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海外での適法な別姓婚は国内でも有効㊗選択的夫婦別姓を前進させる画期的判決!

アメリカで適法に別姓婚をした夫婦は、国内でもその婚姻は(同姓にしなくても)有効である、と結論づける画期的な判決が21日、東京地裁(市原義孝裁判長)で出ました。いつものように形式的には請求棄却ですが実質的な勝訴判決であると言えます。

この記事では(元)司法書士の経験を活かして、この判決について詳しく解説していきます!

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☆原告の主張

🐣原告側の主張

映画監督の想田和弘さんと妻の柏木規与子さんは、24年前の1997年にアメリカ・ニューヨーク州で夫婦別姓を選んで結婚しました。海外で結婚する場合、日本で婚姻届を提出しなくても、現地の法律に基づいておこなわれれば国内でも婚姻は有効に成立します(法の適用に関する通則法24条2項)。

しかし2018年、東京都千代田区役所に別姓のままでの婚姻を届け出たところ受理してもらえず、新しい戸籍も作成されませんでした。

現行法では日本では婚姻の際、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」(民法750条)とされており、「夫婦が称する氏」を届け出る必要があります(戸籍法76条)。千代田区の判断はやむを得ないものではあるでしょう。

夫婦同姓でないと夫婦の戸籍が作成されないので、二人は適法に法律婚した夫婦であるにも関わらず、戸籍上で婚姻関係を公証できない状態におかれてしまいました。これは、法の不備であるとしか言いようがありません。

そこで想田和弘さんと柏木規与子さん夫婦は、

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🐣<原告の請求>🐣

✅戸籍上、婚姻関係の証明が受けられる地位にある(婚姻が有効に成立している)ことの確認

✅国作成の証明書によって婚姻関係の証明を受けられる地位にあることの確認

✅一人につき10万円の国家賠償

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の3点を求めて、2018年6月に国を提訴しました。

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☆国の主張

🙅‍♀️被告側(国)の主張

国はこれら原告の主張に対し、

✅想田さんらは夫婦を称する氏(姓)を定めておらず、夫婦同姓を義務づけた民法750条の要件を満たしていないので、そもそも日本において2人の婚姻は有効に成立していない(そのため原告は婚姻関係の証明を受ける地位にあるとはいえない)

と反論。なんと、海外で適法に法律婚したにも関わらず、婚姻の効力自体を真っ向から否定してきました。

これは、法の適用に関する通則法24条2項が「婚姻の方式は、婚姻挙行地の法による。」と定めているにも関わらず、日本の民法を遵守していなければ国内での婚姻の効力を認めないとするものであり、まったく矛盾する主張であると言えます。

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☆海外での適法な別姓婚は国内でも有効!

🍃<裁判所の判断1> 海外での適法な別姓婚は国内でも有効!

当然、裁判所は上記のような国の主張はバッサリと斥(しりぞ)けました。

判決では、2人の婚姻が成立しているかについて

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日本の法律でも外国の方式に従って『夫婦が称する姓』を定めずに婚姻することは当然、想定されている。婚姻の方式は婚姻を挙行した国の法律によると定められていることから、2人の婚姻は有効に成立している

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と当然の判断を示しました。

つまり、日本で初めて裁判所が「(日本人同士の)夫婦別姓」を正面から認めたのです!

※ちなみに国際結婚(一方が外国人)である場合には姓をどちらかに統一する必要はありません(希望すれば姓を同一にすることもできます)。詳細を知りたい方は、例えばこちらのページなどをご覧ください。

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☆国家賠償は認めず

🍃<裁判所の判断2> 国家賠償請求は棄却

婚姻自体は有効であると認めた東京地裁ですが、

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海外で別姓婚をした日本人夫婦の婚姻関係を証明する規定が戸籍法に設けられていないとしても、憲法24条(婚姻の自由)に違反するものであることが明白であるとまで評価することはできないから、国の立法不作為が国家賠償法上違法の評価を受けるものではない

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として、原告の国家賠償請求については斥けました(請求棄却)。


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☆戸籍については門前払い

🍃<裁判所の判断3> 戸籍のことは家庭裁判所でやってくれ

また、戸籍については

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戸籍については家庭裁判所に不服を申し立てるほうが適切であり、家庭裁判所への不服申し立てを通じ、戸籍謄本の交付請求もできるようになり得るのであるから、原告の権利や法的地位に危険や不安が現存するとまで言うことは困難であり、原告には「確認の利益」がない

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として、実質的な判断に入らずに戸籍の訴え自体を不適法だと判断して却下(門前払い)しました。

確かに戸籍法122条は「戸籍事件について、市町村長の処分を不当とする者は、家庭裁判所に不服の申立てをすることができる。」と定めていますので、東京地裁の言うことはわからなくはないです。

しかし、『婚姻は有効に成立している』としておきながら、戸籍に記載できるかや婚姻の証明書を出せるかといった婚姻の手続きについては認めないのでは、結局は「婚姻は成立しているのに証明するものがない」という、法的な保護や利益を得られず不安定な状態に夫婦が置かれてしまう事態は変わらないので、問題が本当には解決していないようにも思います。

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☆おわりに 選択的夫婦別姓を認めない国は日本だけ

この裁判は、日本の法制度に深刻な不備・矛盾があることを浮き彫りにしました。

現行の法令に従えば、海外で婚姻すれば日本でも別姓のまま夫婦になれるわけです。だったら最初から国内でも別姓で結婚させろよという話に当然なってくるわけで、わざわざ夫婦同姓を強制する民法750条の規定についてその存在意義が大きく問われることになります。

現在、この広い世界に「夫婦同姓」をいまだに義務づけている未開で野蛮国は(政府が把握できている範囲では)日本以外ありません。グローバル化の進展が不可避な現代において、日本においてだけ選択的夫婦別姓を拒否し続けることにそもそも無理があるのです。

自民党は選択的夫婦別姓の反対理由として「家族の一体感が失われる」を挙げますが、これは「日本の外では家族が崩壊している」と主張しているのに等しいものであり、まったく説得的な理由ではありません。

いまや選択的夫婦別姓に賛成する国民はかなり多くなっています(例えば東京都の女性の8割程度が賛成)。「選択」できるわけですから反対する理由は本来あり得ないわけで、当然の結果です。

互いに愛し合う夫婦が役所で婚姻届を受理されず、夫婦であることを公的に証明できる術がないまま、この判決までに約3年が経過しました。しかもあろうことか、国は答弁書や準備書面で「2人の婚姻は有効でない」などと主張してきました。夫婦であることが国によって否定されました。

判決は嬉しかったでしょうが、婚姻届の不受理時やこの3年間の悲しみやご心痛はいかばかりか。察するに余りあるものがあります。しかも、この判決が出たからといってすぐに戸籍に別姓記載がされるわけではないのです。

国内には、夫婦別姓を選択できないことが足枷(あしかせ)になり、法律婚を躊躇(ためら)っている悲しいカップルがまだまだたくさんいます。自公政権は直ちに選択的夫婦別姓を認めるべきです。

…といっても、法務大臣の諮問機関である法制審議会(法制審)が1996年の時点で選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正を答申しているにもかかわらずいまだに何の進捗もない自民党には何も期待できないので、速やかに政権交代を実現することによってしか日本人が幸せになる術はないでしょう。

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🌹千葉県知事選の候補者だったかなみつ理恵さんが、この判決の傍聴記をブログに書いています。傍聴に行く熱心さがすばらしい。ぜひご覧ください!少しですが判決文の画像もあります!


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🌸🍃この記事の執筆者、Study Partnerは、コペル&アヤでした🐣


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