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閲微草堂筆記(279)交誼
巻五 交誼
長山出身の聶松岩は篆刻を得意とし、都を遊歴していた。その昔、彼が私の家に居候していた際語ったことには、彼の郷里に狐と友人になった者がいた。
賓客や友人が集まって宴会をひらく時には、いつもこの狐を招き同座していた。共に飲み食いしながら歓談する様子は人と何ら変わらなかったが、ただ声が聞こえるのみで、その姿を見ることはなかった。
ある者が狐と顔を合わせようと無理強いして言った。
「対面していても顔が見えないのでは、どうやって交友を深めることができようか。」
狐は言った。
「交友というのは、その心でもって交わるものであって、その顔でもって交わるものではないだろう。そもそも人間の心というものは計り知れず、山川のごとく険しく、またその陥穽もいたるところに張り巡らされ、巧妙に隠されている。諸君はその心を見せずに顔を見せれば親しくなったと思い、顔を見せなければ疎遠であると思うのか。これまた道理に適わないではないか。」
田白岩は言った。
「この狐は世事というものを深く理解している。」
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