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パン職人の修造 56話〜100話 江川と修造シリーズ

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パン職人の修造 江川と修造シリーズです。 長い長いお話なので1〜55話までで一旦区切ってこちらは56話からになります。 お話の内容 口数は少ないがパンにかける情熱は人一倍の田所修…
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2022年8月の記事一覧

全然怖くない#2000字のホラー参加小説 Noisy people

全然怖くない#2000字のホラー参加小説 Noisy people

明け方

パン職人の田所修造の電話が鳴った。

修造は半分寝ぼけながら電話に出た。

「はい」

電話の向こうから職場の後輩藤岡の怯えた声が聞こえる。

「え?何か店にいるって?わかった見に行くよ」

早番の藤岡が1人で作業中、店から何か物音がするのに気が付いたが怖くて見に行けないと言う。

半分は気のせいだろうという気持ちがあったが念の為パンロンドに行く事にした。

以前も藤岡は朝番の時に怖がり

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パン職人の修造69  江川と修造シリーズ Genius杉本 リングナンバー7

パン職人の修造69 江川と修造シリーズ Genius杉本 リングナンバー7

恵美子はエプロンで手を拭きながら息子に向き直った。

「あんたは小さい時、神童って呼ばれてたのよ,物覚えが早くて誰よりもやる気あった。そんな時やんちゃして2階にあった教室から飛び降りて両足首を骨折してね、しばらく休んでから一切勉強しなくなってたわ」

「そんな小さい時に?」

あ、そう言えば俺、小さい時入院してたわ。

その後学校に行ったら、勉強が進んでて浦島太郎みたいになんか色々ガラリと変わって

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パン職人の修造68 江川と修造シリーズ Genius杉本 リングナンバー7

パン職人の修造68 江川と修造シリーズ Genius杉本 リングナンバー7

「俺はただのプレゼントで指輪を渡したいだけじゃないのに!」嫉妬も相まって、普段は絶対怒らない、どちらかと言えば温厚な態度の杉本が語気をちょっとだけ強めてしまった。

風花はその事がショックで「龍樹のバカ!」と言って、来た方と反対の河原町の方に向かって走り出した。

「待ってくれよ!危ねぇって」

人混みの中をうまく避けて風花はどんどん見えなくなっていく。

杉本も瞬発力と動体視力を駆使して人混みを

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パン職人の修造67 江川と修造シリーズ Genius杉本 リングナンバー7

パン職人の修造67 江川と修造シリーズ Genius杉本 リングナンバー7

パンロンド社員旅行 京都2日目の朝

 

「なあ、昨日夜指輪買いに行くって言ってたろ?早く寝たじゃん」と同室の藤岡が聞いてきた。

「え、風花が俺に試験の事を言い出して、、」

「逃げたな?受ければ良いじゃん」

「嫌ですよ勉強なんて」

「風花はお前のために言ってんだろ」

そこに江川が部屋をノックした。

「朝ごはんに行きますよ〜」

「江川さん朝から元気ですね」

「うん杉本君、今日時代村

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パン職人の修造66 江川と修造シリーズ Genius杉本 リングナンバー7

パン職人の修造66 江川と修造シリーズ Genius杉本 リングナンバー7

京都着

社員旅行中のパンロンド一行は清水寺、銀閣寺、金閣寺を巡って王道の京都観光を楽しんだ。

二条城唐門到着

みんなして二の丸御殿の鶯張りの廊下を歩いたり優美な狩野派の障壁画を見たりした。

「欄間彫刻も見事だねえ」

「ですね」

「たまにはゆっくりと観光もいいもんですね」

「豪華絢爛だなあ」

 

そのあと

杉本と風花は日本庭園を見ながらみんなと少し遅れて歩いていた。

「この池鯉

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パン職人の修造65 江川と修造シリーズ Genius杉本 リングナンバー7

パン職人の修造65 江川と修造シリーズ Genius杉本 リングナンバー7

その日の帰り道

 

杉本は手の甲の文字の話を風花にしてみせた。

「俺ちゃんと覚えてるよ。サッカロマイセスセレビシエにカザフタニア–エグジグアにラクトパチルス–サンフランシセンシス等、、」

風花はそれを聞いて驚いた。

「ひょっとしてちゃんと勉強したらいい線行くんじゃない?」

「えー、俺そんな事やった事ないから」

「本屋さんに行こうよ」

風花は杉本と東南駅横のショッピングモールの大きめ

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パン職人の修造63 江川と修造シリーズ バゲットジャンキー

パン職人の修造63 江川と修造シリーズ バゲットジャンキー

このお話は2022年5月10日グロワールのHPに掲載したものです。

次の朝早く自転車に乗ってパンロンドについた修造は工場に入った時何かしらの異変を感じていた。

「なんだろう?何かおかしい」

すでに来ていた親方と藤岡と杉本が修造を取り囲んで「優勝おめでとう!」と口々に言ってくれた。

「ありがとうございます。あの、、店の色が変わってますよね?」

「そうなんだよ!こっち来て!」

親方は修造に

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