名古屋工業大学 社会共創企画室

次の時代を突き抜けるオープンイノベーションで、価値と未来をつくりだすことを目指しており…

名古屋工業大学 社会共創企画室

次の時代を突き抜けるオープンイノベーションで、価値と未来をつくりだすことを目指しております。 新しい価値の発見と創造を、新しいビジネスにつなげていく、そんなチャレンジをする人たちとともにビジョンの達成に向けたビジネスのストーリーを、バックキャスティングで一緒に構築しています!

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リーダーかくあるべし

これは想像するしかないのだが、高度経済成長期、1960年代後半、当時のリーダーが「今をばねに挑戦する」とご決断された時、共に挑戦する社員の皆様がお若かったに違いない。その中に、ベテランが混じるという空気感だろう。お仲間諸氏は20代から30代後半までで、船頭役が50代。その船頭役がとにもかくにもきっと熱かった。はっちゃける若者に、熱いけれども「俺を信じろ」と諫め、時には「付き進め」と伴走するベテランのチームは、旧態依然を破壊する有効な構成だと考える。 オープンイノベーションに

    • 手仕事の日本

      経営者としてビジョンを抱き、自社ならではの中核機能を活用することによって、ビジョンに共鳴する顧客と共に『具体的ビジョンに到達するために必須の中核能力』を描き、更に、それらを支える開発するべき要素技術を思考することについて語ってきた。 柳宗悦書「手仕事の日本」に見られるように、我が国では、地域の地政学的特徴に逆らわず、更に活かし、得られる生活を最大限、コミュニティーの幸せに繋げるモノづくりが成されていた。それこそが文化であり、廃れ滅びてしまった道具も多いが、この瞬間に「化石資

      • ライフトランスフォーメーション

        バックキャスティング思考によるCo-Beingが達成された社会とは、「誰もが潜在能力を発揮して、自己の理想の実現や働き甲斐のある仕事に取り組むことで、自己の成長と社会の持続的な発展に貢献できる社会」である。その社会の中で質の高い人生経験により、なりたい自分を実現することができ、すべての人々が自分らしい生き方を獲得できる状態こそ、筆者が提言する「ライフトランスフォーメーション:LX」である。 地球環境が生み出した自然と、そこに生命の進化の過程で創造された人類とが共生している。

        • ビジネスモデルの正体

          Co-BeingはWell-Beingの達成の後に現れる世界観であるが、これを叶える上でも、価値の階層構造を考え、そしてその源泉となる技術やサービス、感性を抽出し尽くす能力とそれを具現化する実践力は重要である。 かつてのMOTの学びにおいては、MBAさながらに「成功事例」と称して巨大利益を生み出したサービスを称賛し、そのサービスがどのようなサブサービスや技術、そして人材教育との関係性を一方的に明らかにしたと宣言し、それを成したビジネスをモデルと称して成功を祭り上げ、自らを卑

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        • 猫でもわかるMOT1.0
          11本

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          変化の決断を!

          IMDの国際競争力分析データを見るまでも無く、我が国の活力の減退が加速していることは実感できる。ドルやユーロに対する没落は、投資先として魅力が失われたことを如実に表している。海外に責任を転じるのみでは無く、足元の産業貿易輸出割合の内、ハイテクノロジー分野を見て見ると、2000年度の25%程度から顕著に減少に転じ、2012年以降、15%前後と低迷している。他国との比較は総金額量が異なるので割合の比較は気を付けなければならないが、世界は日本にハイテクノロジー(医薬品、電子機器、航

          コア技術とは

          中核能力を叶える中核機能がどのような技術やサービスによって構築されているのかを考える時、それは「技術の棚卸」と考えてはいけない。バックキャスティングによって棚卸を考える時、技術のアウトカムズから掘り下げていく思考によって技術が生み出す価値の連鎖を解き明かしていくのである。 「どんな機械を所持している」ということは道具の棚卸であって、フォアキャスティングにおける棚卸である。バックキャスティングにおいて「価値の棚卸」を成すことが出来る。この技術・サービスが、「この価値を実現して

          カンコツがある限り・・

          カンコツを作業現場から一掃することは、自社の独自性を失う事と思考するリーダーは多い。機械の確度・精度が現状とはけた違いに低かった時代に、発展する自動車等の部品が求める確度・精度をカンコツで獲得された現場の職人の皆様の努力は称賛に値する。 金属は温度が変化すればその体積が変化する。そして変化するだけでは無く、化学的反応性も変化する。被加工物と刃物との凝着具合が加工の進行とともに変化し、その状況に応じて手動旋盤・フライスの刃具の切り込み具合や接触確度を微妙に変えていく妙技は、正

          脱カンコツたれ!

