Geulimja

1983年生まれ。蟹座。 感覚だけで生きてそう。とか。 長生きしそうだね。と言われます。

Geulimja

1983年生まれ。蟹座。 感覚だけで生きてそう。とか。 長生きしそうだね。と言われます。

最近の記事

浅瀬で出会う人

 思い出したくない人もいる人生なのか。と当たり前にその人が自分と笑い合っていた時のことを思い出す度、思ってしまう。  彼女は、優しかった。良い子であった。終電がなくなると、嫌な顔一つせず、なんなら嬉しそうに宿を提供してくれて、美味しいご飯を作ってくれるような子で、面白くて魅力的なものを沢山知っていた。  楽しそうに生きているようで、その姿は自由に見えた。いつもあまりうまく社会と折り合いをつけられていない様子は、私も同じだったこともあって、会っては社会の悪口を言って、自分たちに

    • 好きになった人

       一目見た瞬間にこの人は運命の人なのだ。と確信した。  まつげが長くて声が少し鼻にかかっていて、少し猫背気味で話すとのんびりしているのに、とても身体能力が高く、瞳が茶色く透き通っていた。髪型はどんぐりの頭上のところみたいで、髪質はサラサラしていそう。唇に手を当てるのが癖なのかそうしているところを何度か目撃した。  真面目な顔をして、冗談をいうのだかいつも1回では聞こえない。声が小さいというよりも通らないのか伝わりづらいのか、うまく場に馴染まない。だから、全然、面白くない。し

      • 見ず知らずの人

         見かけるといつも窓際にいて、外を眺めていたような気がする人だった。正直、それが本当の記憶なのかはとても怪しい。  私はそんなに彼をまじまじと時間を割いて追いかけていた訳ではなくて、正直どんな顔をしていたのかも朧げで、仲の良い友人があの人はなんか違うだ、素敵だと言うものだから、そうなのかな。と遠巻きながら眺めていた程度だった。  聞く話で彼の姿を縁取っていくと、彼はとても面白い人だった。  見た目からは想像できない部分がたくさんあるようで、たまに目の端に映る彼の姿からは、話で

        • 日常に題名がない(1)

           夫が本社に行くという。7時少し前に家を出る夫を見送り、二度寝しようと階段を上がり寝室に戻る。私は自宅で働いているので、後1時間くらい眠ってしまっても、問題はない。  眠りに入るのはそこまで得意ではないはずだったのだが、眠る事が得意な夫と暮らしていると、見様見真似で眠ることも上手くなるものなのだろうか。すっと寝に入っていて、目を覚ますと1時間ほど時間が過ぎていた。ここのところ、滅多に目覚ましはかけない。不思議なもので決まった時間に大体、目が覚める。  ベットから滑るようにころ

        浅瀬で出会う人

          夢を見る。時々。(11)

           特別にならなければいけない。と思い込んだのがいつだったのか。なんとなく特別を目指す人生を送って、案外普通なんだね。という言葉だの、そんなもんなんだ。という言葉だのに苦しめられた。  特別を目指す前は好きな事に夢中だった。私は歌を歌う事が何よりも好きで、高校生の頃、友人を誘ってはよくカラオケに通っていた。途中からは学校に通うより、カラオケに通っていたという方が正しいかもしれない。  田舎の高校で、カラオケ店までの移動は60ccのバイク、いわゆる原チャか2人乗りが堂々と出来る9

          夢を見る。時々。(11)

          並んでみる映画のこと

           お盆になると、いつもの家族が元の家族に戻りながら、また新しい家族を作る時間が訪れる。うまく波に乗らないと、あれ、私ってどんな人だったんだか?と自分のままでその場に行ってしまい、途方もなく苦労をする。だからこそ、下準備というのが家族に戻って家族を作るって作業には必要だ。  今回は、家に向かう途中にあまりにも好みの音楽を聴きすぎたことが影響したようで、ぼんやりしたまま、頭が遠くの方を浮遊してしまっていて戻ってこなかった。このキャラクターでは、上手くいくわけがないとわかっているの

          並んでみる映画のこと

          夢を見る。時々。(10)

           久しぶりに友人に会った。最近の変化について話をすると、彼女はその話がとても不愉快そうだった。  彼女はどんな気持ちで、その話を聞いていたんだろう?  彼女のその様子に胸が痛くなって、まるで薄汚い人間に自分が成り下がったような気がして、とても悲しい気持ちでその日、別れた。  自分を肯定しようなんて気持ちは会う前から全くなくて、ただ、友人として彼女に話を聞いてもらいたい気持ち。この人は、私を見てくれるのでは。と期待がいつもあって、それに応えてもらっていたのだ。というのもそこで当

          夢を見る。時々。(10)

          豚足を食べる夜

           4人で坂を降りていく。  足元気をつけて。だの、煮イカはどのあたりに売ってるんだろうか。など口々に喋りながら、ゆっくりと一歩一歩降りていく。  バーン。というより、ドン。ドスン。  音が町中に響く度、耳が痛いの怖いのと、背中を丸める180cmの背中とそれを繊細なふりしやがって。と嬉しそうに笑う、184cm。  空にヒュルルと白い閃光が昇っていって、ぷつっと途切れ、わずかな静寂の後、火花がわっと花開く。子供達が群れになって、その景色を眺めながら、たまや。たまや。と連呼する。

