夢を見る。時々。(8)

 本を読んでいたらブックハンターという言葉と、ワードハンターという言葉に巡り合う。なんて胸踊る言葉だろうか。と頭の中で反芻。hunterという言葉自体は聞き慣れているが、ちなみにどんな意味なんだろうか?と調べてみると、猟師以外に探求者という意味があるのだと知った。
 あさる人。という意味もあり、漢字表記だと漁る。獲物を探す。漁をする。探しまわる。のような意味を持つ。
 音と字面が良い。英語表記の字面も良い。わかりやすくイメージしやすいけれども、直接的なニュアンス以外の含みを持つ具合も好き。
 たまにそういう具合にしっくりくる。と感じる言葉に出会えるのと同じように、昔から、自分の口が人の名前でどうしても呼べないやつ。というのが、私には存在している。喉が詰まる感じで、簡単なところで言うと、〇〇さんとかの、さん。の部分が定まらなくて、ねぇ。と読んでしまう感じ。
 どれだけ仲が良い相手にもそれはあって、付き合った相手の下の名前を自分がどうしても呼べない事もある。高校生の歳が違うカップルが、さん付けだったのを呼び捨てにする時の甘酸っぱいのともちょっと違って、しっくりこないので、呼びたくないのだ。
 人が誰かの名前を読んでいるのを聞いた時にもその違和感で、ん?となってしまうので驚く。声と音とテンションがチグハグで、合っていない感じがするのだ。
 子供の頃、覚えに覚え、使いに使って言葉を習得したくせに、今の生活ではほぼそれだけを使用して、言葉を喋っている。ぼんやり生活しながら習得した言葉以上の言葉を求めらる事が、基本的にはないから。
 ありゃっとなる。新しく出会う人間の名前は、新たに自分の生活に加わる言葉じゃないの?と。その名前をもうすでに呼び慣れた人のテンションと自分のテンションを、無意識に照らし合わせているのかもしれない。で、重いとか軽いとか。これも勝手に判断しているのではない?と。
 え?これが原因でまさか、英語も喋れるようにならなかったのでは?ととんでもないところに今、到着。辺り見渡しちゃう。
 満足しているというより、困るほど探しても挑戦してもいない。問題はないのでなくて、問題に行きついてない。まず、家から出ろ。よく無視してここに居続けたな。と自分に驚く。そりゃ、人生が楽しい訳がないだろうよ。と船、発見。
 そういえば、なりたかったものの一つが、ミステリーハンターだった。
 彼らは、世界不思議発見!でさまざまな国を旅して、それぞれの国と私たちの住まう国の違いをレポートする。レポートの合間合間にもったいぶった話し方をしたと思うと、
 それではクエスチョンです。
と始まる。
 私もラクダの上から、スタジオの皆様に、クエスチョンを出してみたい。
 スタジオの解答者達が、頭を悩ませる。おなじみ、黒柳徹子が、スーパーヒトシくんに手をかける。ほう。と軽く目を見開く草野仁。すぐに穏やかな表情に戻り、うんうんと頷きながら、解答時間のタイムアップを伝える。解答者の座る席の足元が、画面になっていて、それぞれの手書きの一斉に映し出される。穏やかな質疑応答。そして正解VTR。
 ミステリーハンターがバザールの中を歩いていく。問題にも正解にもそんなに興味がなくて、そのバザールの様子が気になっていた。
 ガヤガヤと声や音が響いて、見慣れない服を着たさまざまは人間が、そこでも生活をしている。
 名前の響きだけで好きになったヒトシくんは今元気だろうか。と小学生の頃の同級生を思い出す。
 好きな響きとそうでない響きはしばらく一緒に時を過ごしたから、見えるのかもしれない。
 全く別で、誰かの生活にとっては新しくもなんでもない言葉を自分の生活に迎え入れてみる事にする。船を漕いで会える人を増やす事。
 私は、ハンターにまた憧れちゃっている。
 
 

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