記事一覧
横浜スタジアムについて
今日、ひょんなことから横浜スタジアムに行った。大勢の観客の一部としてゆらゆら揺られながらペンライトを振っていた。辺りを見渡していると、きらきらと光が揺れていて、なんていうかクリオネみたいのがいっぱい湧いているような、ボウフラなのかもしれない。スタジアムの大きな照明を見上げる。昆虫の眼のようなびっしりライトが埋まっていて、そこに舞台の照明がチラチラと反射し、少しだけ綺麗だった。
本について
『君たちはどう生きるか』を読んだ。何を正しさとして持ち、どのような形で人間関係に寄与し、そして人のためを成すかをよくよく考えるようになった。
仕事をしていると足元のことばかりで顔を上げないから肩が凝る。縮こまった生き方はあまりに窮屈で、自分という存在がますます矮小なものに思えてならない。
本は良い。僕を自由にしてくれる。果てしない思索と夢の世界へ招待してくれる。
2022/05/10
このアルバイトをしていて、一つ後ろめたいことがあるとすれば、それは親へなんと伝えるべきかという一点に限られる。差し当たり、両親には大学受験予備校で働いていると伝えている。幸いにも、三年ほど前までそういうところでアルバイトをしていたので、嘘が辛うじてまかり通っているのだけれど、そろそろ潮時だろうか。というか、大学最後の年だからという仕様もない理由で、僕は髪を伸ばしていた。しかも、その髪の長さは間も
もっとみる2022/05/03
もうすっかり梅雨が明けようとしている。アスファルトから攫われた水分が大気に充満していて、街中が石油の香りに溢れていた。フロントは客の顔など見ることができないので、彼らの服装を眺めていると、露出が目立つ。最近、気が付いたことなのだけれど、男であれ女であれ、顔が見えなくとも色気がダダ漏れな人間がいる。グラマラスだとか、マッチョだとかそういうのは関係ないのである。どんな体型であれ、何か出してはならない
もっとみる2022/04/05
この頃は客の代わりに雨がよく降る。初夏を迎える間もなくのころ、雨がほとんどひっきりなしに降っていて、客足が少し遠のいていた。これまでも雨の日は何回かあったけれど、こういう日はあまり客が来ないことが多い。そうはいっても、平常時の八割程度は来るので暇がないかと言われればそういうわけでもない。しかし、雨の日はたいてい、ゆっくり本が読めるので僕にとっては少しばかりありがたい。強いて不平を漏らすならば、フ
もっとみる2022/03/22
かれこれ文句を言いながらも、結局、研修は既に終わっていた。勤務が二回目のころには業務を見るだけではなく実際に行う段階まで達していた。僕がフロントに座っているときに店長は事務所の方へと行くので、事実上、僕一人だけでフロント業務を回していた。とはいえ、業務はそれほど複雑なものではない。客から金を受け取り、帰りに鍵を受け取るくらいだ。あとは無料案内所からやってくる電話ぐらいだろうか。渋谷近辺、なかでも
もっとみる2022/03/01
疲れから来るのか、何なのかさっぱり分からないが、初勤務を終える頃には頭がぼんやりとしてしまった。疲れを構成する大半はおそらく、気疲れである。2畳半というスペースでは、パーソナルスペースが辛うじて確保できるだけであって、他者との緊張関係は維持され続ける。そのうえ、食事から水分補給まで常に共にすることになるのだからなおのことである。八時間の勤務には休憩時間が含まれておらず、したがってコンビニなどで事
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