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猫でもわかるMOT1.0

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#技術

技術の価値化

技術の価値化

MOTで最初に語られる言葉は「価値」である。技術を価値化する。当たり前に語られる表現である。それでは価値とは一体何であろう。「価値がある」と言った時、それは比較用語として用いられていることに気が付く。他のものと比較して、何らかの指標において上位に位置づけられる理由がある「こと」に対して使われている。すると、価値とは絶対的なものでは無く、人の意識においてもたらされるものであるから、「価値」と語った人

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管制高地に立て

管制高地に立て

技術の進歩は破壊的イノベーションをもたらす。加えて、エレクトロニクスの進化や、地球環境保全が求められる世界的気運が高まり続けている。更に、地政学的状況の変化の中において、今、目に見える技術が次の瞬間において、過去と同様の対価を獲得できる可能性はゼロと言って良い。技術創成の産業に関わる企業として、自社技術を過去からの延長ではなく、未来の有り様から自らを省みて、自らはどのようなカテゴリの中で技術を活か

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技術を創造しないと・・

技術を創造しないと・・

我が国でMOTの大学院コースが立ち上がった2003年において、米国では「既に終わった学問である」とのレッテルを貼られていた事実がある。自社を成立させている、他社に対して優位性のあった技術を延命させ、その技術が成しえていることが対価を獲得している時間を長くしたいとの考えは、時代の変革を受け入れ、それに挑んでいく姿勢の海外においては旧態依然と捉えられるのは当然である。

改良改善こそが正義であって、革

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MOTは進化していますよ

MOTは進化していますよ

MOTと聞いて「何の役にも立たない」と思われる方は多い。MBAも古くなった。旧態依然のMOTは、既に存在している自社の技術を、どのように延命させていくかに重きが置かれていた。技術が有する機能が、世界の進化によって生じる相対的に退化していく分を、マーケティングで補う思考であったことは否めない。自社技術を変化させないことで、設備投資を最小限に保ち、注文の獲得に注力する守りの思考である。

隣諸国から優

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正当な対価のため

正当な対価のため

近年、我が国でもベンチャー企業発信の商材が、クラウドファンディングという投資手法を活用して世に出てきている。「こんな場をこんなふうに変える」というアイデアを、買い手にビジュアルイメージを持たせて投資を引き出している。商材を獲得することで得られる楽しさを伝え、その楽しさで投資を引き出している。この投資対象こそが、今と近未来との幸せの微分値である。幸せを支える技術で正当な対価を獲得するために、どんな形

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人材育成こそ

人材育成こそ

MOTの根本的考え方は「社会が獲得できた『素晴らしい社会を支える技術』に、相当の対価を支払っている状態を実現すること」である。良品廉価を実現することではない。すると相当の対価を得ようと生産者が考える時「素晴らしい社会」をイメージして、それを実現するためにどのようなことの実現に寄与できる技術を作り込めば良いかを考える必要がある。将来の状態を想定して、そこで機能を発揮し、人々の喜びを喚起し、素晴らしい

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属人性とMOT

属人性とMOT

日本の職人技は、ドイツ国のマイスターと比較されることが多い。我が国においても、社内マイスター制度を採用し、発揮できる技能に応じた給与が支払われている事例がある。有する技能に応じた人的尊敬が、技能の向上を後押しする。一方で、職人技を活用しなければ形作ることができない商材の経済的価値は、その技術を有する人材の雇用経費から算定されることになる。この状態ではMOTの思考は無用である。技術が社会にもたらす価

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