Jenki

メディア企業で働いてるマンです。思うがままに映画の感想など書いてます。

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最近の記事

アートプロジェクトとしての『PERFECT DAYS』

『PERFECT DAYS』は、映画として始まった作品ではなく、「THE TOKYO TOILETプロジェクト」から生まれた企画作品だ。 「THE TOKYO TOILETプロジェクト」とは、公共トイレの価値や意味を問い直すことを目的とし、渋谷区内の17カ所にある公共トイレを一流のクリエイターたちが生まれ変わらせた。 詳細は説明は様々なページで書かれているのでそちらに任せるとして、この文章ではそのプロジェクトと『PERFECT DAYS』の関係性について書きたいと思う。

    • バービー|笑顔の奥に潜む、消えゆくステレオタイプの行方

      アメリカでは今年1のヒットらしいが、日本だとそこまでのヒットに至っていない『バービー』。以下の3つによって、「うーん観なくていいかな〜」となってしまっているかもしれない。 『バービー』が観られない理由 (1)オッペンハイマーとの絡みで炎上 アメリカでは『バービー』と同日に「原爆の父」として知られるロバート・オッペンハイマーをモデルにした作品『オッペンハイマー(監督:クリストファー・ノーラン)』が同日の7/21に公開された。両作品ともに大ヒットで、それを盛り上げたいファンが

      • キャンセルカルチャーへの対抗策は「隣人愛」|ジョジョ第4部はスタンドバトルだけじゃあない

        語り尽くされたジョジョについて感想を書くことはためらわれるのだけど、どうしてもこの4部の魅力を語りなくなるほどにハマってしまった。 数ヶ月までのジョジョへの私の印象は「画が苦手」「巻数多いから今さら手を出すと大変そう」というもので、漫画にもアニメにも全く触れたことがなかった。 ふとしたきっかけで3部を読み(漫画)、4部をアニメ(『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』)で観たところ、その魅力にとりつかれた。 4部の魅力、それは作者の荒木氏も語っているように「(本作

        • ドラマ『ベター・コール・ソウル』完結|人はどうしたら「breaking bad」するのか

          「一線を越える」 一定の線を越えて、言うべきではないことを言ってしまう、すべきではないことをしてしまうことを表した言葉として、日本語にはそういった表現がある。英語では「cross the line」というらしい。ほぼ同じ表現だ。 「Break Bad」 著名ドラマのタイトルであるこの英語。どういった意味だろうか。 ワードのそのままの意味を捉えると、「一線を越える」と同じような意味に思える。”悪(か否かのライン)を越える”ということだ。 『ブレイキング・バッド(BB)』

        アートプロジェクトとしての『PERFECT DAYS』

        • バービー|笑顔の奥に潜む、消えゆくステレオタイプの行方

        • キャンセルカルチャーへの対抗策は「隣人愛」|ジョジョ第4部はスタンドバトルだけじゃあない

        • ドラマ『ベター・コール・ソウル』完結|人はどうしたら「breaking bad」するのか

          2021年映画総括|濱口監督の発見と海外作品の二極化

          今年観た新作映画は、昨年と同じく23作品。Netflixオリジナルは3作品、邦画は10作品だった。 ※新作の定義は①日本で2021年公開 ②映画として公開されている(よってNetflix等で公開された作品も含む) 例年ランキングでその年観た作品を整理していたが、2つのトピックスで振り返りたいと思う。 ■海外作品の二極化 今年、自分が鑑賞した海外作品について友人に話をすると「知らない」「聞いたことがない」という話をされることが多かった。 聖なる犯罪者 時の面影 ノマドラ

