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閲微草堂筆記(275)天佑

巻七 天佑
 同郷の閻勛はその妻が従弟と通じているのではないかと疑い、ついには銃を携えて行って従弟を撃ち殺すと、家に戻ってきて妻も殺そうとした。

 刀をぶすりと妻の胸に突き立てたが、まるで鉄の石にでもあたったかのようにガッガッと音がして、とうとう傷つけることができなかった。
 ある者は言った。

「これは鬼神が無実の罪で死ぬことを憐れんで、ひそかに加護を授けたのだ。」

 しかしながら、無実の罪で死ぬ者は多いのに、何故鬼神はその全てに加護を授けないのか。これはこの妻が別に善行を為しており、それゆえにひそかに天の加護を授かったのであろう。

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