          現在、我が国のものづくり系企業において生じている惨劇は、高度経済成長期を支えたカンコツが生き延び、老害が若者の論理的思考を排斥するのみではなく、若者の未来まで簒奪していることにある。カンコツが無くても実行できる作業を定量化させず、企業の資産となるべき技術を私物化することで、自らの雇用の獲得に努めてきた。経営者がそれを認め許してきたことも大罪である。 中核能力を支える中核機能は定量的に他者に示すことが出来なければ、その社は共創の場のプレーヤー認定はされず、人依存のカンコツが技

          感性表現を定量化する

          「能力」が単一の「機能」から構成されていることは、多くの場合において有り得ない。ペルソナが存在する場において、ペルソナに他律機能を発現させる中核能力は、複数の「機能要素」から構成されていると考えるべきである。この機能要素をバックキャスティングによって、その構成を導き出すことになる。 ペルソナが求める能力によってアウトカムズを場に提供している様を考えると、主要な機能要素が可視化されていると想像できる。フォアキャスティング的に考えれば、視認性の高いタッチ操作が出来ることで、スト

          中核能力の次元解析

          中核機能を考えるには、中核機能を叶えようとする企業から見て、ペルソナが存在する場におけるサービスとモノであるから、それを構築していくチームの現状と、中核能力が実現している未来において、開発チームは、場が獲得している他律機能を描かねばならない。現状を定量的に理解し、更に、未来に獲得しているべき他律機能を定量的に描くことで、未来と現状との微分値が定量化される。今、これが出来ているから、これをどう当てはめるかという思考では無く、定量的に構築が必須である技術を描き、現状との微分値を定

          企画室にて 室長との対話:3つの軸を考えるのが難しい

          ある日の室員の頭の中 3つの軸を使って考えることを室長が良く説明されるが、立体的になると混乱してしまう・・・この立体がどうなることを目指すとか、2つではなく、3つのことを念頭に置き、考えるということが大切ということで、平面や立体などの形にとらわれる必要はないのか。 何を重視するか、というような思考をする際に、3つの視点で考えることはある。例えば転職だと、仕事内容、給与形態、勤続場所とか、家電購入のときだと、欲しい機能の高さ、使う手間の少なさ、価格とか、、何かを考えるときは3

          企画室にて 室長との対話:3つの軸を考えるのが難しい

          ペルソナと場

          B2B企業はペルソナをイメージせず、ペルソナが溌溂と活躍できる場が有する能力を定量的に思考しないから、「自社は何をやったら良いのか?」と図面が来なくなった途端に路頭に迷うのだ。仮に、自社の要素技術を明示出来たとして、中核機能を創造するためには、自社を他律機能の観点で定量的に評価し尽くした上で、再構築していく必要がある。 未来におけるビジョンの達成のためのストーリーの主人公としてのペルソナが望み、体験したいサービスが存在する場の機能は、あくまでもペルソナが存在する空間が求める

          中核能力はペルソナのため

          ペルソナが自らの幸を最大化させている場をイメージして、その幸を支える商材を構成する部材作りに関わっている自社のあり様をイメージするためには二つのアプローチが必要となる。それは中核能力と中核機能の双方を具体的に描くことである。ビジョンが描く場の中でペルソナに溌溂と活動するエネルギーを喚起するサービスとモノは、ペルソナの価値観と共鳴するベクトルを持っている。そのベクトルを構成するものが中核能力である。ペルソナが自らの意思で所有と活用を心から願う、ペルソナの新しい活動をアウトカムズ

          中核能力はペルソナのため

          Z世代よ、旗手たれ!

          Tier(n)企業がペルソナをイメージ出来ないのは、部分図面のみが与えられ、全体構造の中でどのような機能を担うのかが提示されない為である。極端な場合では、どんな商材に活用されるのかまで秘匿される。それ故に、B2B企業殿の現場リーダーに新規事業におけるペルソナを描いて頂きたいとお願いすると、決まって「次工程の工場長」がペルソナとして認定される。B2B企業殿全てがそうなるわけではないが、日本の中堅・中小企業の代表的反応だと感じている。 技術経営の社会人向け実践講座において、B2

          脱簒奪者

          ペルソナの不可視化がTier0企業が仕組んだ悪だくみであったとしても、それを打破しないのは川上企業の怠慢である。我が国における歴史を紐解くと、中小企業の設立と関わりがあると想像する。朝鮮戦争後の大企業傘下としての系列企業化を含めて、大企業による中小企業からの技術を活かす知恵と利益の簒奪は、技術はあるが自らの夢を描くという思考までも奪い去ったと認識するべきなのだと感じる。 ペルソナをイメージ出来ないのは、図面そのものに価値を感じて、その図面が要求する形状を三次元化させる行為を

          Why?を唱えよ!

          ビジョンからのバックキャスティングの思考について、アウトカムズの共創という観点から語ってきた。次にビジョンが作り出す場において、最大の幸を得て、そして新たなビジョン構築の共創者となるペルソナについて語る。Tier1以下の企業との学びの場において、「最終ユーザーが自らの商材を活用することで幸せを得ている世界」を見事なまでに描けないことを体験している。図面待ち企業における生産活動において、「Why?」の問いかけが許されてこなかったからだ。 「Why?」が許されない上下関係は、