          豚足を食べる夜

          夢を見る。時々(9)

           知人に誘われて顔を出したマルシェに古本屋を見つけて、イソップ童話の本を購入した。日本の本にはない装丁で、イラストも面白い。言葉で表すのは難しいのだが、海外の空気を纏う素朴な絵が好きで、一目惚れした。  もしこれから旅行に行くことがあれば、絵本や児童向けの本は都度、現地で買い求めよう。と思いながら、置きっぱなしになっていたその本を手に取って、いざ読んでみようかな。と開いてみる。  日本語しか話せもせず、読むことしかできない私にとって、その本を読む事は困難だった。  いくつかの

          夢を見る。時々(9)

          夢を見る。時々。(8)

           本を読んでいたらブックハンターという言葉と、ワードハンターという言葉に巡り合う。なんて胸踊る言葉だろうか。と頭の中で反芻。hunterという言葉自体は聞き慣れているが、ちなみにどんな意味なんだろうか?と調べてみると、猟師以外に探求者という意味があるのだと知った。  あさる人。という意味もあり、漢字表記だと漁る。獲物を探す。漁をする。探しまわる。のような意味を持つ。  音と字面が良い。英語表記の字面も良い。わかりやすくイメージしやすいけれども、直接的なニュアンス以外の含みを持

          夢を見る。時々。(8)

          夢を見る。時々(7)

           夫と私は出身県が同じだ。出会ったのも地元なのだが、経由地的にそこに留まっていた時に会って、結婚している。  彼は、留学から帰ってきてもう上京の予定が決まっていて、私も東京で一緒に暮らしていた人と別れ、唯一の社会活動だった、バンドも辞めて、実家に舞い戻っていた。北関東の大きなショッピングモールの中にある、チェーン店のカフェ店長。そこに短期間でバイトしたいと彼がやってきて、面白そうなので働いてもらう事になった。  私は全然、自分の生まれ育った街が好きではなかった。だからと言って

          夢を見る。時々(7)

          夢を見る。時々。(6)

           親しい友人が、私には不思議に思える人生に身を置こうとする。で、その人生の合間合間に連絡をよこす。中途半端に世捨て人。のような生活に見えるのだが、本人はおそらく、今までで1番生きてる事を実感しているようだ。  連絡をもらった内容や言動が私には、違和感と不安があったので、口を出した事がある。だけど、その人の大切かもしれないものに口を出すならば、私も誠意を伝えたいと思い、それを続けるならば、友人関係を切るよ。と言った。  友人との思い出は私にとって、支えだ。思い出すと笑える、とて

          夢を見る。時々。(6)

          夢を見る。時々(3)

           すごい。という言葉を封印することにした。私の口癖だ。それから〜だと思う。これも私の口癖。  私はよく困るとすごいと言って、何かというと思っている。と言う。思ったり気が付いたりしたんだと、伝えるのがとても好きで、すごいと言われるのがみんな好きだと何かで読んでから、困るとすぐに口から出てくるようになった。  思う事もすごいも逃げてないか?と立ち止まってみる。  ちょっとしたニュアンスなんだけど、思う。と付けると、関わらないの線引き。線を引いてここから見てますと表明している感じが

          夢を見る。時々(3)

          夢を見る。時々(5)

           夫がお茶を飲みたいと切り出してきたので、中国茶を淹れて2人で飲んだ。お茶に詳しい人は魅力的かも。効能とか。こういう症状の時はこれがいいよ。とかアドバイスしてくれたら嬉しいと。他愛もない話をする夫の話をふーん。と聞きながら、一煎目が終わり、二煎目を注いだ頃、夫が、会話ってさ。と別の話を切り出し始めた。  ぐるぐるとなんだか色々話し、週末、一緒に車に乗っていた時、私が一方的に話しかけてきてすごく疲れた。と言葉を振り絞った。  一方的に話すのをやめてほしい。と言い、俺が話すまで黙

          夢を見る。時々(5)

          夢を見る。時々(4)

           誕生日だった。数少ない友人からメッセージをもらった。  16から知っている友人2人のグレープメッセージで、祝福のメッセージというより1人は本音の吐露で、自分の願い事の話だった。  もう1人はそれを応援しながら、心配していた。  願い事を見つけた過程や今の環境を、片一方は心配をしていて、心配の受け手側はあえてそれに気が付かないふりをしているようにも見えた。私はどちらの人生にも口を出すつもりはないし、自分の意見は一回言った。それを忘れたのかどうかもどうでもいい。今回は、後はそれ

          夢を見る。時々(4)

          夢を見る。時々(2)

           小さな頃から本屋、図書館、美術館、博物館が好きだった。寺や神社の木彫りの装飾物などを見るのもとても好きだった。様々な国の民族衣装や各地の伝統的な祭りなどで使用される幻獣など、言い伝えに触れる事もとても好き。それらの場所や、ものを目にすると自由な気持ちになれた。それはどこかの別の世界の話で、人間の持つ想像力の魅力的な可視化物に感じられた。様々な未知に対する自分達なりの答えに畏怖があり、崇めるそれに美しさを見出している佇まいが何よりも素晴らしい。その人の目を借りてその人の技を借

          夢を見る。時々(2)