閲微草堂筆記(278)袁愚谷
巻十四 袁愚谷
制府(総督の別称)の袁愚谷(諱は守侗。長山の出身であり、直隷総督の位まで昇進し、諡を清慤という。)は、私とは幼いころ、席を並べて勉強していた仲であり、また、姻戚関係でもあった。
袁愚谷が自ら言うことには、三、四歳の頃、彼にはまだ前世の記憶があったらしい。五、六歳になると、ぼんやりとしてはっきりとは思い出せなくなり、今はただ、前世で歲貢生であったこと、その家は長山からはそれほど離れていないことのみを覚えており、姓名や本籍、実家のことやその事跡については全て