見出し画像

閲微草堂筆記(280)里俗

巻十六 里俗
 私の里のならわしでは、病の重い者があるとその者が着ている衣の襟の一部をひそかに切り取り、熾火(おきび)にくべる。
 その灰に篆書や籀文(書体の一種)のような白い斑模様があらわれるとその病人は必ず死ぬが、字の跡がない時は生き延びる。

 また、紙をつなげて遺体にかける布団をつくる時、それを貼り合わせるのに糊を使わず、ただ砧(きぬた。洗った衣服を叩く道具)の台の上に置いて秤の錘(おもり)を使って叩く。その合わせ目がぴったりとつながると病人は必ず死ぬが、つながらない時は生き延びる。

 これを試すと十のうち八、九は験がある。これらは一体どのような道理であるのか、いずれもよくわからない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?