えたんだ。それは下記の図だ。まずは時計を作る考え方を作り理念をひねり出す。そして、その上で具体的な仕組みを構築し、一貫性と共に基本理念の維持と進歩をしていく。という枠組みだ。

図1

🧒‍:でも、こういう抽象的な概念は大切ですが、、、それだけではビジョナリー・カンパニーにはなれないですよね。結局は実行が必要で、ほとんどの企業はここでつまずくんでしょうね。

👨‍🦳:組織を築き、経営しようとしている君に向けた主張のなかで、何よりも重要な点をひとつあげるなら、それは、基本理念を維持し、進歩を促す具体的な仕組みを整えることの大切さだ。これが時計をつくる考え方の真髄なんだって著者は言っている。

🧒‍:なるほど、よくわかりましたよ。

◆第2部へ(5章以降)

👨‍🦳:さて、次の章から、ビジョナリー・カンパニーと比較対象企業の決定的な違いである基本理念を維持し、進歩を促すための具体的な方法について述べていくよ。これまでがこの本の第一部で、次回からが第二部といったところだな。

第二部内容は五つのカテゴリーに分けられる。

・社運を賭けた大胆な目標
リスクが高い目標やプロジェクトに大胆に挑戦する(進歩を促す)

・カルトのような文化
すばらしい職場だと言えるのは、基本理念を信奉している者だけであり、基本理念に合わない者は病原菌か何かのように追い払われる(基本理念を維持する)。

・大量のものを試して、うまくいったものを残す
多くの場合、計画も方向性もないままに、さまざまな行動を起こし、なんでも実験することによって、予想しない新しい進歩が生まれ、ビジョナリー・カンパニーに、種の進化に似た発展の過程をたどる活力を与える(進歩を促す)。

・生え抜きの経営陣
社内の人材を登用し、基本理念に忠実な者だけが経営幹部の座を手に入れる(基本理念を維持する)。

・決して満足しない――徹底した改善に絶え間なく取り組み、未来に向かって、永遠に前進し続ける(進歩を促す)。

🧒‍;興味あるものばかりです。

👨‍🦳:それと、これら手法を、実例、逸話、体系的な分析に基づいてひとつひとつ裏付け、例証していくが。各章を読むにあたっては、下記を理解して読んでいってもらいたい。。

・時を告げる予言者から時計をつくる設計者へと、発想を転換しているか。
・「ORの抑圧」をはねのけ、「ANDの才能」を活かしているか。
・基本理念を持っているか。単なるカネ儲けを超えた基本的価値観と目的があるか。
・進歩への意欲があるか。基本理念以外のすべてを変化させ、前進させようとする本能に近い衝動があるか。
・社運を賭けた大胆な目標、生え抜きの経営陣など、このあとで述べる具体的な手法を使って、基本理念を維持し 進歩を促しているか。
・組織は一貫性を持 ているか。社員が一貫したシグナルを受け取り、基本理念を支え、目標どおりの進歩を遂げる環境が強化されているか。

五章から十章までを読み終えると、自分の組織をビジョナリー・カンパニーに近付けるための具体的な構想を大量に得られているはずと著者は言っている。これを読んだら君はどうするか聞かせてくれよ。

🧒‍:はい。あと半分頑張ります。

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細かく分けてしまいましたが、これで4章を終了します。ここまでが第一部ですね。ビジョナリーカンパニーの定義(1章)、時計をつくることの重要性(2章)、そのために理念が必要なこと(作り方含め3章にて)、そして理念は進歩と両立が必要であること(ANDを活かす含め4章)という流れで学んできました。次回からは第二部と位置づけ、上で記載したようにそれぞれの具体例で各章ごとに解説していきます。これまでは結構我慢でしたが、ここから面白くなってきます。フォロー、スキお願いします。

続きは下記です。


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