記事一覧
アートプロジェクトとしての『PERFECT DAYS』
『PERFECT DAYS』は、映画として始まった作品ではなく、「THE TOKYO TOILETプロジェクト」から生まれた企画作品だ。
「THE TOKYO TOILETプロジェクト」とは、公共トイレの価値や意味を問い直すことを目的とし、渋谷区内の17カ所にある公共トイレを一流のクリエイターたちが生まれ変わらせた。
詳細は説明は様々なページで書かれているのでそちらに任せるとして、この文章ではそ
キャンセルカルチャーへの対抗策は「隣人愛」|ジョジョ第4部はスタンドバトルだけじゃあない
語り尽くされたジョジョについて感想を書くことはためらわれるのだけど、どうしてもこの4部の魅力を語りなくなるほどにハマってしまった。
数ヶ月までのジョジョへの私の印象は「画が苦手」「巻数多いから今さら手を出すと大変そう」というもので、漫画にもアニメにも全く触れたことがなかった。
ふとしたきっかけで3部を読み(漫画)、4部をアニメ(『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』)で観たところ、その
ドラマ『ベター・コール・ソウル』完結|人はどうしたら「breaking bad」するのか
「一線を越える」
一定の線を越えて、言うべきではないことを言ってしまう、すべきではないことをしてしまうことを表した言葉として、日本語にはそういった表現がある。英語では「cross the line」というらしい。ほぼ同じ表現だ。
「Break Bad」
著名ドラマのタイトルであるこの英語。どういった意味だろうか。
ワードのそのままの意味を捉えると、「一線を越える」と同じような意味に思える。”
2021年映画総括|濱口監督の発見と海外作品の二極化
今年観た新作映画は、昨年と同じく23作品。Netflixオリジナルは3作品、邦画は10作品だった。
※新作の定義は①日本で2021年公開 ②映画として公開されている(よってNetflix等で公開された作品も含む)
例年ランキングでその年観た作品を整理していたが、2つのトピックスで振り返りたいと思う。
■海外作品の二極化
今年、自分が鑑賞した海外作品について友人に話をすると「知らない」「聞いた
映画『ドライブ・マイ・カー』感想|「向き合うこと」は「演じること」
驚いた。傑作だったのだ。
なぜ驚いたのかと言うと、予告映像からは内容が予測できないから。
ただ、この作品の良さ、面白さは、約3時間という長さの映画を通して見ないとわからない。予告映像では決して感じることができないものだ。
(不穏なピアノの音によってサスペンス作品かのように感じられる予告になっているが、それはこの作品の本質を表していないように思う)
そういった作品ゆえにテキストで作品の良さを語り
ポップで明るい復讐劇のアンチテーゼ|『プロミシング・ヤング・ウーマン』
「モノゴトを良い方に考えること」、すなわちポジティブであることは良いことだと思うだろうか。
普通に考えれば、ネガティブであるよりはポジティブな方が良いだろう。
「モノゴトを悪い方に考える」よりは良い方に考えた方が気持ちが良いに決まっている。
ただそれはそう考えている”当人にとって”であることを忘れてはならない。
「モノゴトを良い方に考えること」にカッコ書きを付け足すのであれば”当人にとって都合
『サウンド・オブ・メタル』|音のない世界を体感した先にあるもの
「私の友人の話なんだけど…」で始まる話は、だいたい本人の話だ。
ただこれは「私の友人の話」ではない。私の個人的な話である。
『サウンド・オブ・メタル』、この映画を語るには、その話を書かざるを得ないと思ったので書いている。
私の中の良い友人に、突発性難聴を抱えている人がいた。
時たま入院もしていたし、入院をしていない時期も「耳鳴りがひどい」ということを言っていることがよくあった。
私は、その病
2020年映画総括|Netflixと韓国映画の1年
2020年も年末、新型コロナウイルスの感染拡大による映画館の閉鎖、劇場公開の延期など、映画界にはお世辞にも良い1年とは言えない年だった。
今年観た新作映画は23本。
昨年が31本だったので、鑑賞本数は減少。コロナで新作公開が少なく、劇場も行けない期間があったのでしょうがない。
※新作の定義は①日本で2020年公開②映画として公開されている(よってNetflix等で公開された作品も含む)。
それ