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【両利きの組織をつくる2;第一章(前半)成功の罠】

前回までのマガジンは上記に入れています。

本マガジンでは、近年注目の“両利きの経営”についてAGCを題材に事例研究した書籍、“両利きの組織をつくる”について解説していきます。今回は、前回マガジンでビジョナリーカンパニーを学習した健が同期の倫也に工場で会います。(両者とも課長)倫也がこの本について解説し、その中で2人が議論していきます。今回は第一章「今必要な組織経営論」の前半を解説します。

・・・

👱🏼‍;おはよう。

👨‍🦱;おはよう。第一章「今必要な組織経営論」から進めていこう前半では、日本企業における問題点を的確についていて、次回以降のベースとなる課題が書かれている。

👱🏼‍;そうか。わかった。

◆成功の罠

👨‍🦱;昨日の投稿でも同じ話をしたが、成熟企業に勤めている中堅社員は俺たちも含めて、自分の会社がこのままの状態ではまずいと思っているよな。実際。

👱🏼‍;うん。思っている。市場環境が変わって、さらにIoTだなんだって言われて、いつの間にか中国企業や振興企業がより脅威になっている。そして、働いている従業員の価値観(仕事に関する考え方や育ったマクロ環境)が従来とは変わってきている。外部・内部と様々な変化にさらされているよな。従来のやり方では通じなくなっているのは間違いない。だけども、そこに対する改善策、対処法が正直よくわからないってのが実態だと思う。俺はそう。

👨‍🦱;まさに過去の日本型組織が進化しなければならないタイミングがもう来ているってことだな。むしろ、そのタイミングはすでに熟している時期なだよな。著者はこのことに関して下記のように述べている。

かつては日本企業の強みとされてきた終身雇用制度は、いまや硬直的なコスト構造として認識されるようになった。二〇一九年五月、経団連の中西宏明会長がこれまでの「日本的雇用システム」は成り立たなくなると発言して話題を呼んだ(1)。環境変化により従来の仕事がなくなることも不思議ではない時代には、終身雇用を前提とした事業運営は難しい。変わらざるを得ない状況が生まれているのだ。

👱🏼‍;そうそう。自分たちでもわかってるんだよな。。でも、自ら変わるっていうことは難しい。特に大手の成熟企業においては、組織も個人も変わらなきゃいけないと思っていて、モチベーションがある人は幾度かチャレンジするけど失敗してしまう。そして、その失敗はやっぱりちょっと冷たい目で充人が一定数いて、新しいことが試し辛くなっていくんだ・・。結果、変えることを諦めるようになっていく。

👨‍🦱;そう、そして、それを作り出しているのが、これまでの仕事、これまでのやり方に最適化されてきた組織カルチャーだとこの本では言っている。例えば、リスクを取って様々なことを試すことが必要なのに、過去のやり方で石橋を叩くようにリスクを最小限にしていく、結果結局大した成果物になっていかない。もしくは、リスクを最小限にするために時間をかけてしまい結果機会を逃す。などだ。

👱🏼‍;だな、その結果繰り返しのほぼ99.9%の中堅は口をそろえて、「目の前のことで精いっぱいで、新しことをやれない」「新しいことをやっている暇があったら、足元の仕事をもっと回さないといけない」というようになる。若手のころは勢いがあっても、現実に押し殺されてしまう。

👨‍🦱;それは個人の責任ではなく組織の構造の問題なんだ。それを、組織経営論では、「成功の罠」と呼んでいるそうだ。成功した過去は、変化する環境に対応できず衰退してしまうという法則だ。

👱🏼‍;ほとんどの成熟企業がそれに当てはまるのではないかな。でも、、何が問題でどうしたらいいのだろうか。

◆これまでの組織変革にかけていたもの

👨‍🦱;著者の加藤氏は、超一流の組織開発の実践家なんだけども、この事象に関してこういっている。

実際に組織開発を展開する上での最大の障害は、当事者間で、「組織が変わる」ということについてのイメージを共有できていない点だ。

👱🏼‍;なるほど、わかるわ。経営者だったり、自組織のトップが「変わらなければならない」と号令しても、それが、人事や事業部、そしてミドル等の当事者たちが持っている「組織が変わる」のイメージとバラバラということはよくある。でも、どうして、組織への共通イメージが持たれにくいのだろう・・。

