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2020年映画総括|Netflixと韓国映画の1年

2020年も年末、新型コロナウイルスの感染拡大による映画館の閉鎖、劇場公開の延期など、映画界にはお世辞にも良い1年とは言えない年だった。

今年観た新作映画は23本。
昨年が31本だったので、鑑賞本数は減少。コロナで新作公開が少なく、劇場も行けない期間があったのでしょうがない。
※新作の定義は①日本で2020年公開②映画として公開されている(よってNetflix等で公開された作品も含む)。

それではトップ5。

5位:『ハーフ・オブ・イット』

Netflixオリジナル作品。
人種、同性愛、宗教、理性と感情、重たくしようと思えばいくらでも重たくできるテーマを扱っているが、苦悩しながらも前向きな人物像によってきちんと青春映画になっている。
前作が15年前だというアリス・ウー監督。確かにそのぐらいの時間はかかるかもな、と思うぐらい作り込まれた作品だった。

4位:『スウィング・キッズ』

韓国映画。朝鮮戦争時代の保留収容所で結成された、国も立場も超えたタップダンスチームの話。

ダンスのとり方が良い。タップダンスを華やかに見せるのって結構難しいと思うのだけど、この作品では様々な角度、音楽、そしてダンサーの役柄の個性などをうまく使いながら、飽きずに楽しむことができる。
そして「ダンスが全部解決してくれました(スバラシイ!)」みたいな美談ではなく、しっかり反戦作品として仕上がっているのも○

韓国では2018年に公開されている。日本ではほとんど話題にならなかった。
『パラサイト』ももちろん良かったし、今年は韓国ドラマも話題になった。
もう少し、小中規模韓国映画が早いタイミングで劇場公開されるようになってほしいと思う。


3位:『パラサイト』

序盤はコメディタッチだが、中盤からサスペンス、ホラー、推理モノの要素が加わってくる。また作品全体を通して、「貧困」「格差」という社会問題の提起をしている作品でもある。
この作品のすごいところは、それらの複数の要素を、違和感がない形で1つの作品として統合していることだ。

実は2020年の作品。ずいぶん前の作品に思えるが、アカデミー賞作品賞を受賞したのは2月のことだった。前のように感じてしまうのは、その後新型コロナウイルスが感染拡大し、映画どころの話ではなくなったからだろう。


2位:『娘は戦場で生まれた』

アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞ノミネート作品。
言葉にならない、4年前に陥落したシリア アレッポの現実。まだ20代のワアド監督が経験した生と死。
アレッポにいたら、西欧諸国や国連はなぜ何もしてくれないのだろう?どうして?と思わざるを得ない。それだけ自分たちではどうしようもない状態。
救いなのは、今ロンドンにいる彼女らの様子をInstagramで知ることができ、非常に幸せそうであるということだ。


1位:「MANK マンク』

Netflixオリジナル作品。MANKはすごい作品だ。感想はこちらに「メディアの影響力とその責任」の観点で書いているが、映画としても「カットの良さ」が飛び抜けていた。白黒という制限がある中で、ここまで「色」を表現できるものかと驚いた。


総括、来年への展望:Netflixと韓国映画の1年だった。来年以降のストリーミングサービスの影響力の拡大は決定的。

まず韓国映画(アジア映画とくくりたいところだが、韓国映画としか言えない)の良さは継続するだろう。若い監督も出てきており、2020年鑑賞した作品の中では『はちどり』も良い作品だった。
良い作品が出てきているのは、偶然によるものではなく政策が元となり人材が育つ環境が作られているためであり、今後も期待ができる。

またストリーミングサービスの影響力の拡大。
Netflix作品の充実は言わずもがな、Disney+もオリジナル作品を増やしているし、ワーナー・ブラザーズは2021年公開映画の全てを、劇場公開と同時に自身のVODサービス「HBO Max(日本未上陸)」で配信すると発表した。

映画館になかなか行けない状態が少なくとも来年中は続くであろうから、ストリーミングサービスの影響力が増し、映画界の勢力図は大きく変化するだろう。

2020年鑑賞全作品

☆はランキング次点作品

パラサイト 
フォードvsフェラーリ ☆
1917 命をかけた伝令 ☆
ジョジョ・ラビット ☆
娘は戦場で生まれた
37セカンズ
スウィング・キッズ
スキャンダル
ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋
ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから
はちどり ☆
行き止まりの世界に生まれて
オン・ザ・ロック
TENET ☆
劇場版「鬼滅の刃」無限列車編
朝が来る
ミッドナイトスワン
なぜ君は総理大臣になれないのか
Mank マンク
シカゴ7裁判
パピチャ 未来へのランウェイ
ソウルフル・ワールド


来年は邦画にも期待…したい。
(今年観た中では、映画館で初鑑賞だった『もののけ姫』は素晴らしかった)

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