          2021年映画総括|濱口監督の発見と海外作品の二極化

          「男のメンツ」の終焉|映画『最後の決闘裁判(The Last Duel)』感想

          「俺のメンツ(面子)が立たない」「メンツが丸つぶれだからやり返さないといけない」男からは、ときたまそういった「メンツ」が顔を出し暴れることがある。 「男のメンツ」。 それは何のことだろうか。 『最後の決闘裁判(The Last Duel)』は、中世フランスの騎士カルージュ(マット・デイモン)とその妻マルグリット(ジョディ・カマー)、カルージュの旧友で権力者のル・グリの3人を中心に展開される。 ”ル・グリがマルグリットを乱暴し、その正誤の判断を決闘で行う”というのが大枠の

          「男のメンツ」の終焉|映画『最後の決闘裁判(The Last Duel)』感想

          映画『ドライブ・マイ・カー』感想|「向き合うこと」は「演じること」

          驚いた。傑作だったのだ。 なぜ驚いたのかと言うと、予告映像からは内容が予測できないから。 ただ、この作品の良さ、面白さは、約3時間という長さの映画を通して見ないとわからない。予告映像では決して感じることができないものだ。 (不穏なピアノの音によってサスペンス作品かのように感じられる予告になっているが、それはこの作品の本質を表していないように思う) そういった作品ゆえにテキストで作品の良さを語り切ることはできないのだが、「何を表現している作品かという」ことについて、自分なり

          映画『ドライブ・マイ・カー』感想|「向き合うこと」は「演じること」

          『もしも東京』展|20+1人の東京の見方

          8月4日(水)〜9月5日(日)の会期で東京都現代美術館で開催されている『もしも東京』展に行ってきた。20名の漫画家が、“もしもの東京”をテーマにした漫画作品を制作する展示会である。 気になる作品はいくつかあったが、特に気に入ったのは2人だった。 ①山下和美氏『天才柳沢教授の生活』や『不思議な少年』、今年4月に第25回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した『ランド』などの作品がある。 単純に私が山下さんの作品のファンだ、ということが大きい気がするが「そういえば山下氏の作品に登

          『もしも東京』展|20+1人の東京の見方

          ポップで明るい復讐劇のアンチテーゼ|『プロミシング・ヤング・ウーマン』

          「モノゴトを良い方に考えること」、すなわちポジティブであることは良いことだと思うだろうか。 普通に考えれば、ネガティブであるよりはポジティブな方が良いだろう。 「モノゴトを悪い方に考える」よりは良い方に考えた方が気持ちが良いに決まっている。 ただそれはそう考えている”当人にとって”であることを忘れてはならない。 「モノゴトを良い方に考えること」にカッコ書きを付け足すのであれば”当人にとって都合が良い”であり、ときには、そのポジティブさが人を傷つけることもある。 例えば過

          ポップで明るい復讐劇のアンチテーゼ|『プロミシング・ヤング・ウーマン』

          『サウンド・オブ・メタル』|音のない世界を体感した先にあるもの

          「私の友人の話なんだけど…」で始まる話は、だいたい本人の話だ。 ただこれは「私の友人の話」ではない。私の個人的な話である。 『サウンド・オブ・メタル』、この映画を語るには、その話を書かざるを得ないと思ったので書いている。 私の中の良い友人に、突発性難聴を抱えている人がいた。 時たま入院もしていたし、入院をしていない時期も「耳鳴りがひどい」ということを言っていることがよくあった。 私は、その病状を理解しているつもりでいた。 耳がキーンとすることは自分にもあるし、その延長線

          『サウンド・オブ・メタル』|音のない世界を体感した先にあるもの

          『ノマドランド』|ノマドは悲惨なのか、それとも自由なのか

          自身の車で寝泊まりし、時にAmazonの年末商戦スタッフとして、時に観光地の清掃員として働き日銭を稼ぎ生活する。 そんな人がアメリカで増えていることを知っているだろうか。 日本の感覚だと考えられないかもしれない。 日本だと寝泊まりする家である車を停めるスペースがあまりない。 また、そもそも社会保障制度が充実しているのでどこかしらの家に住むことはできる。 日本から見ると、ノマド(定住する場所を持たない人々)は「アメリカの悲惨な現実」。 そうなのかもしれない。 アメリカ