👨‍🦱;共通のイメージが出来ていない場合、著者は大きく分けて2つのパターンがあると言っている。

1つ目;経営者が組織や人材についてあまり関心を持っていないパターン。
2つ目;戦略論を欠いたまま組織論だけが語られているパターンだ。

👱🏼‍;なるほど、それわかるぞ。一つ目は経営者は優秀な人の中のさらにトップだから、理詰めでの戦略論には非常に強い。だが、組織論や人の心の扱いというところにあまり興味を持たない。青臭い「社員がいきいき働ける組織」や「風通しの良い文化」というよな言葉には興味がないし、むしろ甘えくらいに思っている。こういう文化の場合は往々にして方向性を示した後、「やれー、なんでできないんだ?いつできるんだ?知恵絞れ!お前が悪い!」というお尻を叩く管理になるんだよな。いやー、おれも正直そういう風に管理してしまった時があったわ・・。それで失敗した・・。

👨‍🦱;そうだな。でも、昔はそれでよかったわな。終身雇用もあって、給料も右肩上がりだったらひたすら働くだけでもメリットがある。でも、いま強引にそれをやったら、皆疲弊していくだけだ。

👱🏼‍;そうだな。

👨‍🦱;だけどさ、2つ目のパターンはどうかな。働き甲斐のある現場をとか、風通しのよい組織という観点から組織改善を行う場合って、今度は戦略とつながっていない場合が多くないか?時代背景やそれぞれ世代の従業員の価値観の差は語るけども、それに対する事業戦略だったり経営としての視点が抜けている場合が多くないか?

👱🏼‍;それも、あるある。特にボトムからそういうアイデアや不満出てくるときは、気を付けないといけない。よく昔俺も「現場の言うことはしっかり聞きなさい、でもそれを受け入れるのは別の話だ」ってよく言われたわ。受け入れるって場合は、それが戦略や経営の視点から合致しているかを見なければならないのだな。

👨‍🦱;そうだ。つまりさ、その組織のトップが戦略論に偏って話をして、一方、ボトムであったり人に関心を持つメンバーが感情論に偏って話をしたら、「組織が変わる」という共通のイメージが持てるわけないし、その共通認識がなければ組織なんて変わるわけがない。これまでの組織改革はこの部分がなかったと痛感するよ。

👱🏼‍;納得。。としか言いようがない・・。

👨‍🦱;だから著者は、戦略論と組織論は同時に議論しなければならないといっていて、下記の図を紹介している。存在目的のために、戦略論があり、その戦略を実行するために組織論(なんのために、何を、どうやるのか)がある。このトライアングルを意識しなればならないんだ。

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👱🏼‍;なるほど。

👨‍🦱;そして、戦略に合わせて組織が進化していくこともあるし、組織独自の取り組みから新たな戦略が形成されることもあるんだ。そして、この循環作用の中で、「組織能力」が作られていく。ここで著者は、「組織能力とは、組織内の人のつながり方・機能の組み合わせによって生まれる、組織の実行力のことである」と定義している。

👱🏼‍;でも、さっき話した停滞感の塊の日本の成熟企業にはどんな組織開発が必要で、そこに適した組織能力とはいったい何なんだろうか・・。

👨‍🦱;気になるよな。おっと今日はあまり時間がないんだ。いいところで終わってしまうが、明日この続きを話そう。

・・・・・

 今回は第一章前半として、日本の成熟企業における組織的問題を解説しました。皆さんも同じよう問題を感じたことはないでしょうか?次回は、両利きの経営とはなんなのか、そしてなぜ必要でどうすればよいのかを解説します。今回連載を始めて、この概念は今日本のものづくりに必須だとつくづく感じています。是非、フォロー、スキお願いいたします。

続きの記事は下記です。


なお、下記はこれまでのマガジンです。気になるものがあったら是非覗いてみてください。

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