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Photo by tukamatter

きみに会えた夏蜘蛛とは何なのか

中村風景

YouTuberのシスタークレアさんがプールを切ないと言っていて印象的でした。ヘッダ画像をお借りしています。

スピッツにプールという歌があります。

ぼくはスピッツが別に切ない歌の名手だとは思ってなくて恐ろしいほどのメロディメイカーであることと芸術性の高いリズム隊と絵本作家のような繊細なリードギターと安易に恋愛だけにとどまらない歌の中身であることを偉大であると思っています。

が、細かいことは以下のようなスピッツについてぼくが書いたnoteを見ていただければいいんですが、本ページをご覧になるにあたってそこまで見る必要はありません。のでささっとスクロールしてください。

そしてプールはメロディとコード進行が恐ろしく切ないです。

例えば「思い切り走った後に、結局俺は何をしているんだ？感」みたいな雰囲気とか、「思い切り快楽を楽しんだ後に、結局こうしたから何が得だったのかわからない。やりきれなくなる感じ」な切なさがある。

名前をつけてやる

上記の通りぼくはおうたを聞く上で歌詞に囚われたくない(メロディ>編曲>詩、という重視度)ため歌詞を気にしないんですが、歌詞の意味不明さがコード進行とかメロディの「決してポジティブな感情ではないかんじ」を浮き彫りにしてて強いと思う。

収録されている「名前をつけてやる」というCDは彼らにとって2枚目のオリジナル盤ですが、彼らがメジャーを席巻するようになってからも恐ろしく評判が高かったようでした。プールに限らずメロディが一流だと―――――一流という言い方は他と比べている感じがするためぼくの中で適切ではないですが―――――受け取れる歌が勢揃いしていつつも、シングルカットされたのはファンタジックな感じにストリングスオーケストラを交えた、当時のロックとは少し席を開けた感じののラストナンバー魔女旅に出るのみ。

明るい歌もあれば何かこうモラトリアムから抜け出せない悶々とした感じだけど決して明るい展開が待ってそうな感じではない感じの歌が揃っています。感じ感じ感じ

好きでも嫌いでもないプールとは

シスターがいう切なさもそういうことかと思ったんですが、その限りでもないような気がする。

プールには色々な種類があります。望むと望まざるに関わらず連れて行かされるプール、娯楽で行くプール、己を鍛えるために行くプールですね。

また、プールといいますか水遊び(プールを一度「水遊び」というジャンルに落とし込みます)に対する好き嫌いについては多分人間を二分するとぼくは思うため、共通語としてのプールは前者となるでしょう。強制的なプール、つまり学校のプールですね。

強制的なプールにおいてプールが嫌いな人は当然モチベーションが高まらないはず。切ないなんて騒ぎじゃありませんね。だからシスターが言うプール感には少しは近いかも知れませんが第一候補じゃなさそうな気がする。

好きでも嫌いでもないけど行かされるプールについて第一候補に挙げられるとしたらなんだろうと考えると、夏休みのそれなんじゃないかと思えます。

何故夏休みのプールなのか。それは「本来任意性が高い、どころか完全に任意でしかないはずなのに、なんとなく行かなきゃならない」感があるためです。

授業としてのプールはその後ひるめしがあったり、また授業を受けたりします。時間割として終わりの時間帯であっても、その後帰りの会とか掃除しますよね。

でも夏休みのプールは「プールに浸かる」それだけのために来させられる。上記の通り本来は夏休みという「縛りがなさすぎる期間」における自主性を高めるため(ついでに運動もできてよかったね、程度)に設置されているはずなのですが、緩やかな強制力があるため自主性なんて養えたものじゃない。

緩やかな強制力があるのはそれなりの副産物があるからです。夏休みなのにたくさんの友達に会える。いつもどおり画一的な過ごし方をしているわけじゃない、完全プライベートともいえる同期の小学生～中学生の生活の一部を共有した気分になり、なにかわくわくするのかもしれない。

プールの時間が終わるとそれが消えます。で、まだ真っ昼間のくそ熱いコンクリートの上を歩いて帰るという運命が等しく待っている。昼ごはんを食うというミッションがあるため、プールの後誰かと遊びに行くという約束も立てづらい。なんだか知りませんが、子供は時間単位での約束をあまりしない。単純に時計の読み方がわからないからかも知れない。

結局、結論としては半強制力のあるもののいつもとは雰囲気が異なる特別な夏休みのプールで遊んでいると、一時的な興奮があるもののその熱気はすぐに消えてしまう、プールの水は汚いので口に含むわけにはいかないけど、水の中という圧倒的運動量が求められる中で運動したからそれなりにのどが渇いている状態でこの切なさと対面するため、というものになりますがこれは想像であるため何の解決にもならないかもしれない。

お読みくださりありがとうございました。プール観についてはまた書けたら書きたい気がするので、書けたら下にリンクします。

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