          『ノマドランド』|ノマドは悲惨なのか、それとも自由なのか

          『ヤクザと家族 The Family』感想|寛容ってそう簡単なことじゃない

          あなたの職場にとても人当たりの良い人がいて、その人が元ヤクザと何かしらの関係性を持っていたしたら、あるいはその人自身が服役を終えた元ヤクザだったら、どう思うだろうか。 そして、その人にどう接するだろうか。 『ヤクザと家族 The Family』は綾野剛演じる山本賢治(愛称ケン坊)のヤクザとしての一代記である。 ヤクザの子どもとして生まれ、ヤクザとして育ち、暴対法施行後の世界でひっそりと生きた、ヤクザの話だ。 監督は藤井道人。 近年『デイアンドナイト』や『新聞記者』などのク

          『ヤクザと家族 The Family』感想|寛容ってそう簡単なことじゃない

          『すばらしき世界』感想|「怒り」×「優しさ」で見える世界

          『すばらしき世界』 タイトルだけ見ると内容の想像がつかないだろう。 何か世界を肯定する作品なのだろうか、と感じると思う。 では作品の予告はどうだろうか。 何かサスペンス的な展開を予測させるようなものになっている。 ただ実際はそんなことはない。 生きづらい男(三上)が、生きづらいまま少し希望を見つける、そんな作品だ。 行きづらいってどういうことか。それは「居場所がない」ということだ。 今の社会には、人生のほとんどを刑務所で過ごしてきた男が生きる場所がなかなか見つからな

          『すばらしき世界』感想|「怒り」×「優しさ」で見える世界

          Youは何しに遺跡に?|Netflixオリジナル映画『The Dig(時の面影)』

          遺跡や博物館に行って、むかーーしのものを見る。 考ええみると不思議だ。 美術館はわかりやすい。単純に美しいものを見たい、日常から離れたい、あるいはインスピレーションを得たい、といった目的があるだろうと思う。 一方で博物館や遺跡。昔のものばかり、古びたもの、さびたもの、一部がかけたもの、決して一般的に美しいものとは言えない。 日常から離れてインスピレーションを得たい?博物館で展示されている、遺跡として公開されているものは、決して我々の日常から離れたものではない。むしろ我々

          Youは何しに遺跡に?|Netflixオリジナル映画『The Dig(時の面影)』

          2020年映画総括|Netflixと韓国映画の1年

          2020年も年末、新型コロナウイルスの感染拡大による映画館の閉鎖、劇場公開の延期など、映画界にはお世辞にも良い1年とは言えない年だった。 今年観た新作映画は23本。 昨年が31本だったので、鑑賞本数は減少。コロナで新作公開が少なく、劇場も行けない期間があったのでしょうがない。 ※新作の定義は①日本で2020年公開②映画として公開されている(よってNetflix等で公開された作品も含む)。 それではトップ5。 5位:『ハーフ・オブ・イット』Netflixオリジナル作品。

          2020年映画総括|Netflixと韓国映画の1年

          『マンダロリアン』はなぜ絶賛されるのか|映画よりも映画なドラマ

          「2020年のベスト映画は何か」 公開作品が少なかったため鑑賞作品数も少なく回答に困るところだが、 「2020年、映画的表現が最も優れていた作品は何か」 そう聞かれたら答えは1つしかない。 『マンダロリアン』である。 先週シーズン2が終了ばかりの『マンダロリアン』。 シークエルトリロジー(ep7~9)にはネガティブな姿勢のスターウォーズファンからも、『マンダロリアン』は絶賛されている。 『マンダロリアン』の何がすごいのか、3つの観点で語りたいと思う。 1.映画的表現の

          『マンダロリアン』はなぜ絶賛されるのか|映画よりも映画なドラマ