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詩 大切なものたち 記憶の中で

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形象化と現実は、少しズレていて、本当の出来事より印象に残ったりします。
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2022年10月の記事一覧

路上の詩《生きるということ》

路上の詩《生きるということ》

よくホームレスに冷たい言葉を投げかけられるものだと思うよ。自分がホームレスになっていないのは、いろいろな幸運の連続ですよ。どんなに頑張っていても、突然、ホームレスになることなんて全然あるんだから。その人たちに投げかける言葉が、いつか自分に返ってくるかもしれない想像もできないんだ。

ホームレスになる可能性が低い人にとっても、弱い立場の人がちゃんと守られてる社会の方が圧倒的に空気おいしいと思いますよ

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詩)記憶の名前

詩)記憶の名前

水槽に貴方の脳が浮いている
貴方は自分の脳と向きあっている
貴方は自分の手を使って何かを書く
貴方は「意識」の中で書く
それがいつのまにか わたしになる

捨てられた記憶はいつまでも残る
哀しみにはどこかにふたがあるとしても
わたしはどこから始まったのであろうか
ふいに わからなくなるのだ

なにを急いできたのだろう
肉体を形づくるもろもろたちと
そこから発する生々しいもろもろと
少しも対話するこ

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詩)お別れの風

詩)お別れの風

野球部の女子マネが
二人で大きな水筒を担いで歩いて行く
二人でなにか話しているのを
みている

電車に乗った
クーラーがガンガン効きすぎて寒い

弟が座っていた
死んだ弟だ

二人で並んで座っていた
電車は動き出す

電車はいつもよりスピードをあげる
二人は黙っている

向かいの窓に二人の顔が写っている
窓をみつめている二人

彼は私をみない
私は横を向けない

電車は急にスピードを落として止まる

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詩)落ち葉についての考察

詩)落ち葉についての考察

生は 落ち葉
そう思い 

落ち葉を拾う
ああ なるほど
こんなにもいろいろと
持ち合わせている
重なり合う色
複雑な模様
欠け方の多様性
曲がり方
一枚ずつ違う形

抜けるような青の秋の日
地面に落ちた
積み重なる落ち葉
ひとつひとつ
筋書きがあったのだ
もう誰もその一枚一枚に
振り向くこともないとしても

それは何かを諦めたからではなく
その 瞬間 まで


在った
という


それは入れ

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